マイボトルで飲み物を持ち歩く人が増えているが、保温・保冷力の高い容器の“魔法瓶”は強い味方。使っている人も多いのではないだろうか。そんな“魔法瓶”で炭酸飲料を持ち運べるタイプが登場した。

タイガー魔法瓶株式会社が1月21日に発売するのが「真空断熱炭酸ボトル(保冷専用)」だ。同社によると、炭酸飲料対応の保冷専用ボトルを発売する国内唯一のメーカーになるという。

炭酸対応の「真空断熱炭酸ボトル」
炭酸対応の「真空断熱炭酸ボトル」
この記事の画像(18枚)

炭酸飲料を保冷したまま持ち運びたいという声に応えて開発し、炭酸に対応したタイガー独自の炭酸飲料対応せん構造「Bubble Logic(バブル ロジック)」が採用されている。

「Bubble Logic」では、ゆっくりキャップを回すと炭酸ガスが抜ける「炭酸ガス抜き機構」で、中身の噴き出しや飛び散りを防ぎ、さらに軽い力でキャップを開けることができる。また、ボトル内の内圧が高まると安全弁が自動的に作動して炭酸ガスを抜き、キャップが飛んだり、中身が噴き出ることを防ぐという。

炭酸飲料対応せん構造「Bubble Logic(バブル ロジック)」
炭酸飲料対応せん構造「Bubble Logic(バブル ロジック)」

そして、ボトル内面はなめらかで光沢のある「スーパークリーンPlus」加工を施すことで炭酸の気化を抑え、汚れ・ニオイをつきにくくしている。

スーパークリーンPlus
スーパークリーンPlus

ボトルカラーは3色で、炭酸をイメージさせる配色として、ビールの醸造所にあるタンクをイメージした「カッパー」、炭酸水入りの瓶を想起させる「エメラルド」、生活の中の基調となり、あらゆるシーンにマッチする「スチール」を用意。サイズは0.5L、0.8L、1.2L、1.5Lで、価格はオープンプライスとなっている。

3つのカラーバリエーション
3つのカラーバリエーション

結露することもないので、机やかばんを濡らす心配をせずに、自宅はもちろん持ち運んだ出先でも炭酸を楽しむことができ、ビールも大丈夫。炭酸好きな人にとっては嬉しい製品なのではないだろうか。

炭酸水を何度も浴びる苦労の末に完成

これまでの一般的な真空断熱ボトルに炭酸飲料を入れることができなかった理由は、炭酸でボトル本体の内圧が上がってしまい、せんが開かなかったり、内容物が吹き出たり、部品が破損して飛散する危険性があることだった。

これを回避するために生み出された「Bubble Logic」だが、どのようにして炭酸を抜いているのか? 炭酸が解禁された今でも入れてはいけない飲み物はあるのだろうか?

タイガー魔法瓶・真空断熱ボトルブランドマネージャーの南村紀史さんに教えてもらった。


ーー「Bubble Logic」の「炭酸ガス抜き機構」は、どのようにして炭酸を抜いているの?

炭酸飲料用のペットボトルからヒントを得て、せんのねじ部分の2箇所に縦の溝を入れることで実現しました。せんを開栓方向に回すと、せんが外れる前に内部の炭酸ガスを先に抜くことができる構造です。せんが開けにくくなることなく、少ない力で回し開けることができます。

炭酸ガス抜き機構
炭酸ガス抜き機構

ーーでは、もう1つの「安全弁機構」では、なぜボトル内の異常に反応できるの?

圧力炊飯器でこれまで培った技術を応用しております。設定した圧力以上に圧力が高まるとそれを検知し、圧力を開放する機構(安全弁)を組み込んでおります。

安全弁機構
安全弁機構

ーー「Bubble Logic」の開発で難しかった点を教えて。

炭酸ガスの内圧に耐えうるせん構造の開発に苦労しました。開発時の試験では、担当者が噴き出す炭酸水を何度も浴びるなど、苦心の末、炭酸対応せんの開発に成功しました。市場では各社から、続々と「強炭酸水」が発売されており、それらにも随時対応しなければなりませんでした。


ーーペットボトルのように、キャップを回すとプシュッといった炭酸ガスが抜ける音はするの?

キャップを半回転程度ひねると「プシュッ」と炭酸ガスの抜ける音が鳴ります。その後、さらにキャップを回していくとキャップを開けることができます。

プシュッと炭酸ガスが抜ける
プシュッと炭酸ガスが抜ける

ーーこれまでと変わらずに入れてはいけない飲み物はある?

従来の真空断熱ボトルと同様、乳製品や、味噌汁のような塩分を含むもの、お酢は、入れることをお控えいただくようお願いしております。

ペットボトルより炭酸の気化を抑える

ーー炭酸を入れた状態で振っても大丈夫?

故意に強く振る行為は危険ですので控えていただくようお願いいたします。カバンの中に入れて持ち運ぶ等、通常の生活の中でお使いいただく際にボトルにかかる振動では、問題なく開けていただけます。


ーー「炭酸ガスが抜ける仕組み」で、徐々に炭酸が減ってしまう心配はない?

「炭酸ガスが抜ける」とありますが、ボトル内部で気化してしまった分を開栓時に「先に抜く」ものであり、随時炭酸を抜きながら保持しているわけでありません。密閉性は確保されております。

ペットボトルと比較すると真空断熱の保冷力により飲料を低い温度で維持できますので炭酸の気化を抑えることができます。また、ボトル内部の「スーパークリーンPlus」加工でも炭酸の気化を抑えることができます。

ペットボトルよりも炭酸の気化を抑える
ペットボトルよりも炭酸の気化を抑える

ーー「Bubble Logic」の他にこだわった部分を教えて。

ボトルの内部の「スーパークリーンPlus」加工です。炭酸ガスの気化が進む要因の1つは、炭酸があたる面の凹凸です。例えば、氷に炭酸水を注ぐと非常に多くの泡が発生しますが、あれは氷表面がなめらかなように見えますが、実は微細な凹凸が無数にあることによるものです。弊社のスーパークリーンPlus加工は、ボトル内面の凹凸を可能な限り少なく、平滑に仕上げる加工です。この加工により、炭酸の気化をおさえています。

※「スーパークリーンPlus」加工は今回の真空断熱炭酸ボトルのために、新規開発をした技術ではなく、当社の従来品にも採用されている独自技術です。ステンレス表面がなめらかであるため、汚れやにおいがつきにくく、お手入れ性にも優れております。

さまざまな場所で炭酸を楽しめる
さまざまな場所で炭酸を楽しめる

ーー現在どういった反響が届いている?

SNS(特にTwitter)を中心に、お客様からは「炭酸を持ち運べるボトルがほしいと思っていたから嬉しい!待ってました!」「買います!」「画期的な商品」等、非常に多くの有難いお言葉をいただいております。中には、当社ボトル紹介ツイートを引用した投稿をした方で、1月13日時点で1.6万いいねがついており、「クラフトビールの持ち帰りに使いたい!」という声も多くあがっております。


ーーそういった反響に対してはどのように思う?

お客様のご要望に応えることができる商品を開発ができたこと、 開発に携わったメンバー一同、非常に嬉しく思っております。発売以降、実際に商品を使っていただいた後、感想の声を聞かせていただくことが楽しみです。

国内メーカー唯一の炭酸対応ボトル
国内メーカー唯一の炭酸対応ボトル

近ごろマイボトルを持ち運ぶ人も増えてきているが、実は水筒や真空断熱ボトルに炭酸飲料を入れるのは危険だということを知らなかった人もいるかもしれない。

今回を機に、安全に冷たい炭酸飲料をさまざまな場所で楽しんでみるのはどうだろうか。

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(18枚)
プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。