目指すは2週間後の大会…飛行ロボット製作に熱中する大学生

岐阜県岐阜市で2021年9月、大学生が制作した飛行ロボットをどこまで遠くに飛ばせるかを競う大会が開催された。コロナで学校生活も大きな影響を受ける中、この大会に参加した岐阜大学の学生チームは、設計から製作まで飛行ロボットに情熱を注ぎこんだ。

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岐阜大学工学部4年の富田一平さん(22)は、所属するサークルで新入生に大学を紹介していたが、2020年4月のイベントはコロナで中止に…。その後、大学ではリモートでの授業が中心となり、キャンパスを訪れることもほとんどなくなった。

そんな中、熱中しているのが「飛行ロボット」の製作。航空宇宙産業の未来を担う人材を育てるため、岐阜大学と名古屋大学の共同で2020年から始まったこのプロジェクトに、同級生3人と一緒に取り組んでいる。

目指しているのは、2週間後に開かれる飛距離を競う大会だ。

マイクロコンピューターで制御 “機体の軽量化”も

この機体が「ロボット」と言われるのには理由がある。

富田一平さん:
ただ飛ばすだけじゃなく、機体が傾いた時に飛ぶ姿勢に戻す。それを担うのが制御。プログラムを書き込んで、モーターが動くことで機体を持ち直す。その部分を僕が担当しています

飛行機ロボットには、機体の傾きを自動的に調整するマイクロコンピューターが搭載されており、より長い距離を飛行することができる。

この日は“機体の軽量化”を行っていた。

同級生:
うちの班の翼だと、かなりゴツめのモノを作っていて、こんなに重いものを乗せると飛行距離が落ちるので…

翼に使用する木材を薄いものに変えたり、パーツに穴を開けて軽くした結果、126グラムあった機体を2分の1の重さ(55.8グラム)に改良することができた。

「できる限りのことをして本番に挑む」テスト飛行で課題明らかに

本番1週間前、テスト飛行を行った。機体は、発射台のゴムに引っ掛けて後ろに引っ張ることで飛ばす。しかし、発射の際に尾翼に手がぶつかってしまう“初歩的なミス”や…。

同級生:
ゴムの頭のところが、ぴったし過ぎて…

ゴムの太さに対してフックの幅に余裕がないため、離陸の時に上手く外れないことが判明。問題は山積みだ。

富田一平さん:
やるしかないというか、できる限りのことはして本番には挑みたいなと…

なぜクルクル回った? ファーストフライトは大きく一回転して落下

9月29日、「岐阜メモリアルセンター」でいよいよ本番。大会には、岐阜大学と名古屋大学から選抜された5チームが参加。2回のフライトでどのチームが一番遠くに飛ばせるかを競う。

富田さんたちの飛行ロボットは、テスト飛行からマイクロコンピューターの制御部分を調整して本番に臨んでいるが、ギリギリまでトラブルが絶えない…。

富田一平さん:
いや、ほんとに美しいよね。飛行時間の美しさがあるよね

他のチームは、20メートルを超えるビックフライト。見とれているのも束の間、富田さんのチームの番がやってきた。

1回目の挑戦は、ゴムを引きすぎたのか離陸直後に上へ跳ね、大きく一回転して落下。記録は9.5メートルだった。

富田一平さん:
何であんなくるくる回った?

ラストフライトも再び落下、飛距離伸ばせず…結果は

2回目のラストフライトに向けて、最後の調整に入る。

富田一平さん:
頭が下がったのは重心な気がする。主翼をそれより気持ち前にして…。俺が思うに、ゲイン微妙に下げてもいいかもしれない。どう思う?

重心の位置を変えるとともに、機体を制御するマイクロコンピューターも調整。富田さんの腕の見せ所だ。

富田一平さん:
見ている人たちにどういう飛び方をするかを見せんと…。楽しんでやらなければ

最後までトラブル続きだったが、泣いても笑ってもこれがラストフライト。

富田一平さん:
あ~いかんいかん、またか~

2回目のフライトもまた、機体が高く上がった後に落下。飛距離は8.4メートルと記録を伸ばせず、5チーム中最下位に終わった。

富田一平さん:
お恥ずかしい。でもこういう機体もあるっていうか、俺たち頑張ったから。ものすごく頑張ったから…

優勝は24メートルの記録を出した岐阜大学の別のチームだったが、富田さんのチームは「曲芸飛行賞」に輝いた。飛距離では及ばなかったものの、会場を沸かせたことへの受賞だった。

富田一平さん:
自分たちで触って動かして、微調整して…。メンバー間でいろいろと話し合ってっていうのは、対面ならではの経験だと思います

富田さんは、この経験を社会人になって活かしていきたいと話していた。

(東海テレビ)

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