自民党の国防部会・安全保障調査会が12月20日に開催され、国家安全保障戦略・防衛大綱・中期防衛力整備計画のいわゆる“三文書”の改訂に向けた本格的な議論がスタートした。
冒頭、小野寺五典安全保障調査会長は「党として一定の方向にまとめ、政府にしっかり提言をしていくということが大切だ」と述べた上で、「国家安全保障戦略はあるが、その後に大綱、中期防ということで、国家の“防衛戦略”がない。本当にこれでいいのかということも含め意見を賜れば」と問題提起を行った。
議論の中で、出席した議員からは「アメリカは、国家安全保障戦略(NSS)がある中で、それを受けた形で国家防衛戦略(NDS)、さらにそれを受け国家軍事戦略(NMS)がある。この3段階を参考にするべきではないか」などの意見が上がったという。
一方、別の議員からは「防衛大綱の基本方針の部分を、ある程度エッジを立てて作り直せば”防衛戦略”の役割を果たすと思う。必ずしも戦略、大綱、中期防に加えた“四文書”を目指しているわけではない」との意見が出た。
“三文書”の改訂に向けた自民党内の議論は、2022年から有識者などを招き、週1回のペースで開催され、2022年5月に政府に向けて提言をとりまとめる予定だ。
岸田文雄首相は12月6日の所信表明演説で、防衛力を抜本的に強化するため「新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防をおおむね1年間かけかけて策定していく」と述べている。
これを受けて、防衛省では大臣や副大臣、防衛省幹部らからなる「防衛力強化加速会議」を立ち上げ、これまでに3回の会議を開催している。