"顔パス"で場内へ
プロリーグの公式戦で観客の接触や密を回避して感染リスクを低減する実証実験が行われた。
9月30日、6年目のシーズンが開幕したプロバスケットボール「B.LEAGUE」
この記事の画像(10枚)今年4月にこけら落としされた沖縄アリーナでの開幕戦は「琉球ゴールデンキングス」対 「アルバルク東京」の一戦。 ホームの琉球ゴールデンキングスが第4クオーターに逆転に成功し、接戦を制した。
Bリーグ初年度の歴史的開幕戦と同じカードとして注目された試合だが、もう1つ、コロナ時代の新たなスポーツ観戦という点でも期待を集めた。
アリーナに入る際は"顔パス"で場内へ。
これは、ソフトバンクによる顔認証ソリューションを活用したスポーツ観戦体験の実証実験。
チケット購入後、事前に専用アプリから顔情報を登録するだけで、専用ゲートからスムーズに入ることができる。
顔が認証されると画面に自身の名前が表示され、お気に入りの選手が出迎えてくれる。
琉球ゴールデンキングス 並里 成選手:
琉球ゴールデンキングス 3番の並里 成です。ゲームを楽しんでいってください!
待ち時間削減や非接触で感染リスク低減
さらに今回は、空港からアリーナまでのバスでの移動から入場、館内のアクティビティまで“一気通貫”での顔認証ソリューションを実現した。
チケットレスやキャッシュレス、待ち時間の削減や非接触による感染リスクの低減につながるというのが大きな特徴だ。
利用した人:
やりとりが少なくて済むし、すごく簡単でした。みんながこれをやったら列に並ばなくて済むので、みんなが取り入れてくれるとなお良い感じです。
ソフトバンク サービス企画本部・原田賢悟副本部長:
本来、顔認証のシステムに関しては、このスポーツイベントだけではなくて、一般の日常の中で使える仕組みにしていかなければいけないと思っておりますので、今回の実証実験をお客様の声をしっかりとって社会実装に向けて研究していきたいと思っています。
コロナ禍でのファンサービス拡充に期待
三田友梨佳キャスター:
Jリーグ栃木SC取締役マーケティング戦略部長の江藤美帆さんに聞きます。
渋谷のIT企業の社長からサッカークラブのDX推進の司令塔に転身した江藤さんは今回の取り組みをどうご覧になりますか?
Jリーグ栃木SC取締役マーケティング戦略部長・江藤美帆さん:
今回の取り組みは行列などの「密」をつくらないということで、見た目にもよりお客様に安心をアピールできる取り組みなのではないかと思います。
また、いま選手との握手会やサイン会といったファンサービスが出来なくなっているんですけれども、顔認証で個人を識別出来るようになると、より個人のニーズを把握し、ファンに寄り添ったサービスの拡充も図れるようになるんじゃないかと期待しています。
三田キャスター:
ファンに寄り添ったサービスとは具体的にどういったことですか?
江藤美帆さん:
例えば、お誕生日の方がいらっしゃったらスタジアムのモニターに選手が出てきて動画で「お誕生日おめでとうございます!」 とお祝いしてくれるとか、シーズン中に何回来場したか、どんなグッズやグルメを購入したのかといった行動履歴も取得出来るので、連続して3回以上来場された方にプレゼントを差し上げるとか、グルメをいくら以上買って下さっている方にクーポンを差し上げるとか、そういったこともタイムリーに出来ると思います。
三田キャスター:
今回の取り組みが広く普及するためのポイントについてはいかがですか?
江藤美帆さん:
やはり個人の詳細な行動履歴が記録されることになるので、そこに抵抗がある方もいらっしゃると思います。そこは、システムのセキュリティーの強化はもちろんのこと、データを扱うクラブスタッフの リテラシー教育は欠かせません。
また、スポーツ観戦にはスマホを持たないお子様やシニアのお客様も大勢いらっしゃいます。こういった方々にも配慮して、少しずつ段階を踏んで慣れていってもらうことも大事なのかなと思います。
三田キャスター:
最近はアスリートがパフォーマンスの改善にテクノロジーを活用するケースが増えていますが、 競技も観戦もマーケティングもスポーツはテクノロジーによって更に価値を高めることが出来るのかもしれません。
(「Live News α」9月30日放送分)