新型コロナウイルスの新しい変異株で、感染力がデルタ株を上回るとされるオミクロン株。世界中で緊張感が高まる中、めざまし8は感染が最初に確認された南アフリカを緊急取材しました。

デルタ株からオミクロン株へ「数週間で一気に広がる」

南アフリカなどで確認された新たな変異ウイルス。WHO(世界保健機関)は、警戒レベルが最も高い”懸念される変異株”指定し「オミクロン株」と名付けました。

これまでイスラエル、ベルギー、香港など、各地で確認されてきたオミクロン株。その後、イギリスやドイツ、イタリアにも拡大。さらに、オーストラリアでも2人の感染が確認されました。

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11月25日に行われた現地の保健省会見では、拡大をこう予測します。

南アフリカ保健省 ファーラ保健相:
人の移動が盛んになる今後、数週間でこの変異ウイルスも一気に広がるだろう。

感染が拡大している南アフリカでは、主流だったデルタ株からオミクロン株へ急速に置き換わりが進んでいるといいます。今、南アフリカはどのような状况なのでしょうか。

ワクチン接種率約24% 国民は気にしていない?

11月28日、取材に向かったのは、南アフリカ最大の都市ヨハネスブルク。この都市があるハウテン州では、77人のオミクロン株への感染が判明しています。実際に現地の様子を見ると…。

Robyn Linさん:
今、最も低い警戒レベル1ということもあってそんなに規制はなく、お客さんの間のソーシャルディスタンスはそんなに無いと思います。

レストランのテーブルに、パーティションはなし。

Robyn Linさん:
お昼時ですが、いつもと同じような人通りです。今日はブラックフライデーということもあって、大きなお買い物袋を下げた人もおられます。普段の状況と比べて特に人通りに変化があるというわけではないようです。

そして、別の街に足を運ぶと…。

岩瀬早織さん:
酒店のアルコールの場所だけすごく並んでいます。行列できてますね。

オミクロン株の出現で再び街がロックダウンされるのに備えて、お酒を買いだめする人が急増しているといいます。新規感染者数は、11日は106人だったのが27日には3220人と急増。現地の日本人はこう指摘します。

ジェトロ ヨハネスブルク事務所 石原圭昭氏:
人の行動も変わってなくて、街も渋滞なんかもしてますし。国民はそれほど気にしていないのかもしれません。

人々の行動は変わらないと感じるといいます。

実際に南アフリカでワクチン接種が完了しているのは、約24%にとどまります。

南アフリカで暮らす人:
ワクチン接種を受けることが怖いからです。

南アフリカで暮らす人:
科学的に確信がなければ、接種しません。マスクや人と距離をとることで、防ぐことができるとおもうから。

ワクチン接種に積極的ではない発言が集まりました。

ワクチン接種会場に行ってみると、南アフリカでは土日は多くの接種会場が休みに。そのため、平日働いている人は不便を感じる現状もあるといいます。南アフリカの大学でワクチンを研究しているシャビル・マディ教授に話を聞きました。

ウィットウォーターズランド大学 シャビル・マディ教授:
今、オミクロン株に感染している人の多くは10代後半から20代後半の若者です。ワクチンはオミクロン株への感染はあまり防げないかもしれないが、高い確率で重症化を防ぐことはできると思います。

ワクチンの効果について、重症化は防げることを言及しました。しかし、オミクロン株をめぐって恐れられているのは、その感染力です。

香港では空気感染? 各国の水際対策は

懸念されるのが感染力。オミクロン株の感染力は“デルタ株以上”と言われています。

オランダでは、南アフリカから26日に到着した乗客61人が新型コロナの陽性であることが判明。このうち13人がオミクロン株だったことが分かりました。

一方では、香港では“空気感染の可能性”も浮上しました。

南アフリカを発ち香港に到着後、陽性と判明した36歳の男性A。検疫のため、この男性Aの向かいの部屋に宿泊していたのが、カナダから来た男性Bです。

男性Aがサージカルマスクを着用せず部屋のドアを開けている間、ウイルスが空気に乗って廊下に流出。廊下の空気が滞留していたため、向かいの部屋に宿泊していた男性Bに感染した可能性があるといいます。

そのため香港衛生当局は、オミクロン株は飛沫や接触とは別に空気感染する可能性をも伺わせています。

さらに“ブレイクスルー感染”の恐れもあるといいます。これまで香港で感染が確認されているのは2人で、ワクチンの2回接種を完了していました。また、香港以外でも接種を終えた人が感染したケースがあったということです。

こうした状況を受け、イギリスのジョンソン首相は、一部の店舗内でのマスク着用義務化など、再び対策を強化する考えを示しています。

また、各国で水際対策を強める動きが出ていて、EUではアフリカ南部からの航空便の乗り入れを停止することで加盟国が合意。アメリカも「予防的措置」として、29日から南アフリカなど8カ国からの渡航を制限すると発表しています。

今後さらなる拡大が予想されているオミクロン株。水際対策の徹底と厳重な警戒が求められます。

(めざまし8 11月29日放送より)