
政府の18歳以下のこどもへの10万円相当の給付を巡り、国会は荒れ模様になりつつある。
来年春に給付が予定されている5万円相当のクーポンについて、政府が自治体に対し「来年6月末までにクーポンの給付開始を出来ない見込みである場合に限り」現金給付を認めるとし、その場合は「理由書」の提出を求めていたことがわかった。
自治体にとっては、5万円の現金給付、クーポン券の発行準備、新規取得者に最大5000ポイントが付与されるマイナンバーカードの受付、新型コロナワクチンの3回目の接種準備などこれから膨大な事務作業に追われることになり、すでに現場からは批判や反発の声があがっている。こうした声も受け、国会では野党側が政府への追及を強めている。

立憲民主党は10日、自治体の判断でクーポン支給分も現金で給付を可能とする”10万円一括給付法案”を国会に提出した。法案提出者の一人、山井和則議員は「地方自治体が自主的に自由にクーポンか、全額現金支給かを選択できる法案内容だ。地方自治体の意向を尊重、子育てか家庭の意向尊重、そして最大967億円の無駄遣いをなくす一石三鳥だ」と述べ、与党側に速やかな法案審議を求めた。

さらに日本維新の会は、現在10%の消費税率を今後2年間は5%に引き下げ、その後は8%とする法案を国会に提出した。減税分の財源は国会議員の定数や歳費の削減、行政改革等で確保するとしている。維新の藤田幹事長は「『クーポンは地域振興になるから』と政府は言うがその政策趣旨が当初から変わっている。本末転倒でぐちゃぐちゃになっているというのが私の認識だ。これは天下の愚策だと思う。我々は多くの国民の皆さんが利益を享受できる消費税の減税をやって消費を喚起し、負担を減らしていこうという一番シンプルな考えだ」と訴える。

同じく減税法案を週明けに国会に提出する予定の国民民主党の榛葉幹事長は「内閣官房が提示した新学期の概念が4月から7月頃までというのに驚いた。7月にランドセル買ってもしょうがない。4月初めの新学期に様々な準備のお金がかかるからそのための支援で、それなら3月までにやらなきゃ駄目だ。それなのに今度は『6月までにクーポン券が配布できない自治体に限っては、現金でいいですよ』というなら、クーポン面倒だったら(自治体は)逆に6月まで引っ張。うがった見方をすると、2回に分けるのは、参議院選挙直前に与党がクーポン券あげましたよという選挙運動にも見える。本来の政策と違う政治的疑いがかかり、極めて健全じゃない」とそもそもの政策意図への批判を強めている。

岸田首相は10日の参議院本会議で、5万円分のクーポン支給について「子育て世帯へのクーポンを基本とした給付については、新型コロナの影響が様々な人々に及ぶ中、子育てに係る商品やサービスを直接お届けすることで、より直接的に そして効果的に子供たちを支援することが可能である」と答弁し、クーポン支給を原則としつつ、自治体の実情に応じて現金での対応も可能とする運用に変わりはないとの考えを示した。
10万円の現金給付かそれとも半分はクーポンか。現金支給を表明する自治体が相次ぐ中、5万円分のクーポンの財源となる補正予算案の審議は週明け13日から予算委員会に論戦の場を移すことになる。
(フジテレビ政治部 野党クラブ)