今、鳥取県で注目を集めているのが、地域にゆかりのある植物から抽出した「ローカル酵母」だ。パンやクラフトビールをはじめ、県内外の企業が鳥取大学とタッグを組んで商品開発に力を注いでいる。

国際社会共通の目標「SDGs」の目標にも通じる、こうした取り組みを行う鳥取大学の教授は、「オンリーワンの面白いものづくりにつながる」と期待を寄せる。

店先のオリーブから…しっとりモチモチ食感のパン

鳥取市にあるベーカリー店「ボノス」は、多い日には1日に約800人が訪れる人気店だ。

鳥取市にある人気ベーカリー店「ボノス」
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野菜たっぷりのサンドイッチに特製のカレーが入ったカレーパン。スペインの石窯で焼いた約80種類のパンがずらりと並んでいる。中でも今人気なのは「チャバタ」。

店で売れ筋の「チャバタ」

本田航太記者:
外はさっくり、中は水分量が多くて、しっとりモチモチ食感です

この「チャバタ」は、パン生地を発酵させるのにオリーブから抽出した酵母が使われている。

本田航太記者:
こちらのパンの開発のキーワードは「ローカル酵母」。開発に携わったのは地元産品で地域活性化を目指す鳥取大学の教授です

鳥取大学・児玉基一朗教授:
これは、さまざまな地域の素材から分離した酵母です

 

鳥取大学の児玉教授は、約7年ほど前から地域にゆかりのある植物から抽出した「ローカル酵母」の研究に取り組んでいる。

このビールに使われた酵母は、鳥取市のソメイヨシノから抽出。また、日本酒で使った酵母は大山のミズナラの葉から抽出された。

鳥取市で咲くソメイヨシノから抽出した酵母でビールをつくる

これまでに、ビールや日本酒など県内外の約20社以上の企業とタッグを組み、40以上の商品を開発している。

鳥取大学・児玉基一朗教授:
我々が気付いていないだけで、身近な花や木にひっそりと酵母がいる

オリーブの酵母を使ったパンも、鳥取大学とボノスとの共同開発で生まれた。ボノスからローカル酵母に活用できないかと相談があり、児玉教授の目に飛び込んだのが店先のオリーブの木だった。

鳥取大学・児玉基一朗教授:
たぶん取れるんじゃないかなと、半分期待も込めて

誕生したオリーブの酵母を使ったチャバタ。土日のみ、1日50個程度限定で販売を始めると…。

ボノス・清水志津佳副店長:
平日に「きょうはないですか?」と来ていただく方が多い。「楽しみに待っています」という声もある

ボノスの清水志津佳副店長

あっという間に人気商品に。オリーブ酵母を使った新商品も検討している。

桜の酵母でクラフトビールも 地域活性化とSDGs目標に貢献

一方、鳥取市内のクラフトビール販売店「アカリ ブリューイング」では、鳥取市鹿野町の桜の酵母を使ったクラフトビールを販売している。

クラフトビール販売店「アカリ ブリューイング」

アカリ ブリューイング・鹿児嶋敦社長:
ジュースっぽいような味に仕上げていて、特にビールが苦手な方とか、女性が飲まれることが多い

ビールが苦手な人でも飲みやすいという

こうしたローカル酵母を使った商品開発は、国際社会共通の目標、SDGsの8つ目「働きがいも経済成長も」にも通じ、地元の資源を活用して新たな価値を生み出し、経済を活性化させることにつながっている。

鳥取大学・児玉基一朗教授:
それぞれの製品に適した酵母を選抜できれば、他にないオンリーワンのおもしろいものづくりにつながる

鳥取大学と地元のベーカリー店が開発したオリーブ酵母のパンに、桜の酵母を使ったクラフトビール。無限の可能性を秘めたローカル酵母は、地元産品の魅力を再発見し、新たな価値を創造している。

(TSKさんいん中央テレビ)