肌寒い日が増えてきたが、今年の夏休みに虫取りをした人も多いことだろう。

そんな中、1匹でオスとメスの器官を持つ「雌雄モザイク」のクマゼミを小学5年生が発見し、大阪府貝塚市の市立自然遊学館で展示されている。

それがこちら。

雌雄モザイクのクマゼミ(オスの発音器官の一部である腹弁が左に見える)
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左右の片方だけについている器官はあるが、ぱっと見ただけではよく分からない。

編集部は過去に「雌雄モザイク」のクワガタを紹介したことがあるが、クワガタより判別は難しいようにも思える。

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このクマゼミを見つけたのは、周囲から虫博士と呼ばれている小学5年生の鞍井希凪(くらい きな)くん。「ほかのクマゼミと比べ、飛び方が下手でよたよたしている」と疑問に思い、採集して観察すると、雌雄モザイクだったという。

セミの飛び方が普段と違うことに気づいたことをきっかけに分かったということだが、雌雄モザイクのクマゼミには具体的にどんな特徴があるのだろうか?

まずは展示されている市立自然遊学館の担当者にお話を伺った。

見たことはなく強い衝撃を受けました

ーークマゼミが持ち込まれた経緯を改めて教えて

2021年7月28日に少年の祖母宅の庭で10時49分に採集され、8月1日に貝塚市立自然遊学館に持ちこまれました。


ーー初めて見たときどう思った?

これまで数多くの昆虫をはじめ、小さなころはセミ採りを毎日していた自分が重ね合わされ、それでもこんなものは見たことがなく、強い衝撃を受けました。

ーー具体的にどんなところが違う?

オスがもつ鳴くための器官である腹弁が片方にあり、メスの産卵するための器官があるという違いがあります。翅の長さが左右で違います。体に対して翅の傾きが左右で違います。爪の大きさも左右で違います。


ーーなぜ雌雄の器官があるの?

卵割の際のある段階の分裂時から生じたもののようで、左右だけがモザイクとなるのではなく、部分的にモザイク状に見られるものも含まれています。

雌雄モザイクのクマゼミ

飛びにくく捕食されるリスクが高い

ーー雌雄モザイクのクマゼミは飛びにくいの?

左右で翅の長さが少し違ったり、さまざまな点で左右のバランスが崩れると、あのような小さな軽い昆虫でも少しのことで通常の飛翔に支障が生じます。


ーークマゼミの生態は?生息域は?

雌雄モザイクの個体と通常の個体では生態および生息域でクマゼミとは大きな違いはありません。生息域ですが、日本では関東以西以南で南方系のセミです。7月中旬から9月上旬に成虫が出現し、オスは鳴くがメスは鳴かない。琉球諸島では6月中旬ごろから7月にかけて成虫が出現します。


ーー生物として生きていくのに問題はないの?

飛び方にも支障が出ると、捕食者につかまりやすくてすぐに捕食されてしまったりする危険性が高いです。雌雄モザイクでよくいわれることですが、繁殖能力はどうなのかなどは不明です。

雌雄モザイクのクマゼミ

発見した少年は、昆虫を見る目が備わっている

ーー見たのは初めて?

クマゼミの雌雄モザイク個体は実際のものを見たのはこれまでの人生で初めてです。


ーー発見した少年についてどう思う?

今回初めて少年のことを知りましたが、昆虫を見る目が備わっていると思います。


ーーセミ以外に雌雄モザイクの生物はいる?

セミ以外の昆虫では大学のころ、ヒゲナガガという蛾の仲間で標本は見ました。クワガタムシやカブトムシ、その他チョウの仲間でも雌雄モザイクはあるのは知っています。特に性差が明らかなものは左右ですぐに気づくがセミの雌雄差は腹面の腹弁が一番顕著で裏返さないとすぐには分からないです。

展示風景

今回の雌雄モザイクのクマゼミはオスがもつ鳴くための器官“腹弁”が片方にあるが、メスの産卵するための器官もあるという特殊な個体で左右のバランスが通常の個体と違うため、飛びにくく捕食されるリスクも高いという。

続いて、実際に採取した“虫博士”の鞍井希凪くんにもお話を聞いてみた。

将来は昆虫学者になりたい

ーー見つけたときどう思った?

びっくりして家族にすぐ伝えました。貴重な発見ができて嬉しいです。


ーーなぜ気づいた?

クマゼミのオスが音を発生させる腹弁という部分が1つしかなかったからです。


ーー家では、どんな虫を飼っている?

コロギスという虫が好きです。飼っているのは以下の通りです。
オオカマキリ・チョウセンカマキリ・コカマキリ・ハリガネムシ・キイロスズメ・クロメンガタスズメ・トゲナナフシ・ケラ・ツヅレサセコオロギ・エンマコオロギ・ダイオウヒラタクワガタ・オナガササキリ・クビキリギリス・シバスズ・ヤゴ(シオカラトンボ・ギンヤンマ・ウスバキトンボ)・ナミアゲハ。


ーー将来何になりたい?

将来は昆虫学者になりたいです。

市立自然遊学館の外観

市立自然遊学館の担当者も初めてみたというほど珍しい雌雄モザイクのクマゼミを小学5年生が発見したというのは驚きだ。なお、展示期間は11月28日までとなっている。

大人になると忘れがちな好奇心やと昆虫を好きな気持ちをこれからも磨いて夢である昆虫学者になってほしい。