実録  子供がオミクロン株に感染…3つの家族の記録

今、急速に広がる子供への新型コロナの感染。
東京都の10歳未満の感染者は、1月2日の3人から、23日は385倍の1155人に。そして、子供を介した家庭内感染も急増している。都内の診療所によると、ここ2週間で発熱外来を受診する子供が増え、患者の4人に1人を占めるという。

3組の家族を取材すると、オミクロン株ならではの、家族全体への思わぬ影響が見えてきた。

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娘たち(長女6歳・次女3歳)と3人暮らしのAさん(34歳)。1月15日に次女が発症し、その後、
3人とも感染が確認された。

子供が感染した母親Aさん(34歳):
保育園でコロナが出てるっていう話は聞いていたので、子供が小さければ小さいほど(家庭への拡大は)防ぎようがない。どうしようもないんじゃないかなと

最初に発症した次女(3歳)は…

子供が感染した母親Aさん(34歳):
次女の方は、もう本当に軽い咳と鼻水っていう程度の(症状)なんで、実際に陽性って言われてもいまいちピンとこないぐらいの印象ですかね

一方、6歳の長女は…

子供が感染した母親Aさん(34歳):
(長女は)逆に鼻水とか咳とかはあまりなくて、一番高い体温で39度1分まで上がりましたね。頭痛はつらそうでしたね。あとやっぱり寒気がすごかったみたいで、本当に何もできなくて不安でしたね

次女とは一転、39度を超える発熱があり、頭痛や悪寒にも見舞われたという。
だが、発熱の2日後に撮影された映像では、長女は早くも平熱に。

熱が下がりきらなかった母親に向けて手紙を書いてくれるほど、長女の回復は早かったという。

さらに、息子(13歳)・娘(8歳)の子供を持つ大阪在住の女性Bさん(41歳・医療従事者)もまず娘が発症し、家族3人が感染。

その娘の症状は…

子どもが感染した母親Bさん(医療従事者・41歳):
(発熱)38度半ばぐらいですかね。翌朝は熱も下がって、本人も「治った、治った」って言って、元気に起きてきましたね

今回取材した、発熱があった12歳未満の子供全員が、翌日か2日後には平熱に戻っていた。

専門家に聞く 子供の重症化リスクは…?

川崎医科大学小児科学の中野教授に、子供の重症化リスクを聞くと、幼い子供ほど楽観視はできないという。

川崎医科大学小児科学 中野貴司教授:
(重症化の可能性は)高くはないかもしれませんけども。ただ0歳から2歳の方というのは、やはり臓器も免疫力もまだ未熟です。気管支炎とか肺炎とか重い状態に至ったり、持病のある子供たちっていうのは重症化する可能性はあると思います

また、子どもが感染した母親Bさんは、油断できない子供のある特徴を語った。それは娘が発熱した当初のこと。

大阪に住む女性Bさん(医療従事者・41歳):
元気で遊びに行きたいとか言ってたんですけど…元気なので、なんでこんなに熱出たのかなって戸惑いましたね。体温計が壊れたんじゃないかなって

元気に見えても、検温すると38度超え。子供の異変の気づきにくさが、家庭内感染の一因ともなっているのか。

今、増え続ける家庭内感染をめぐって、誰もが直面しかねない問題も明らかとなった。

「さらに10日間」自宅待機が振り出しに…

Bさんの知人は子供が感染したことにより、濃厚接触者に認定されている。オミクロン株の場合、国のルールでは、感染者と「最後に接触」してから10日間、自宅待機しなければならない。

感染した子供と同居している知人は、原則 子供が10日間の自宅療養を終えて「完治」したとみなされて、ようやく10日間の自宅待機が始まることになる。

自宅で自宅待機を待っていた知人。
しかし数日後、もう1人の子供が発症。すると今度は、その子供の自宅療養が終わるのを待つ必要がある。

つまり、自宅待機の日数が振り出しに戻ったことにより、知人は合計1カ月近く、仕事を休まざるを得ない状態に…

子どもが感染した母親Bさん(医療従事者・41歳):
また10日、また10日とかってなっていったら、実際にもう(仕事)現場がどんどん回らなくなっていってるので

これは、職場だけの問題ではない。

静岡市に住む5人家族Cさん一家。並んで夕食をとる5歳の次男と2歳の長女の後ろで…1人ポツンと食べていたのは7歳の長男。

子どもが感染した母親Cさん(34歳):
我が家で唯一陰性です。なので食事は1人で食べます

一家は長男を除く4人が感染。最初に父親の陽性が確認されたその翌日、Cさんと長女の陽性が判明。7歳の長男は濃厚接触者となった。小学校を休み、自宅で8日目を迎えた時、今度は次男の感染が判明。ここで再び、長男の自宅待機までの日数がリセットされることとなった。

子どもが感染した母親Cさん(34歳):
外出れないし、子供たち元気なのに家の中で過ごすっていうのも可哀想だし、つらいですよ。庭でならいいかなとか思うけど、昼間にこんな大きな子供たちが家にいるっていうのが通行人の人から見られたらコロナだなとか思うと、庭でも遊ばせらないっていうか…

早く学校に行ける日を待ち望み、感染予防を欠かしていないという長男。それでも国のルールでは、自宅療養が終わってからも10日間登校できないが…

Cさん一家が住む静岡市の一部地域では、新たな取り組みが始まっていた。

濃厚接触の子供を早く学校へ…新たな取り組み

静岡厚生病院小児科診療部長 田中敏博医師:
元気なのに「10+10」で約3週間も学校から離れる、やはり心の成長発達という事に関しても、すごくマイナス影響が多いかなと。もう少し短く設定してもいいんじゃないかと

家庭内で最後の感染者が10日間の自宅療養を終えた後、濃厚接触者となっている子供がPCR検査。陰性の場合、翌日から登園や登校を可能にし、自宅待機の期間を短縮する。

なぜ、短縮に踏み切ったのか?
ポイントは、自宅療養1日目と最終日の感染者の状態だという。

静岡厚生病院小児科診療部長 田中敏博医師:
ほやほやの感染者(1日目)に、発症者に接触した濃厚接触』という意味と、『10日目(最終日)の時点での接触』という意味での濃厚接触者は“濃厚の度合い”が全然違うと思います。
その時点(10日目)で検査をして陰性であれば、周りに迷惑をかけてしまう可能性はほぼ0に近いという。実際問題が生じていないということなので、これが良いんだっていうことになって、制度、通達を変えていくような方向になってくれればいいなと思います

(「Mr.サンデー」 1月23日放送分より)