新規感染者は減っているものの、まだまだ予断を許さない新型コロナウイルス。

そうした中で8日、新型コロナ感染者のうち、女性の方が男性より倦怠感や味覚嗅覚障害、脱毛の後遺症が出やすい傾向があることが国立国際医療研究センターの調査でわかった。また、若い人ほど味覚・嗅覚障害が出やすいこと、男女全体で約4人に1人が半年後も後遺症に悩まされているという。

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同センターは、2020年2月から今年3月までに新型コロナから回復した457人にその後の症状を聞き取って分析。その結果、発症時もしくは診断時から半年後に症状があった人は120人で、全体の26.3%。1年経過して症状があった人は40人で、全体の8.8%だった。

発症(診断)からの日数と何らかの遷延症状(後遺症)が残る患者の割合(画像提供:国立国際医療研究センター)
発症(診断)からの日数と何らかの遷延症状(後遺症)が残る患者の割合(画像提供:国立国際医療研究センター)

そして、男性よりも女性のほうが後遺症が出やすかったという。症状別でみると、脱毛は約3倍、倦怠感は約2倍、嗅覚障害は約1.9倍、味覚障害は約1.6倍、女性のほうが出やすいことがわかった。また、若い人や痩せ形の人は味覚・嗅覚障害が出やすい傾向があることも判明した。

発症(診断)からの日数と急性期から遷延症状を呈する患者の割合(画像提供:国立国際医療研究センター)
発症(診断)からの日数と急性期から遷延症状を呈する患者の割合(画像提供:国立国際医療研究センター)

性別や体型などによって後遺症に違いがあることが分かったが、ではコロナの重症者の方がより後遺症は出やすいのだろうか?また、この結果をどう生かしていくのか?

調査を行った国立国際医療研究センターの森岡慎一郎医師に詳しく話を聞いた。

今後は後遺症がいつまで続くのか明らかにしたい

――調査結果の率直な感想は?

世界的に言われていたことでしたので、やはりそうかと思いました。


――後遺症の出やすさは新型コロナの軽症、重症で違いはあった?

世界的には重症のほうが後遺症が出やすいと言われてますが、それほど差はありませんでした。


――後遺症は一生、残ることもある?

難しい指摘ですね。そこがわかっていないので、こういった調査をしています。今後、いつまで続くのか明らかにしたいと考えています。

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ワクチンは後遺症の予防ができる可能性も

――女性の方が症状が出やすい理由は?

男性に比べ、女性のほうが報告バイアスが高いという話もありますが、そうではなさそうです。他の原因がありそうですが、現状わかっていません。


――調査結果を踏まえ、多くの人に伝えたいことは?

重症化リスクと後遺症が出やすいリスクは違うので、侮らないでください。急性期にコロナの重症化リスクが高いのは男性で肥満傾向がある高齢者ですが、味覚嗅覚障害のリスクなど後遺症に関しては女性の方が出やすいです。

そして、ワクチンを2回接種している人は接種していない人と比べて、感染した際、28日間以上症状が続きにくいという報告もあります。コロナワクチンは発症予防や重症化予防だけでなく、後遺症の予防ができる可能性もあることがわかってきています。ですから、皆さん、ワクチンは2回接種してください。


後遺症に関しては、男性よりも女性の方が出やすいということだが、やはり感染しないことが何よりも大事だ。そのためにはワクチン接種や、引き続き基本的な感染対策を心掛けてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。