「サウナ―」という言葉をご存知だろうか?
サウナ―はサウナを愛してやまない人たちの事で、そのサウナ―が追い求めているのが「ととのう」。サウナと水風呂を繰り返したあと休憩すると、血行が良くなって、深いリラックス状態になる。その瞬間を「ととのう」と呼んでいる。

今、全国的に人気が高まっているそのサウナを取り入れ、「温泉が出ない」という窮地を乗り越えようと取り組み始めたホテル「ろあん」を取材した。

一里野高原ホテル「ろあん」
一里野高原ホテル「ろあん」
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災害で温泉が出なくなり…客足が減少

石川・白山市の一里野温泉スキー場。
12月14日、安全祈願祭が行われ、スキー場関係者がシーズン中の安全・盛況を願った。

向山リポーター:
スキーシーズン到来とともに忙しくなるのが周辺の温泉施設ですが、未だある問題を抱えています

ゲレンデそばにある一里野高原ホテル「ろあん」。この日、ホテルは休業、予約は0。

一里野高原ホテル「ろあん」・山﨑太一朗さん:
時期によっては通常の10分の1とか、ほとんどが7割減という、そういう状況がずーっと続いておりまして。経営的にも後がなくなってきた

こう話すのは支配人の山﨑太一朗さん。経営が厳しい理由…それは、白山の中腹で起きた土砂崩れ。道路が寸断され、その下を通る温泉を引く配管が壊れて2020年12月から温泉が出なくなった。

配管を管理する市は、国交省などとヘリコプターで現地を視察し、復旧にむけた調査を行ってきたが、今も温泉は出ないまま。復旧の目途は立っていない。

白山市・山田憲昭市長:
自然相手なものですから、(復旧への)工法がまだ決まって無いということで、終わりがまだ見えていないというのが現状です

温泉が出なくなってから1年。同じ一理野温泉の宿からも、悲痛な声が聞かれる。

ケリエ山荘・足立泰夫さん:
コロナと温泉管が断裂したということで、非常に運営側としてはつらい一年でした。早く復旧してくれたらというのが地域全体の願い

こうした中、「ろあん」では温泉が出なくなって以来、お湯を沸かして対応している。市は、湯を沸かす費用を一部補助しているが…

一里野高原ホテル「ろあん」・山﨑太一朗さん:
昨今燃料費も上がっておりますし、(市からの補助では)全然足りないんですけれども、もうちょっと何とかご支援いただけたらとは思いますが

サウナブームに乗って…露天風呂をサウナルームに

そんな状況を打破しようと、12月上旬から始めたのがサウナ。

一里野高原ホテル「ろあん」・山﨑太一朗さん:
ここがもともと露天風呂だった場所なんですけど、今露天風呂の上にテントを張りまして、中に薪ストーブを設置して、テントサウナをここでやっているんです

露天風呂だった場所にテントを張って、貸し切りサウナにした。

一里野高原ホテル「ろあん」・山﨑太一朗さん:
温泉も来なくなって、空っぽになって物悲しい露天風呂見ながら、今サウナが流行っているみたいだし、ここにテント張ってサウナ出来るかもしれないねと

熱く焼けた石の上に水をかけて蒸気を発生させる、フィンランドの伝統的な方法「ロウリュ」も楽しめる。

一里野高原ホテル「ろあん」・山﨑太一朗さん:
サウナの一番の主役になるのは外気浴なんですね。白山の素晴らしい空気と、秋には虫の音を聴きながら癒して頂く…これが最高の外気浴のシチュエーションだと思っております

一里野高原ホテル「ろあん」・山﨑太一朗さん:
これまで温泉が来なくなったことを大変悲しんでいたんですけど、今はこのサウナ事業にやりがいと意義を感じています

ホテル「ろあん」に、サウナを目当てにお客さんがやって来た。中には1年に150回もサウナに入るという「サウナ―」も。

サウナー:
自然の中で薪ストーブで温まりながら、外も見えて(サウナから)上がると外気浴も最高なので、サウナがあまり得意じゃない人もアウトドア感覚で楽しめていいと思う

内湯はサウナに欠かせない水風呂へと変わった。

サウナー:
最高です!

水風呂以外にも、白山麓ならではの雪で「ととのう」人も。

一里野高原ホテル「ろあん」・山﨑太一朗さん:
晴れてお客さんにも来てもらって、テントサウナも喜んでもらっているし、すごく手ごたえを…やってよかったな、やりがいがあるなという思いを強く感じている

一里野高原ホテル「ろあん」・山﨑太一朗さん:
これをスタートにして、このあともっと盛り上げていこうと思っているので、たくさんの方に白山の恵みで癒されて、元気になってもらえたら僕ら本望です

温泉とサウナ。形は変わっても、客に元気になって帰ってもらいたいというホテルの気持ちは変わらない。

(石川テレビ)

石川テレビ
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