「痛い痛い」と騒ぎ出し…被害続出“挟まれ屋”の手口

タクシーのドアに挟まれてブランド靴が傷ついた…
こうして現金を要求する、通称“挟まれ屋”が2021年の秋から福岡市内に出没している。

2021年12月15日の未明、福岡市博多区を走っていたタクシー。すると、スーツ姿の男がタクシーを止めた。

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(2021年12月15日午前0時半)
運転手:
はい。こんばんは、どうも

挟まれ屋:
こんばんは

運転手:
ご乗車ありがとうございます

挟まれ屋:
クレジットカード使えます?

運転手:
ご利用いただけます。ドア閉めても大丈夫ですか?

挟まれ屋:
おっちゃん、足挟まってるレバーに

運転手:
あっ!

挟まれ屋:
開けんな!痛い痛い痛い!足挟まってる。ちょっと待って

運転手:
すみません、どうも

挟まれ屋:
ちょっと待って、どうしたらいい、レバーに

タクシーのドアが閉まると、すぐ「挟まってる!」と騒ぎだした関西弁の男。福岡市内のタクシーで被害が続出している通称“挟まれ屋”だ。

その手口はワンパターン。タクシーに乗り込んだ際、ドアの開閉で「高級ブランドの靴が傷ついた」などと言いがかりをつけ、運転手に現金を要求するのだ。

運転手は、この男がいわくつきの人物とは知らずタクシーに乗せてしまったのだが…

挟まれ屋:
靴、破れたで、おとうちゃん

運転手:
う~ん、ちょっと警察…

挟まれ屋:
そんな言うつもりないし

運転手:
はい

運転手が警察に事故として届けを出そうとすると、挟まれ屋の男は態度を一変。それまでのドアに挟まれたとのアピールを一気にトーンダウンさせた。
そして…

挟まれ屋:
気い悪いから、ええわ

運転手:
ああ、すみません、どうも失礼しました

挟まれ屋:
「ドア開けます」「閉めます」くらいちゃんと言って

運転手:
はい、ああ、すみませんね

挟まれ屋の男は、タクシーに乗り込んでからわずか1分ほどで退散した。
男を撃退した運転手は…

運転手:
絶対、これ金にしようとしていて、ははは、甘いですね。絶対、これ、まともなヤツじゃないな

「ドア挟まってんねん」「修理してよ」と現金要求

挟まれ屋の男は、2021年の秋から福岡市内に出没しているとみられている。

(2021年11月27日)
挟まれ屋:
ドア閉まっ…おっさん、ドア挟まってんねん

運転手:
挟まってます?

挟まれ屋:
挟まってたで

同一人物とみられる男による現金の要求は、未遂も含めると2021年10月から、確認できただけで7件にものぼっている。なかには1万円を男に渡してしまった運転手もいる。

(2021年12月15日午前0時)
挟まれ屋:
痛いってもう…。ハァ~…、大名(地名)

運転手:
大名。はい

挟まれ屋:
おっちゃん、挟まってたで、今

運転手:
あっすみません

挟まれ屋:
閉めて

運転手:
いいですか、閉めますよ

挟まれ屋:
ばりばり挟まってるやん、おっちゃん。どないしていただけるんですか

運転手:
逆にどうしたらいいですか

挟まれ屋:
どないか、修理かなんかしてよ

運転手:
5,000円じゃだめですか?

挟まれ屋:
5,000円で直る訳ないやん、定価10万円くらいすんねんから

運転手:
10万円するんですか

“挟まれ屋”の男の連絡先を入手

挟まれ屋はいったいどんな人物なのか。この男をよく知るという人物から話を聞くことができた。

挟まれ屋の男を知る男性:
あの男は関西出身の20代で、名前をAと言う。口が上手く、全国各地に出没しては、いろんな詐欺行為を繰り返している

さらに視聴者から情報を得て、男の携帯電話番号を独自に入手。一連の行為について直接、問いただすことにした。
しかし…

記者:
通話中。着信拒否しているかもしれませんね

どうやら男は、携帯電話のアドレス帳に登録されていない番号を全て着信拒否にしているようだ。
ところが、その8分後…

記者:
今、ちょうどショートメッセージが来て、「どちら様ですか?」というメッセージがきました。かなり用心深いですね

男にメッセージを送り取材を申し込むも、男からの返信が返ってくることはなかった。

父親を取材…被害者が実家に押しかけることも

一方、取材班は、男の父親に接触することに成功。

記者:
お父さんから見て、息子さんはどういう方ですか?

父親:
いいやつはいいやつですけど、ダメと言えばダメです

記者:
どういったところがダメ?

父親:
だから、そういったことですわな。詐欺まがいなことを、詐欺って言っていいんですか…

父親すらもサジを投げている「息子」の行為。
息子が金に執着するようになったのは、大学に通い始めた頃からだと明かした。

記者:
たとえば、お父さん、お母さんにお金を貸してほしいとか?

父親:
それはありましたよ、大学行き始めたころはね。それからですわ…

記者:
そのあたりからなんですね、お金に執着するといいますか

父親:
そうですね。大学は途中で辞めてるんでね

時には息子の被害にあったという人が実家に押しかけてくることもあるという。

記者:
被害者が直接実家に?

父親:
そうです。私らもどうすることもできへんし、(私に)罵声を浴びせて帰らはる人もおるし、いろいろですわ

記者:
改心してほしい?

父親:
それはね、どないかしてでも、更生できればいいんですけどね。でも、できないでしょうね…

(2021年12月15日午前0時半)
挟まれ屋:
おっちゃん、足挟まってるレバーに

運転手:
あっ!

挟まれ屋:
開けんな!痛い痛い痛い!

一体、この男、どれほどの詐欺行為を重ねてきたのか…。
福岡市内で相次いでいる「挟まれ屋」被害は、氷山の一角なのかもしれない。

(テレビ西日本)