山梨県では1月22日、過去最多となる202人の感染を確認。
新型コロナウイルスの急速な感染拡大に危機感が高まっている中、独自の対策が波紋を広げています。

ワクチン未接種者に「不要不急の外出・移動の自粛」要請

山梨県 長崎幸太郎知事:
県民の皆さまへの要請についてです。
ワクチンの2回接種を終えていない方につきましては、通勤、通学、通院など、やむを得ない事情がある場合を除いて、不要不急の外出や移動を自粛していただきますよう要請をいたします。
未接種の方は、接種済みの方と比較しまして感染の発生率と重症化リスクが高いことから、ご自身の健康を守っていくために、ぜひともご理解、ご協力をお願い申し上げます。

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山梨県の長崎知事は、23日に臨時会見を開き、ワクチン未接種者に不要不急の外出・移動の自粛などを求めました。「ワクチン接種」を基準とすることについては、差別につながるとの指摘もあります。

各地の病床使用率を見ていくと、大阪51.4%、愛知30.9%、沖縄62.4%と非常に高い数字になっています。しかし、病床使用率が現在非常に高いのが山梨県67.4%です。

病症使用率がひっ迫している山梨県では、次々に対策を打ち出しています。

事業者に在宅勤務や時差出勤などテレワークの実施、学校にはオンライン授業の推奨や分散登校を要請しています。

そして波紋を広げているのが、ワクチン未接種者に対する不要不急の外出・移動の自粛要請。
ワクチン接種2回を打ち終えていない人、子ども連れでお母さんは接種していても子どもは接種していない人などに対して、不要不急の外出や移動の自粛を求めています。

“ワクチン差別”?弁護士の見解は

海外ではワクチン義務化が進む国もありますが、日本で、しかも知事が「ワクチン未接種者」を対象にするのは異例中の異例です。“ワクチン差別”ではないのか?という指摘の声も上がっていますが、法的に問題はないのか若狭勝弁護士に話を聞きました。

若狭弁護士は、「法律的にはできるが、あくまで協力要請で罰則はない」という見解を示しつつも、「少し乱暴すぎるのはないか、個別対応するなどの余地を残すべきでは」と指摘しています。

「自らを守り、感染しないようにという趣旨」

では、山梨県は今回の要請についてどのように説明しているのでしょうか。

山梨県が出している、ワクチン未接種・1回接種の人と2回以上接種した人の新型コロナウイルス発症率を見ていくと、未接種・1回接種の発症率は0.29%。一方、2回以上接種の発症率が0.15%と発症率に約2倍の差があることが理由だと話しています。
県の担当者は「ワクチン接種を終えていない方が自らを守り、感染しないようにという趣旨」だと説明しています。

「自宅療養なら1人3万円」ホームエイド給付金

さらに山梨県では、お金の面でも独自の対策を打ち出しています。
「新型コロナウイルス・ホームエイド給付金」と呼ばれるもので、医療機関で重症者や重症化リスクの高い患者への対処を優先させるため、無症状・軽症の場合は自宅で療養してもらうという考えで、感染当初から自宅療養すると1人3万円を給付。さらに、入院・宿泊施設から自宅療養に切り替えると1万5000円を給付するというのです。

濃厚接触者は検査なしでも「感染」と診断可能に

山梨県をはじめ各地で医療体制がひっ迫する中、24日、後藤厚労相は医療提供体制を確保するため2つの大きな指針を出しました。

1つ目は、自治体が判断すれば、感染者の濃厚接触者に発熱などの症状が出た場合、検査を受けなくても、医師が感染したと診断できるようにする方針。
2つ目は、医療がひっ迫している地域では、40歳未満などで重症化リスクが低い人は、医療機関を受診せず自らの検査結果だけで自宅療養できるというものです。

基礎疾患がある人は注意が必要

こうした自宅療養を容認する動きについて、東邦大学看護学部教授・小林寅喆さんに聞きました。

東邦大学看護学部教授・小林寅喆さん:
いま、非常に検査を広めてしまったので、検査の材料、検査リソースがすごく少なくなっている状況だと思います。そういった中で、検査をせずに診断をしていくということにしているんですが、だた「濃厚接触者に」という形で限定をしているので、濃厚接触者で例えば発熱が出てくるような症状が出た場合、そこは間違いないだろうということで療養をしてくださいと。

東邦大学看護学部教授・小林寅喆さん

東邦大学看護学部教授・小林寅喆さん:
もう一つにつきましては、医療がひっ迫している地域で、今までは自分で療養するといっても、例えば50歳ぐらいから40歳までリスクを下げて、重症化する人をできるだけ守っていく形で自宅療養を進めているのですが、注意しなければならない点として、潜在的に基礎疾患を持っている方も中にはいらっしゃると。あくまでも軽症で、今までと同じで風邪の症状ぐらいでしたらこの基準でも成り立つと思うのですが、基礎疾患を持っている方には非常に注意をしていかなければならないと思います。

(「めざまし8」1月25日放送)