新年の楽しみの一つ、おみくじ。引いた人も多いと思うが、その運勢に「吉凶未分」というものがあるのをご存じだろうか。読み方は「よしあしいまだわからず」で、珍しいとして話題になっている。

2022年に引いた、Twitterユーザーのきりんさん(@2AAkYmgwCWINb40)に見せてもらうと、たしかに「吉凶未分」の文字が。項目別の運勢を見ても「学業 努力しだい」「旅立 ゆだんすべからず」「願事 すぐには叶わず」などとあり、確かに吉とも凶とも判断しにくい印象だ。

(画像提供:きりんさん)
(画像提供:きりんさん)
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このおみくじを引いたのは、大阪最古の神社として知られる、生國魂神社(大阪市)。約2700年の歴史があるという由緒ある場所だ。「吉凶未分」を引いたことがある人は少ないようだが、この神社だけの運勢なのだろうか。

運勢が「定まっていない状態」

おみくじは運勢がいいのか悪いのか運試し的なところがあると思うが、吉でも凶でもないとなると、どのように受け止めればいいのだろう。もう一度引きたくなりそうなものだが、そうしてもいいのだろうか。吉凶未分の由来と受け止め方を、生國魂神社に聞いた。

――「吉凶未分」はどんな意味がある?

これは運勢が分からないということではなく、いい方向にいくか、悪い方向にいくか「定まっていない状態」ということになります。そのままの意味で受け止めていただければと思います。


――おみくじで出るようになった経緯を教えて。

簡単に言うと「おみくじの結果にもともと入っているもの」なのです。実は近年のおみくじは参拝者が分かりやすいよう、運勢の表記を改めているところもあります。吉凶未分であれば、末吉のような表記にしていることもあるかもしれません。生國魂神社は古い表記が残っています。

生國魂神社(画像提供:生國魂神社)
生國魂神社(画像提供:生國魂神社)

――なぜ生國魂神社では古い表記が残った?

大阪の特殊な地域性が影響していると思われます。大阪の城下町には豊臣秀吉がさまざまな職能集団を住まわせたといいます。生國魂神社はこの城下町にあり、地域には「紙工」(紙を加工する場所)もあったそうです。そのため、紙製品と神社などの結びつきが深く、おみくじも仮名遣いなどは直していますが、表記は古いままで残ったと考えられます。


――吉凶未分はどれくらいの確率で出るの?

母数などは公言していません。ただ、基本的に少数ではあります。

何かが出るまで引くのは意味のない行為です

――吉か凶かを知りたいともう一度引いていい?

おみくじを引くのは、自分の運勢を占いたい時だと思います。タイミングはいつでもいいですが、何かが出るまで引くのは意味のない行為です。信心が足りている状態ではありません。

大事なことは運勢の結果ではなく、内容をしっかりと読んでいただくことです。同じ「吉」でも、内容はいくつものパターンがあります。内容を参考にしていただくのが正しい見方です。

内容をしっかり見ることが大切(画像はイメージ)
内容をしっかり見ることが大切(画像はイメージ)

――ほかにも珍しい運勢の結果はある?

生國魂神社では「平(へい)」という結果があります。平穏無事という意味です。例えば、運気が良くて宝くじが当たったとしても、それにより一家離散となる可能性もあります。それよりも日常生活の充実だったり、日々の健康が一番です。このほかだと「凶吉向(きょうきちにむかう)」というものもありますが、後は引いてからのお楽しみにしていただければと思います。


――おみくじは持ち帰る?それとも境内に結ぶのがいいの?

本来は全て持ち帰ります。その場で読んでも分からないことが多いので、調べて分かることが本来の在り方です。凶が出ると気分が滅入るので「凶を置いて帰る」と結ぶ風習もありますが、それが今は全てを結ぶような形になっています。神社ではお焚き上げを行うので、持ち帰ったおみくじはそこに持っていただくことになります。


ちなみに「凶吉向」は、今は凶だが次第に吉に向かう、という意味だそうだ。
おみくじは運勢の結果に一喜一憂しがちだが、大切なのは書かれた内容をどう受け止めるかだ。望ましい結果が出ても油断せず、望ましくない結果が出ても落ち込まず、1年の参考にしてみてはいかがだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。