スポーツの力で地方創生を!スポーツ庁が新制度
スポーツ庁は、東京オリンピック・パラリンピック大会をきっかけに、スポーツへの関心の高まりを各自治体で継続し、住民の健康のためなど定着させてもらうため、スポーツのチカラを活用して地方創生に取り組む自治体を応援する表彰制度を新たに創設した。

12月14日に、第1回「スポーツ・健康まちづくり優良自治体表彰2021」が都内で開催され、様々な取り組みを行う30の自治体が受賞し、来場した29の市長などがスポーツ庁・室伏長官から直接表彰を受けた。
スポーツを活用した様々なアイデアとは
30自治体のうち、唯一、都道府県として表彰されたのは沖縄県。空手発祥の地として、沖縄経済を成長させる新たなエンジンにしようと、空手を目的とした愛好者などの交流や、観光産業などへの波及効果を盛り込んだ「沖縄空手振興ビジョンロードマップ」が評価された。

徳島県美馬市は「『美と健康』のまちづくりプロジェクト」と称して、姿勢の悪さや慢性的な痛みを感じる20歳以上の市民を対象に、運動プログラムや栄養食の摂り方などを、ICTを活用して活動量を「見える化」し、運動習慣の定着に繋げている試みを紹介。
それぞれの自治体がスポーツツーリズムや障害者スポーツ、国際交流などの取り組みが、評価された。

パラ金メダリスト道下美里氏「マラソンは地域一体型のスポーツ」
表彰式の前に行われたトークセッションには、特別ゲストとして、タレントで『百獣の王』として知られる武井壮さんや、東京パラリンピック金メダリストの道下美里選手も参加し、室伏長官などと意見を交わした。

武井さんは日本フェンシング協会の会長でもあり、東京大会招致が決まった後はパラアスリートを紹介する番組を担当。自身がパラ選手と対戦することで、鍛えてきた自分の身体を持ってしても及ばない技術や能力に驚愕したエピソードを紹介。オリンピアン、パラリンピアンとバリアをなくして自由に暮らせる社会を作っていく必要性を訴えかけた。
道下選手も競技を始めたきっかけはダイエットだったと言うが、フルマラソンは「地域一体型のスポーツ」と話す。様々な人が関わる中で、スタートしてゴールするだけでルールが明確なスポーツ。伴走者がいるかいないかが違うだけで、タイムが速い人が強い。道下選手は「障害があることは決して関係ない。スポーツ競技を通じて心のバリアが取れるもの。」と語った。

海外で見た光景が『スポーツ×地方創生』のヒントに
室伏長官は選手時代にヨーロッパ遠征に行った際のエピソードを紹介。ドイツでトレーニングをしようと練習場に行くと、地元の高齢者がクッキーを置いて、紅茶を飲みながらハンマー投げを楽しんでいたという。その間、練習場が空くまで室伏長官は観ながら待っていたが、このように地域に根ざしたスポーツが日常的に行われ、健康増進のためにスポーツには可能性がたくさんあると気付いたと話した。

20日に開かれた定例記者懇談会で、室伏長官は「スポーツによるまちづくり、ツーリズムを施策として力を入れていく。」と改めて述べ、好事例についてそれぞれの市長らが意見交換することで、さらにこの取り組みが全国に広がり、国民全体の機運醸成に繋がることを期待している。
表彰式の最後に行われた『スポまち!ピックアップ』では、抽選で、北海道北見市が選ばれた。新型コロナウイルスの感染状況を見つつ、室伏長官が現地を視察する見通し。スポーツ庁は、2022年度以降も、様々な地方創生に取り組む自治体を表彰する方針だ。
(フジテレビ社会部・文科省担当 川田梨江子)