世界で注目されている札幌市出身の和楽器奏者、木村善幸さん。和太鼓と三味線を自在に操り、音で世界をつなぐ木村さんは、世界遺産での演奏も予定している。コロナ禍に届けたい魂の音とは。
魂を込めて…大自然に感謝しながらの演奏会
大荒れの天気とコロナの感染増加への懸念のなか迎えた2022年。暗い話題を吹き飛ばすような力強い音が聴こえてきた。
札幌市出身、世界で活躍する和太鼓と三味線の二刀流奏者・木村善幸さんだ。
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木村善幸さん:
イライラしていれば「バン!」ってなっちゃうし、心温まる気持ちで打てば温かい音になる
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木村さんのテーマは祈り。2つの楽器で、心をひとつに。
木村善幸さん:
魂を込めた演奏をする。魂とはなんぞや…
2021年7月、阿寒湖畔のキャンプ場。ここを舞台に演奏するのは「北海道和太鼓塾」。率いるのは木村善幸さんだ。
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木村善幸さん:
この森に感謝。人に見せるというよりは森に見せる。あの森に「ありがとう」と
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環境セミナーの一環で行われたライブ。森に響く鼓動…。
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木村善幸さん:
(演奏は)難しいですが、太鼓は自然のものなので、自然のなかで演奏するのはうれしいです
小・中学生で知った和太鼓と三味線の世界
木村さんの和太鼓との出会いは小学4年生。友人に誘われ、盆踊りの太鼓練習に参加したのがきっかけだ。
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木村善幸さん:
町内会館から音が聴こえて、そこから心が踊って「やりたいかも」がきっかけ
その後、中学の修学旅行で津軽三味線と出会う。
木村善幸さん:
ベンチャーズのパイプライン。これを三味線でやるんだと思って、やりたい!みたいな
16歳から津軽三味線を始めた木村さんは、1年目にして全国大会で優勝を果たした。
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高校卒業後には新潟・佐渡を本拠地に活動する和太鼓集団「鼓童(こどう)」で腕を磨いた。周囲からは三味線との二刀流は無理だと言われたが…。
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木村善幸さん:
どっちも好きなんで、なかなかやめられないんですよね。冬は津軽三味線が好きで、夏は太鼓が好きで
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その後、北海道に戻り和太鼓と三味線のプロ奏者として活動を始めた。
コロナ禍で訪れた試練の時
札幌市中央区の練習場所。北海道和太鼓塾では、小学生から社会人まで約100人を指導している。
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生徒・田中律玖さん(小5):
僕も将来プロの太鼓奏者になりたいので、木村先生のまねをして稽古したい
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生徒・喜田千智さん:
初めてバチを握ってどーんと打っただけで、みんながひとつになれる楽器が和太鼓
心揺さぶる和太鼓は、世界で"TAIKO"として人気だ。木村さんもドイツなどで演奏会や指導を行ってきた。2020年には初のヨーロッパツアーを予定していたが…。
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木村善幸さん:
結構大きなツアーという形で決まっていたものがダメになった…
新型コロナウイルスの影響でツアーは中止に。自分は必要とされているのか、悩んだという。
木村善幸さん:
僕たちの世界はまったくいらないような判定を受けたよう。芸術・文化を守ると言っても、演奏する場もないと何もない。僕たち何もやることがないので
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木村さんにとって我慢の2年間だった。
木村善幸さん:
この2年間を修練の2年にしようと思って、修練と休息。その繰り返しをやってみよう
ようやくこぎつけた披露の場
2021年10月、札幌市内で久しぶりのコンサートが開かれた。
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ステージは津軽三味線で始まる。チケットは発売と同時に完売。演奏を待ち続けてきた人たちの熱気が会場を包む。
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締めは和太鼓。まさに二刀流だ。
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木村善幸さん:
やりきった!みんなの笑顔を見るとマスク越しにもわかります。ありがたいです
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活躍の場はさらに広がる。東京・三田の大本山弘法寺。護摩祈祷のこの日読経とともに木村さんの太鼓の音が響く。ここを拠点に和楽器の魅力を伝えていくことになった。
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コロナ禍でのテーマは「祈り」。収束への願いや亡くなった人を悼む気持ち。そうした思いを込めて太鼓に向き合う。
広がる演奏の場 飛躍の年に…
そして、2022年の幕開け。打ち初めは塾の太鼓。ベテラン塾生と合わせる。
木村善幸さん:
いつもの自分を表現するだけ、です。「心のこもった演奏をお届けする」。それが2022年の抱負でございます
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札幌市と東京の太鼓塾や三味線塾はもちろん、レコーディングや海外公演。そして2月には京都の世界遺産でのコンサートが予定されている。
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二兎を追い、二兎を得る。コロナ禍でも努力を続けてきた木村さんが飛躍の年を迎えた。
(北海道文化放送)