これまでは消費されず、行き場をなくしていた規格外の魚「未利用魚」。
「未利用魚」をおいしく食べようという一石二鳥のサービスが注目されている。

ミールパックでお手軽に魚料理

魚のミールパック「フィシュル」。熱々ご飯の上にたっぷりとのせるだけで、ブリの漬け丼が完成だ。

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そして、好きな野菜と盛り付けるだけで、シーフードマリネのできあがり。

この便利な「フィシュル」は、福岡市にある水産系のベンチャー企業「ベンナーズ」が、2021年3月から販売している商品だ。

定期便サービスで毎月、もしくは2カ月に1回のペースでミールパックを届けている。
どの商品も解凍してのせるだけ、焼くだけのお手軽調理で楽しめ、SNSでもレシピ紹介している。

ベンナーズ・井口剛志さん:
魚を普段、食生活に取り入れることができていない方が多いと思うので、誰でも簡単に調理しやすくすることで、解決できたらと思っています

ベンナーズ・井口剛志さん

3割に上る“もったいない”に着目

実は、調理のしやすさ以外にもある特徴がある。

ベンナーズ・井口剛志さん:
これは、ヒラアジという魚。スーパーで見かけないけど、きょう初めて見るんですけど、おいしいようなので、いろいろ料理してみます

スーパーで見かけない魚も利用

ーー珍しい魚が多いが、珍しい魚を仕入れている理由は?

ベンナーズ・井口剛志さん:
形が不ぞろいとか、マイナーすぎて知られていないような魚とか、そういう理由で行き場を失っている魚や、価値が付きづらいような魚を総じて「未利用魚」と呼んでいまして、そういう魚を積極的に買っています

「未利用魚」とは、形やサイズ、数量のふぞろいなどが理由で値段が付きにくく、市場にほとんど出回らない魚のことで、総水揚げ量の約3割が「未利用魚」になるともいわれている。

そこで井口さんは、この「もったいない」に目をつけた。

ベンナーズ・井口剛志さん:
「もったいない」を、誰かの「おいしい」に変えることができたら、いろんな人がハッピーになるんじゃないかと

会社も漁業者も「ありがたい」

市場に出回らない魚をどのように入手しているのか。博多港から船で約35分、福岡市西区の玄界灘に浮かぶ玄界島を訪れた。

井口さんが、漁師・宮川友芳さんに魚のとれ具合を尋ねる。

ベンナーズ・井口剛志さん:
きょうは、どんな魚とれてます?

漁師・宮川友芳さん:
あの中に…

漁師・宮川友芳さん

ベンナーズ・井口剛志さん:
鮮度バリバリ。いつ水揚げですか?

漁師・宮川友芳さん:
さっき

ーーこれは何という魚?

漁師・宮川友芳さん:
これはマメアジ

ーー小さい!!

漁師・宮川友芳さん:
マメアジの、めっちゃこまいバージョン

ーーこちらは?

漁師・宮川友芳さん:
タイの仲間、コロダイ。これはアオアジ。アジの仲間のアオアジ

ーー市場に出さないのはどうしてですか?

漁師・宮川友芳さん:
1箱の半分しかない。1箱ないじゃないですか。アオアジは、アオアジだけ1種類の方が値段がいい。混ざっちゃうと安くなる

ーーこれは1匹ですごく大きいですが?

漁師・宮川友芳さん:
これも1箱じゃないから。これがあと2~3匹あれば1箱になりますけど、1箱にならないから(売り物にはならない)

ーーそういう魚って結構出る?

漁師・宮川友芳さん:
そうですね。半端っていうのは、結構出ます

ベンナーズ・井口剛志さん:
もったいない

漁師・宮川友芳さん:
それを買ってくれるんですよ、いい価格で買ってくれるんですよ。助かりますよ

ベンナーズ・井口剛志さん:
うちは毎日、工場を稼働させないといけないし、ありがたいですね。しかもとれたてなので

“漁師・消費者・海”の全てを豊かに

こうして仕入れた魚は、全て手作業でさばかれ、次々に加工される。

ベンナーズ・井口剛志さん:
われわれの場合、使用する魚の種類が非常に多いのと、サイズもバラバラだし、機械が使えないので、手作業でやらざるを得ないという状況ですね。
魚の種類、魚の状態に応じて、味付けをその都度変えている。スーパーに出回っていない珍しい魚もあるので、魚好きにはぴったり!

どの魚も新鮮なうちに加工され、専用の機械で瞬間凍結させるため、鮮度を保ったまま商品を届けることができるのだ。

ベンナーズ・井口剛志さん:
SDGsとか、無駄をなくそうという世の中になってきて、魚をとってきてくださる漁師さん、魚を食べる消費者、そして海、全てを豊かにしていけるようなことにつながっていければと思っております

「もったいない」を「おいしい」に!
水産資源を守り、おなかも満たしてくれる一石二鳥のアイデアは今後、全国にも広がっていくかもしれない。

(テレビ西日本)