規格外の飴をスプレーに

のど飴で知られる老舗企業が地球に優しいスプレーを作った。

13日、食品メーカー「カンロ」が発表したのは、飴から生まれたアロマスプレーの試作品。

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長年親しまれているカンロ飴。
棒状にまとめられた生地を丸い形に成形する過程で、余ったり割れてしまったりした規格外のものの一部は廃棄せざるを得なかった。

カンロ・三須和泰社長:
我々の廃棄した飴も大半は飼料に使われているということで、サーキュラー(循環型)になっていないわけではない。 ただ、より付加価値の高いものに使って行ければ、我々にとっても嬉しいし世の中にとってもお役に立てるのではないかと。

そこでカンロがタッグを組んだのは、以前「Live News α」でも取り上げた米や果物のかすなどからエタノールを作る技術で循環社会を構築する企業。

規格外の飴と米を混ぜて発酵させることでマスクスプレーやアロマスプレーに生まれ変わらせた。
マスクスプレーは飴の甘い香りではなく、ラベンダーの香り。

来年夏にもエタノールを活用したスプレーやウエットティッシュ、石鹸なども販売予定だ。

また、今後は飴を使った食べられるストローの展開も予定している。

カンロ 三須社長:
キャンディーで培った製造のノウハウ、我々の今まで築いてきたものから新しいものを生み出していきたい

廃棄せざるを得なかったものを新たな価値へ。
食品ロス削減への意識が高まる中、循環型経済を目指す取組みは加速している。

企業にとって"地球"も大切な利害関係者

三田友梨佳キャスター:
経済アナリストの馬渕磨理子さんに聞きます。
馬渕さんはカンロの三須社長に取材されたことがあるそうですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
三須社長はキャンデー市場の総合シェアでナンバーワンを誇るカンロの存在意義、つまり企業活動のゴールについて「糖から未来をつくり、世界中の人を笑顔にする」と何度も話されていました。

人々の笑顔のためにSDGsを強く意識していて、規格外の飴を再利用する今回の取り組みはカンロが目指す循環型経済を具現化したものです。

三田キャスター:
その循環型経済への取り組みは経営の最重要課題のひとつとされていますね。

馬渕磨理子さん:
例えば東京証券取引所は来年4月、現在の1部、2部 マザース、ジャスダックの4つの市場から「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つの市場に再編します。

現在、東証1部に上場している企業でも気候変動リスクや持続可能な企業活動への取り組みに欠けていると判断されると「プライム」市場に移行することが出来ません。

そのため決算資料にあわてて環境への取り組みを書き込む企業も少なくない中、カンロの場合、2030年までに食品の廃棄とCO2を共に2割削減する具体的な目標を掲げ、毎年どれほどの削減が出来たのかを公表しています。

三田キャスター:
目標だけでなく具体性が1つ重要な点なんですね。

馬渕磨理子さん:
カンロは投資家に加えてすべてのステークホルダーに向けたアニュアルレポートと呼ばれる年次報告書の国際的なコンペティションに参加して6部門で「ゴールド」の評価を得ています。

カンロの創業は大正元年。
こうした老舗企業の場合、どこか保守的な社風をイメージしてしまいますが、カンロは積極的に環境への取り組みとその情報発信を行っています。
糖質制限が健康トレンドとして注目されている中、キャンデーを主力商品とする企業が成長するには消費者にも、地球にも 「安心安全」をアピールする必要があるのかもしれません。

ステークホルダーというと株主、取引先、そして消費者などが挙げげられますが、今、地球もまた企業が大切にすべき利害関係者だと理解する必要があります。

三田キャスター:
地球環境が破壊されたら経済は成り立ちませんから、環境にも経済にも持続可能性をもたせるこうした取り組みはこれからの社会に不可欠な経済成長のモデルとして広がりを見せることが期待されます。

(「Live News α」12月13日放送分)