2021年11月14日、宮崎県日南市の妙源寺で新たな住職を迎える入寺式が執り行われた。病気を乗り越え、地域に根ざしたお寺づくりを目指す若き住職を取材した。

気軽にお寺を利用してほしい

日南市にある日蓮宗妙源寺。この夜、お堂で開かれていたのはヨガ教室だ。

日蓮宗妙源寺(宮崎・日南市)
日蓮宗妙源寺(宮崎・日南市)
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非日常な空間の中で約1時間、心地よくヨガを楽しんだ。

お寺で行われていたのはヨガ教室
お寺で行われていたのはヨガ教室

参加者:
新鮮で、心と体もリフレッシュされたような気がします

このお寺の住職、黒木敬順さん(32)。

ヨガ講師を招きお堂で教室を開催
ヨガ講師を招きお堂で教室を開催

地域の人に気軽にお寺を利用してもらいたいと、1年前からヨガ講師を招き、この教室を始めた。

妙源寺 黒木敬順住職:
お寺って「檀家さんじゃないと来れない」とか、「関係者じゃないと来れない」というイメージを持たれていて…。リアルに、お墓の相談とか、なんでも

病を乗り越え僧侶に お寺から街へ活気を

黒木さんは、宮崎市高岡町にある本永寺の住職の長男として誕生した。

長崎の大学を卒業後、プロのミュージシャンを目指して音楽活動に没頭する毎日を送っていたが、国の定める指定難病「潰瘍性大腸炎」を患い、夢半ばで宮崎に帰省。

そして療養後、実家のお寺を手伝う中で僧侶の道を志すようになった。

妙源寺 黒木敬順住職:
病気などの経験を通して、自分1人では生きていないなと。頭では分かっていたけれど、本当に刺さったというか、そこに気づくことができて。最初はお坊さんの世界は分からなかったけれども、仏教の自分のためだけじゃなくて周りの人のために修行するとか、周りの人のための幸せを願うとか、そういったところが色々つながっていった

2019年6月、修行を終えた黒木さんは、先代の住職が亡くなって以降、住職が不在だった妙源寺の3代目住職となった。

そして、少子高齢化が進み“お寺離れ”も懸念される中、お寺に対するイメージを変え、地域の人々が集まるコミュニティーにしたいと、黒木さんがまず始めたのがヨガ教室だった。

妙源寺 黒木敬順住職:
お寺をずっと未来に繋いでいくというのが、お寺の住職の仕事だと思っておりまして。お寺が元気になれば、もしかしたら街も元気になるかもしれない。微々たる力かもしれないですけれども、お寺発信で何かできればいいかなって思っています

「ここが出発点」29年ぶり新住職の就任式

正装に身を包む黒木さん。

11月14日、新型コロナウイルスの影響で延期になっていた新住職の就任式「入寺式」が開かれた。妙源寺の入寺式は、2代目・黒木源章住職以来、29年ぶり。

入寺式には県内の僧侶や檀家など100人以上が参加。厳かな雰囲気の中、3時間かけて執り行われた。

妙源寺 黒木敬順住職:
(お寺は)住職一つの考えで、住職が一生懸命やれば、その分どうにでもプラスに転じると思いますし、本当に私の力にかかっていると思っています

入寺式のあと寺の玄関に出向き、帰りゆく参加者一人一人にあいさつをする黒木さん。参加者からは、激励の言葉が投げかけられた。

入寺式の参加者:
あなたの頑張り次第だからね。これからだね、頑張ってくださいね!敬順上人!

妙源寺 黒木敬順住職:
面と向かってああいう熱い温かいお言葉というのは、本当に胸に刺さりましたし、よりいっそう本当に頑張らなきゃいけないなと思いました。ここが出発点なので、またここから日南の街に愛されるようなお寺を作っていきたいです

多くの人の期待を一身に背負い、黒木住職は地域の明るい未来を奏でる。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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