「デルタ株」の症状とは違う?

南アフリカで最初に感染が報告されてから10日あまりで45の国と地域に拡大した、新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」。
11月に南アフリカで確認された感染者の検体調査では、312件中228件、全体の7割以上をオミクロン株が占め、デルタ株から急速に置き換わっている。

その症状として、多くが無症状や軽症と報告されているが、実際はどうなのか?

ヨハネスブルクの病院でコロナ患者の治療にあたるフェローザ医師に話を聞くと…

シャーロット・マクレケ病院 フェローザ・モターラ医師:
今回の波では、多くの子供たちを診ています。10代や20代前半が多いです。大多数、ほぼ全ての患者が軽症か無症状です。症状がある場合は、多くが軽いインフルエンザのようですね。筋肉痛や、喉の痛み、頭痛、発熱の場合もあります。患者によって症状は違いますが…

この記事の画像(4枚)

気になるデルタ株との症状の違いについては…

シャーロット・マクレケ病院 フェローザ・モターラ医師:
(デルタ株の時は)病院に来たとき、すでに低酸素で入院が必要でしたが、今回、多くの患者は症状があり、検査で病院に来ますが、入院は必要ありません。
呼吸器の症状や重い肺感染症など、デルタ株患者で見たような低酸素の症状は、オミクロン株患者ではまだ見ていません。
重症化しないと言うのは時期尚早かもしれませんが、ここ数週間で重症化するかどうか分かるでしょう。

オミクロン株の重症化「まだ判断できない」

若者の感染者が多く、重症者が少ない理由として、ロンドンの名門大学で新型コロナの研究を行う小野昌弘准教授は次のように指摘する。

インペリアル・カレッジ・ロンドン 小野昌弘准教授:
まだ症状の違いを言えるほど、データはないですね。もともと南アフリカっていうのは平均年齢が若い国で、その中でも若い人たちに急激に広がり始めたという時点なので、今の時点では症状や重症化について判断がまだ出来かねる状況です。

平均年齢が日本よりも若い南アフリカは、高齢者の人口が極端に少ないため、オミクロン株が重症化しないとはまだ言い切れないという。

では若者ではない感染者の場合、症状はどうなのか?

ワクチン3回接種済で感染した医師

11月30日、イスラエルの国立病院「シェバ・メディカルセンター」が、ワクチンを3回接種済みの2人の医師が、オミクロン株に感染したことを発表した。

Mr.サンデーが取材したのは、そのうちの1人、69歳のダン医師。

ディレクター:
今の体調は?

シェバ・メディカルセンター ダン・エリアン医師:
体調はいいですよ、すごくいい。私たちはイスラエルで2,3人目の感染者だと思います。

ダンさんは、ロンドンから帰国し、その後オミクロン株への感染が確認された医師の濃厚接触者だった。

シェバ・メディカルセンター ダン・エリアン医師:
私は先月28日に、新型コロナの感染が確認され、その数日後にオミクロン株と分かりました。学会に向かうとき(感染した同僚と)車の中で一緒にいました。マスクなしで1時間過ごしたんです。         

オミクロン株感染の症状を聞くと…

シェバ・メディカルセンター ダン・エリアン医師:
私の症状は、喉に少し痛みを感じたくらいです。同僚が陽性じゃなかったら、気づかずに普段通りの生活をしていたと思います。

69歳のダンさんに現れた症状は喉の痛みだけで、医師の診察を受けることなく快復した。
しかし、ダンさんに感染させたとみられる同僚の45歳の医師は、現れた症状につらい思いをしたという。

地元メディアによると、同僚の医師は11月24日の朝、ロンドンから帰国。
到着したイスラエルの空港での検査は陰性だったが、翌日検査をしたところ、新型コロナに感染しているという通知を受けた。

その後の症状は26日の夜に38度5分くらいの発熱。48時間高熱が続き、喉の痛みと筋肉痛も酷く、ベッドから起きあがれなかったという。
つらい思いはしたものの、医師の診察も投薬も、酸素の吸入も必要なく、6日後には快復したという。

シェバ・メディカルセンター ダン・エリアン医師:
私も同僚も、3回目のワクチン接種を終えていました。3回接種したおかげで、症状も軽かったんだと思います。できるだけマスクを着用して、普通の生活を送るようにすることです。マスクやワクチンなどで用心しながらも、生きることを大切に…

この感染者2人は軽症で済んだが、オミクロン株についてはまだわかっていないことが多い。

年末に向け、飲食店などで制限緩和が広がり、日常を取り戻しつつある中での「オミクロン株」の出現。私たちは今後どのように向き合うべきだろうか。

(「Mr.サンデー」12月5日放送分より)