在籍した7年間でリーグ優勝3回、5度の日本一。プロ野球 福岡ソフトバンクホークスの「黄金時代」を築いた名将・工藤公康監督が退任。10月27日に記者会見を開き、これまでを振り返った。
工藤公康監督：
7年間、務めさせていただいた監督を今日で退任することになりました。野球人として、たくさんの方に支えていただき、心から感謝申し上げます。ありがとうございました
2021年10月27日、福岡ソフトバンクホークスの「黄金時代」を築いた名将・工藤公康監督が退任した。
工藤公康監督：
敗戦の責は将が負うものだという僕自身の思いもありましたし、もっともっと自分で行動すべきこともあったと思う中で、王会長にも引き止めていただきましたが、「申し訳ありません。責任は私にあるので、責任を取る形にしたい」という話をさせていただいた。たくさんの思い出もあります。辛い時もありました。僕にとっての7年間は、夢のような素晴らしい日々を過ごさせていただきました
「成長できた1年」転機は勝てなかった就任翌年
2014年のオフ、王会長からのアプローチを受け、福岡に“戻って来た”工藤監督。
就任1年目の2015年にいきなりリーグ優勝。チームを日本一に導き、監督として華々しいスタートを切った。優勝のビールかけで記者に、選手の時の優勝と違うかと聞かれると…。
工藤公康監督（2015年11月）：
全然！最高。天を舞っている気分
2016年は日本ハムファイターズに首位を譲り、2位でペナントレースを終了。クライマックスシリーズでの下克上も果たせなかったこの年が、監督としての転機だったと振り返る。
工藤公康監督：
2015年に優勝して、正直、調子に乗っていたところはあったと思います。2016年に勝つことができませんでした。けど、そういう中でも選手が、無言でいろんなことを教えてくれたことが、僕自身を変えるきっかけになりました
工藤公康監督：
自分の中での反省と自分自身の信念を持ってやらない限り、全てのものを求めることは間違っていると、そう思えた年。あの1年が、僕にとって成長できた1年でした
悔しい経験から学び、新たな気持ちで迎えた2017年。ホークスは、再びリーグ優勝を成し遂げる。そこから怒濤の4年連続日本一を達成した。
クライマックスシリーズを含むポストシーズンでは、実に16連勝中。特に2019年、2020年の日本シリーズでは、2年連続で無傷の4連勝。史上初の快挙を成し遂げ、その戦いぶりは「短期決戦の鬼」とも称された。
工藤公康前監督：
4連覇できたことは選手の頑張りだし、コーチやスタッフがサポートをしてくれたおかげだと思っています
福岡は第2の故郷…常勝軍団のバトンは藤本新監督へ
名将の手腕は、采配だけにとどまらない。
プロで実働29年間プレーし、47歳までマウンドに立ち続けた経験をもとに、故障防止を重んじた独自のトレーニング理論を導入。投手育成のシステムを構築した。
そこから生まれたのが、エースの千賀滉大や守護神の森唯斗など、投手の逸材。多くの選手を1人前に育て上げ、投手王国を築いた。
今シーズンは集大成の年と位置づけ臨んだが、主力選手の故障が相次ぎ、Bクラスとなる4位。
それでも監督としての最終戦、試合終了後には敵地にもかかわらず、花束を渡されるというサプライズを受けた。
工藤公康前監督：
最高に幸せだった。孫（正義）オーナーがいるとも思わなかったので。選手が雨が降っている中でも「記念写真を撮りましょう」と言ってくれたのは、最高の宝物になりました
在籍した7年間でリーグ優勝3回、5度の日本一。常勝軍団をさらなる高みへと導いた工藤監督。
工藤公康監督：
出身は愛知だが、福岡が僕にとっても（第2の）故郷といってもいい。（西武から移籍して）ダイエーに来てからの4年間は、僕にとって野球をもう一度考える時間になったし、5年目の99年の優勝で感じたファンの熱さ、声援は、何ものにも代えがたい感動だった
工藤公康監督：
九州にいる人たちは温かい。ダイエーで5年、ソフトバンクで7年。この12年は、僕の中でも自分を大きくしてくれた。いつまでも大切にしたい。このホークスというチームは、常に勝ち続けられるように、たくさんの人の思いを背負って戦い続けてほしいと思います
常勝軍団ホークス。バトンは、藤本博史新監督へ渡された。
（テレビ西日本）
