12日にも対策本部で決定へ

無症状でもPCR検査などを無料で受けられるように政府は調整に入った。

現在、PCRなどの検査は、医師や保健所が必要と判断した場合を除いて自主的に検査する場合は有料となっている。

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政府関係者によると、政府は「第6波」対策として、無症状の人がPCR検査や抗原検査をする場合の費用を無料とする方向で調整しているという。

政府は対象者や方法について具体的な検討を進めていて、12日にも対策本部で決定する見通しだ。

また政府は、希望する軽症者全員をホテルなどの「待機施設」に滞在させるため、都道府県に施設の準備を要請する意向。
これらの対策で陽性者を早期に発見するとともに、医療提供体制の強化を図りたい考えだ。

早期発見×治療薬で重症化予防へ

三田友梨佳キャスター:
アメリカの大学病院で新型コロナウイルスと向き合っている内科医の山田悠史先生に聞きます。無症状でもPCR検査などを無料で受けられるようになるということですが、私たちはどう受け止めれば良いのでしょうか?

マウントサイナイ大学病院勤務・山田悠史先生:
何でもかんでも検査をやれば良いというものではないんですけれど、今後もう一度大きな感染流行が起こることを想定した場合、総じて無症状の感染者も増えることから、少しでも心当たりのある人が即座に検査を受けられるように検査への閾値を下げておくことは有効な隔離という点でも、また、時機を逸せず治療を行うという点でも重要になると思います。

ただ、検査を受ける域値が下げられる分だけ、私たちの検査に対するリテラシーもますます問われることになると思います。

三田キャスター:
検査におけるリテラシーとはどういうことでしょうか?

山田悠史先生:
例えば濃厚接触があって疑わしい症状もあるけれど、検査を受けてみたら陰性となった場合を考えてみたいと思います。

そこで、端的に『陰性』すなわちコロナではなかったと判断すると間違う可能性があります。
そこで、検査は陰性でも実際にはコロナ感染症である『偽陰性』の可能性も考えるという判断能力が問われます。

より多くの方が検査を受けることになると、その分だけ、この偽陰性も増えて誤解が増えるおそれがあります。
検査はあくまで診断のプロセスの一部であって、全てではないというのが大事なポイントです。

しかし、それをふまえて賢く使うことができれば、検査を受けられる敷居を下げられるということは感染流行時に大きな助けになると思いますし、特にこれから新しい治療薬が複数入ってくるとすれば、検査結果の持つ意味というのはますます高まってくると思います。

三田キャスター:
その治療薬については今、飲み薬への承認の動きなどがありますが、こうした治療方法の多様化と検査の結果というのはどうリンクしていくんでしょうか。

山田悠史先生:
これまでは軽症の際の治療薬というのは選択肢がそもそも注射薬しかありませんでしたので、自宅療養をする場合には検査結果が陽性でも陰性でも治療法に大きな違いはありませんでした。

ところが、今後飲み薬の治療薬が複数登場した場合には、診断機関によってコロナ感染が早期に見つかった場合に、自宅療養中でも治療薬を投与し重症化を防ぐことができるようになると思います。
このように、診断を大きく左右する検査結果で治療方法も大きく変わってくる可能性がありますので、検査の意義というのはますます高くなると考えられます。

三田キャスター:
こうした無料化の動きというのも第6波に備えてのものです。
波が来ないために1人ひとりができることを徹底していきたいですが、ほかにも医療体制を整えるなど落ち着いている今だからこそ先を見据えた対策が待たれます。

(「Live News α」11月8日放送分)