起死回生の一手となるか? 無水調理で人気のバーミキュラが登場

ふるさと納税に名古屋市が本格的に乗り出した。10月15日から返礼品の品数をこれまでの25倍の700品目以上に増やし、中には名古屋自慢の「バーミキュラ」の鍋も。

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また、錦鯉のオーナーに熱気球への乗船、さらには漁師体験も…。「ふるさと納税」の誕生から10年以上。税収アップを狙って全国各地で知恵を絞った返礼品が用意されている。

これまで名古屋市の返礼品といえば、名古屋城の入場券に名古屋の水道水の缶詰など…。確かに名古屋にゆかりはあるが、行政が扱うモノばかりで民間の商品やサービスはなかった。

そして今回、地元・名古屋の企業、愛知ドビーが手掛ける鋳物製の鍋「バーミキュラ」が名古屋市の返礼品に加わることになった。

注目のバーミキュラの鍋は様々な種類があり、オーソドックスなオーブンポッドラウンドは8万5000円の寄付金額になる。

合計寄付額から2000円を引いた全額が控除の対象。ただし、控除には年収などに応じた上限額があるので注意が必要だ。

愛知ドビーの担当者:
バーミキュラの最大の特徴は、蓋と本体の合わせ面の部分ですね。蓋を閉めた時にピッタリと合わさって、食材の持つ水分だけで「無水調理」できる鍋というのが一番の特徴となっています

大人気のこの鍋は今や名古屋の自慢。バーミキュラと鍋を利用する炊飯器などが、15日から名古屋市の「ふるさと納税」の返礼品にラインナップされる。

名古屋グルメの返礼品も 723種類を用意

このほかにも、名古屋めしの代表格・味噌煮込みうどんの「生めん詰め合わせセット」(寄付金額7000円)に…

「矢場とんの味噌カツセット」((寄付金額1万2000円)も。

「アサヒビール・スーパードライ 350ml缶24本入り」(寄付金額1万5000円)や「ひつまぶし お茶碗1杯分」(寄付金額1万円)といったものもある。

その数はなんと723種類に。これまでの25倍の品を用意して、ポータルサイトで寄附を募る。これほど返礼品に力を入れ始めたのには、深刻な理由があった。

名古屋市財政局の担当者:
流出は間違いないので、財政運営上、大変苦慮はしています

そもそも「ふるさと納税」は、自分の故郷や応援したい自治体にお金を寄附することで、住民税や市民税が控除される制度。自分が住んでいる自治体への寄附はできない。

激化した返礼品競争の中で、名古屋市では市民がほかの市町村に寄付する「税の流出」が起き、2021年度は106億円にのぼると見込まれている。

危機感を覚えた名古屋市は、返礼品を充実させ流出に歯止めをかけたい考えだ。

名古屋市財政局の担当者:
返礼品が全国に発信されていくこと。それに伴って行政として名古屋市には寄附が集まるので、財源が増えることも期待しています

起死回生の一手にと、その期待を託された地元企業の人気商品。

愛知ドビーの担当者:
創業から名古屋市に拠点を置くメーカーですので、全国に名古屋の魅力を発信することや名古屋を盛り上げることに、微力ながら貢献できることをとても嬉しく感じています

ふるさと納税の返礼品を専門に紹介するサイトが定着し、本来の主旨と異なる形で過熱する返礼品競争。

税の過剰な流出を防ぐために名古屋市は今後も返礼品を見直し、税収の回復を目指すことにしている。

(東海テレビ)

東海テレビ
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