コロナ禍の総選挙。生活に苦しむ人たちへの支援が争点のひとつだ。

福岡市の歓楽街・中洲からほど近い、川端通商店街の一角に保育園がある。
子どもを預かる時間は夜中まで。夜間保育園の「マミーハウス」だ。

夜間保育園の「マミーハウス」 福岡市博多区
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出勤前の母親たちが、子どもを預けに来る。
そのほとんどが、中洲の飲食店で働く女性たちだ。

3歳の娘を送りに来た東美織さんもその1人。

(Q.旦那さんと一緒に住んでいますか?)
東美織さん:
え~、いや~、旦那とは住んでないです。シングル(マザー)なんで。そうです

23歳のシングルマザー・東さんは、2021年2月まで中洲のキャバクラでホステスとして働いていた。

中州でホステスをしていたが…

しかし、コロナの影響で勤務先が廃業。突然、仕事を失ってしまった。

新型コロナウイルスの流行で職を失った

東美織さん:
(給料が)急にゼロって感じなので、今までの貯金があったとしても、不安でした。(子どもを園に)通わせないといけないので。私、鹿児島から出てきてるんで、周りに親とかいないんですよ。頼れる人がいなくてのコレ(失業)だったんで、怖かった

日本のシングルマザーの就業率は約82%と、世界的に見て非常に高い水準にある。
しかし、母子家庭の年間の就労収入は平均200万円と、著しく低いのが現状だ。

東さんは失業後、博多区内の別のキャバクラに勤めることが出来たが、コロナ禍における仕事と子育ての両立には不安がつきまとう。

東美織さん:
仕事がなくなる人たちのことをもっと考えてほしい。急に簡単にバツって(契約を)切るんじゃなくて。期間を設けるだとか、補助を出してもらうとか考えてほしい。
みんながみんな生活を楽に出来ているわけじゃないので、見捨てないでほしいっていうか、見えないフリをしないで欲しい

「保育士の仕事、絶対にしない」と思っていたが…

午後8時半過ぎ―
中洲の街が賑やかになる頃、夜間保育園のマミーハウスは、そろそろ子どもたちが寝る時間だ。

午後8時 夜間保育園の子どもたちも寝る準備

ここで保育士として働く樋渡真希子さんも、2020年まで中洲のホステスだった。

保育士・樋渡真希子さん:
そこからコロナで全く仕事がなくなった状態で困っている時に、園長先生のお話で、また保育士に戻ろうかなって思ったのがきっかけですね

コロナ禍で勤務先の飲食店が休業し、塾講師の副業も失った。

収入が途絶えたところに、園側の誘いで約10年ぶりに保育士に復帰した。
現在、勤める夜間保育園には深夜手当があるほか、福利厚生も整っているため安定した暮らしができていると話すが、当初は迷いもあったという。

保育士・樋渡真希子さん:
保育士の仕事は、絶対にしないって思っていました。したくなかった。
けど、今の保育園は(条件が)良いので戻れて良かったけど、前の保育園とかだったら、その保育園に戻りたいとは思わない。トラウマです、完全に(笑)

樋渡さんが一度、保育園を離れた理由が「賃金の低さ」。
国は、民間保育園に勤める保育士の賃金水準を引き上げてきたが、平均月給は約25万円と、いまだに全ての産業の平均よりも8万円ほど少ないのが現状だ。

保育園を離れた理由は「賃金の低さ」

保育士・樋渡真希子さん:
福利厚生だったり、給料は最低レベルからもうちょっと上げても良いんじゃないかと思う。
保育士になりたい、戻りたいっていう人はいないんですよ。あんまり聞いたことない。
対応っていうか、グレードが上がれば、また保育士をやりたい人も現れるでしょうし。
子どもが好きだからって、やっていけるものでもないと思いますね

深刻な現場―。
待遇改善が求められている保育士の厳しい現状に、コロナが追い打ちをかけている。

(テレビ西日本)