新型コロナの感染拡大で、入院患者と家族が会えない現状が続き、深刻な問題となっていたが、感染状況に応じて徐々に制限を緩和する動きが出てきた。
久々に面会した患者や、面会基準について議論してきた病院に密着した。

11月上旬、約1年半ぶりに「面会禁止」のポスターがはがされた。代わりに貼られたのは「面会制限」の文字だった。

面会禁止から「面会制限」のお知らせに
面会禁止から「面会制限」のお知らせに
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福井県済生会病院では、新型コロナが県内で流行した2020年3月から、特別な許可を得た場合を除き「面会禁止」としてきたが、感染状況が落ち着いたため、11月から初めて「面会制限」という形に緩和した。

1年半ぶりの面会「直接状態を見られることが一番」

福井市に住む岡本秀雄さん(81)は大腸がんを患っていて、新型コロナの流行前から、2週間に一度、2泊3日で入院して抗がん剤治療を続けている。
今回の緩和を受けこの日、抗がん剤の投与中に付き添ってもらうため、妻の恒代さん(80)と面会することにした。

岡本秀雄さんと妻の恒代さん
岡本秀雄さんと妻の恒代さん

主治医:
病状のことも考えて面会を許可しますので、書類をお渡しします

緩和された今でも、面会をするには医師の許可書が必要で、1日1回・家族2人まで15分以内という制限がある。

面会に必要な医師の許可書
面会に必要な医師の許可書

別室に移動し、面会が始まった。抗がん剤投与中に2人が病院で顔を合わせるのは、約1年半ぶりだ。

新型コロナの流行前は、抗がん剤投与中、ずっとそばにいた妻の恒代さん。交わす言葉は少なくても、投与中に顔を見られるだけで安心だという。

岡本恒代さん:
直接、状態を見られることが一番。夫も安心できるのではないですかね、そばに誰かいるだけで。それしかできないから

県や厚労省の基準ないが…面会制限に病院の苦悩

こうした限られた面会でも、できるようになるまでには病院でさまざまな議論があった。
10月末に開かれた新型コロナ対策に関する会議では、面会禁止を緩和するにあたって医師らがさまざまなケースを確認した。

医師:
ワクチン接種済み証明書を出したら、制限を解除している病院もある。ワクチン証明書を絶対に出す、または出さないと面会ダメは差別だが、プラスの方向で使うといいのでは?

福井県済生会病院・登谷大修院長:
ワクチン証明書を道具の一つとして使うのはいい。ただ、あくまでも状況次第。面会の必要度と、患者や周りの人たちの免疫の具合と、来る人の安全度。そこは主治医が判断すべき

医師からのさまざまな意見を聞く登谷大修院長
医師からのさまざまな意見を聞く登谷大修院長

医師:
県外の人が面会したいと言ってきたら、感染対策と症状を確認すれば許可してもいい?

福井県済生会病院・登谷大修院長:
県外だからダメではないが、2週間以内の行動歴は聞く必要がある

病院内の面会をめぐっては、県や厚労省の基準はなく、各病院の判断に委ねられている。
そのため、感染時の責任を負う病院としては厳しい制限にせざるを得ないという。

福井県済生会病院・登谷大修院長:
患者にとって面会は大事なので、ぜひさせてあげたいし、そういう環境は作ってあげたい

福井県済生会病院・登谷大修院長
福井県済生会病院・登谷大修院長

福井県済生会病院・登谷大修院長:
ただ、関係のない隣の患者に感染したら申し訳が立たない。そこは絶対譲れないし、この1年半の大原則

一方、福井県の担当者は福井テレビの取材に対し、「厚労省の基準がなく、県独自で基準を作ることは難しい」とし、厚労省は、「国が一律で基準を作り、病院で感染した場合に責任は取れない」と、あくまで病院が責任をもって面会の許可を判断するべきとしている。

感染が落ち着きを見せ、経済活動が徐々に再開している中、病に苦しむ患者と家族の大切な場をどう確保するのか。
病院まかせにせず、社会全体で考える必要がありそうだ。

(福井テレビ)