FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。今回は、社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者が、愛子さまが初めて和歌を寄せられた歌会始の「疑問と秘話」を伝える。

歌会始のお題を決めるのは陛下

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
1月18日、新春恒例の宮中行事である「歌会始の儀」が、皇居宮殿の松の間で行われました。

この記事の画像(27枚)

歌会始の儀:
年の初めに〜
「窓」〜

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
この「年の初めに〜」という第一声ですとか、メロディーのような独特の節回しは聞いたことがあるという方も多いと思います。歌会始というのは、「決まったお題に沿った和歌を年の初めに詠む会」で天皇皇后両陛下や皇族方のほか、応募して選ばれた一般の人また歌人などが出席しています。

歴史と伝統のある歌会始について、「えっそうだったの!」というポイントや謎、また両陛下や愛子さまと和歌の秘話についてご紹介します。

まずは、歌会始のお題についてです。歌会始では、毎回決まったお題があり、2020年は「望」、2021年は「実」、2022年は「窓」でした。

このお題、誰が決めるのかと言いますと天皇陛下です。毎年、歌人が陛下に複数の候補をお挙げして、陛下が「分かりやすいかどうか」「一般の人が歌にしやすいかどうか」を考慮して、一つお決めになります。

加藤綾子キャスター:
そうなんですね!知らなかったです。

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
お題にも陛下の思いが込められています。

加藤綾子キャスター:
選考に応募するには、何が基準みたいなのもあるんですか?

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
あります。半紙を横にして、毛筆で縦書きに書いたものを宮内庁の方に送るんです。全国からどのくらい応募があったかというと、2022年は選考対象になったものは1万3830首でした。

「あること」をすると入選しても失格に…

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
応募の中から、歌人などが優れた10首を選びます。これまでに、中学1年生から高齢者の方まで幅広い世代が入選しています。

選ばれた10人は、当日宮殿に招かれて、両陛下の前で歌が読み上げられるという晴れ舞台が待っているんですが、せっかくこの難関を突破しても、あることをすると失格になってしまいます。

それは、どういうことかといいますと、「歌の内容を事前に漏らしてしまうこと」なんです。
陛下の前で初めて発表するというのが条件なので、例えば年賀状や出版物に先に載せてしまったり、嬉しさのあまりSNSに書き込んでしまったりすると失格になるので注意が必要です。

加藤綾子キャスター:
嬉しさは自分の中に閉じ込めて、噛み締めてということですね。

愛子さまは“百人一首クイーン”

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
歌会始の不思議なポイント、あの独特の節回しについてご紹介します。聴いていると、いにしえの世界にワープしているような、そんな感覚を呼ぶ要素のひとつが、名前の呼び方です。

例えば2022年の入選者の一人、伊藤奈々さん(いとうななさん)の場合は、「いとうのなな」となり、名字と名前の間に“の”が入ります。源頼朝(みなもとのよりとも)や菅原道真(すがわらのみちざね)と同じです。加藤キャスターの場合は、「かとうのあやこ」になります。

住田裕子弁護士:
お姫さまみたい!

加藤綾子キャスター:
本当ですか?住田さんは「すみたのひろこ」ということですね。

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
こういう古めかしい、いにしえの呼び方というのは、奈良時代から歌会というものがありましたので、そうした伝統を踏襲しているのではないかと考えられます。

この語尾を長く伸ばし、節回しをつける独特の詠みですけれど、一般の入選者の場合は、名前を呼んでから31文字の句を詠み終わるまでに、メロディーのように抑揚があるので1人約3分かかります。

今回、陛下は、世界との往来について、

「世界との往き来難かる世はつづき 窓開く日を偏に願ふ」

と和歌をお詠みになりました。側近によりますと、ご家族3人で相談しながらどういう和歌を詠むか、それぞれ歌を作られたそうなんです。ご一家の仲の良さがうかがえると思います。

また、両陛下の長女愛子さまは、今回、期末試験期間中のために出席は控えられましたが、成年皇族として初めて和歌をお寄せになりました。

「英国の学び舎に立つ時迎へ 開かれそむる世界への窓」

高校2年の夏に参加したサマースクールで、イギリスの地に立ったときに今世界への窓が開かれようとしている。という心の高まりを歌にされました。

ご自身で詠んだ上で、言葉の選び方など専門家にも相談して歌が完成したそうです。愛子さまが、こうして和歌に親しまれる基礎となったのは、幼い頃からご家庭での百人一首遊びです。

陛下は、ご自身も上皇ご夫妻の下で百人一首に親しんで育ってこられたので、愛子さまも幼い頃からご一緒に百人一首をされていました。

愛子さまはすごく百人一首が得意で、学習院女子中等科時代は、毎年2月に百人一首大会があり、ダントツの札数で圧勝されていたそうなんです。かなりの腕前だと伺っています。

和歌を通じて国民と寄り添う…“オタク歌”も

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
両陛下は、毎回入選された方と儀式の後に懇談をされるんです。1月18日の懇談では、室内に入っていたテントウムシが窓から外に出ていた様子を読んだ女性がいらっしゃいました。

「柿わかばきらめくまひる窓あけて 天道虫を風に乗せやる」

その女性に皇后さまが「テントウムシって冬ごもりを家の中でして春旅立つんですよね」という生き物好きならではのコメントをされました。

そしたら、その女性が「テントウムシもここで詠んでもらいびっくりしていると思いますよ」とユーモアで返して、すごく両陛下は笑っておられたそうなんです。

住田裕子弁護士:
やりとりが和やかな雰囲気ですね。通常の宮中のお茶会に何回か伺ってるんですけど、やっぱりそれよりもずっと親しみを感じるやり取りですね。

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
やはり両陛下は、和歌を読むという日本の伝統を大切に思うと同時に、入選した人たちそれぞれの暮らしや思い、人生というのをこういう機会に知って、和歌を通じて国民に寄り添おうと思われているのではないかと感じました。

早速ですが、2023年のお題がもう発表になり「友」です。「友」の字が含まれていればいいので、友人や友好といった熟語の一部でも構いません。応募は9月末が締め切りです。

私も毎年今年こそは応募してみたいって毎年思うんですけど、1回もできたことないんですが、和歌を詠むことは、やはりハードルが高いと感じる方もいるかと思います。ですが、実はこれまでにすごく身近な日常の光景を選んで入選した意外な作品もあったあります。1つご紹介します。

オタクの光景として話題になった歌で、お題は「光」です。

「ペンライトの光の海に飛び込んで 私は波の一つのしぶき」

高校1年生の女子生徒が、ゲームキャラクターのライブのパブリックビューイングに参加したときのことを詠んだ和歌なんです。

加藤綾子キャスター:
こうした日常を切り取った和歌でもいいってことなんですね。

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
新鮮な感覚のものも選ばれます。また、初めて応募して入選するというラッキーな方もいらっしゃるので、皆さんも是非ハードルを下げてトライしてみてはいかがでしょうか。

加藤綾子キャスター:
そうですね、今の話を聞くとハードルが下がるような気がします。

住田裕子弁護士:
今年のお題も世界に広がるような、広がりを感じるすてきなお題を天皇陛下が決められていて、そして海外との交わり、それからコロナを乗り越えようと心を一つにしようという心が伝わってきて素晴らしい会でしたね。

加藤綾子キャスター:
歌会を通じて国民と心を通わせるという、その気持ちが伝わってきますね

(「イット!」1月19日放送より)

イット!
イット!
メディア
記事 1656