新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、自衛隊の運営する大規模接種センターの再開が決まった。
接種会場の確保に課題
ワクチンの3回目接種が1月・2月に山場を迎えることから、防衛省内では急ピッチで作業が進められているが、「接種会場の確保」が課題となっている。去年使用された東京・大手町の合同庁舎はメンテナンス面での問題が指摘され、大阪で使われた会議場はすでに他のイベントの予約で埋まっているという。
自衛隊による大規模接種は、菅前首相の指示で2021年5月から11月末までの半年間設置され、東京・大阪の2つの会場で計196万回の接種を行った。
年が明け、国内でも「オミクロン株」による新型コロナの感染が急拡大する中、岸田首相は11日、「自衛隊による大規模接種会場を設置するなど、自治体の取り組みを後押しする」と述べ、3回目のワクチン接種を推し進めるため、自衛隊の大規模接種センターの再開を表明した。

これを受け防衛省では翌12日、第1回大規模接種推進本部会議を開催、大規模接種センター再開に向けて、本格的に議論を始め、センターでの接種対象を、2回接種済みの18歳以上とすることや、モデルナ社製ワクチンを使用することを決めた。
古いエレベーターにトイレのつまり…
一方で、肝心の「会場の確保」には課題も残っている。去年使用した東京・大手町の合同庁舎はビルの老朽化が進んでいて、「トイレのつまり」などが問題視されている。加えて、エレベーターが古いため部品が枯渇しており、メンテナンス上の問題も抱えているという。関係者は「階段で上がれるならどこまでも使えるが、エレベーターを使うなら相当限定的な運用になる」と話す。高齢者も多く訪れる見通しのため、「エレベーターの使用頻度はかなり高い」(関係者)と指摘する。

さらに大阪では、去年使用した国際会議場がすでに予約で埋まっており、他の会場を準備しなくてはならない。コロナの感染拡大が去年の秋冬は落ち着いていたため、会議場の予約が回復していることも背景にありそうだ。
また去年はコールセンターの人集めに時間がかかったため、今回も早急に対応しないといけない。
大規模接種センターは東京と大阪に設置することを軸に調整していて、鬼木防衛副大臣は記者会見で「会場の設置場所、運営開始時期などについて来週早々にも結論を得る予定」と話し、早期に運用を開始したい姿勢を示している。
コロナの感染が急拡大し、ワクチンの3回目接種に高い関心が集まる中、会場確保などの課題を解決して、迅速な運用開始を行うことが求められている。
(フジテレビ政治部)