明るい緑色をあしらった機体が特徴的なソラシドエア。宮崎市に本社を置くソラシドエアが、このブランド名を導入してから2021年で10年を迎えた。

コロナ禍で苦境が続く航空業界で、“地方の翼”が生きる道を髙橋宏輔社長に聞いた。

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AIRDOと共同持ち株会社設立へ 収益アップを目指す

九州・沖縄を中心に14路線、78便を展開するソラシドエア(2021年7月時点)。新型コロナの影響により利用客が大きく減少する中、2020年度の決算は過去最大の赤字となった。

 
 

ソラシドエア・髙橋宏輔社長:
過去、リーマンショックや震災の影響がありましたけど、全然比べ物にならない。これほど政府や自治体が動くなと言ったら、交通機関は成り立たない

先の見えない苦境が続く中、ソラシドエアは2021年、2つの生き残り策を打ち出した。その1つが、“北海道の翼” AIRDOとの「協業」だ。

ソラシドエア・髙橋宏輔社長:
コロナになって、お互い必死にコスト削減をしたり減便したり努力はしたんだけど、自助努力では限界がある。提携でいろんな議論をしていたので、生き残り策でむしろ連携しようと

ソラシドエアは2021年5月、コロナ前から業務提携を進めてきたAIRDOと、2022年10月をめどに共同持ち株会社を設立することを発表した。

それに先駆け、両社は7月、互いのマイルとポイントの交換キャンペーンをスタート。また、コスト削減に向けても、資材・部品の共同調達や施設の共同利用などの検討を進めている。

ソラシドエア・髙橋宏輔社長:
すぐにでもできることは、共同持ち株会社設立前でも始めていくし、持ち株会社の下だったらできることは、その後ということになる。収支改善効果としては、数年後をイメージして年間30億~50億の効果を出したい

ソラシドエアの髙橋宏輔社長
ソラシドエアの髙橋宏輔社長

新サービスも展開 朝採れ野菜などを当日に首都圏へ輸送

そして、生き残り策のもう1つが、地元との「共創」だ。

ソラシドエアの機体を使って、自治体の魅力をPRする「空恋プロジェクト」など、これまで展開してきた地元との連携をさらに強化し、新たに宮崎の生鮮食品などをその日のうちに首都圏に届ける「高速小口貨物輸送」に着手する。

神都高千穂 タヂカラオ号(提供:ソラシドエア)
神都高千穂 タヂカラオ号(提供:ソラシドエア)

ソラシドエア・髙橋宏輔社長:
神奈川県川崎市のホテルで、宮崎フェアを3月と6月にやった。そこで「ソラシドマルシェ」をやって、地元の朝採れた野菜などを持って行って売る。全部売り切れて、非常に好評だった

ソラシドマルシェ(提供:ソラシドエア)
ソラシドマルシェ(提供:ソラシドエア)

ソラシドエア・髙橋宏輔社長:
大都市と九州・沖縄を結ぶという航空ビジネスの上での存在意義プラス、航空会社として地元に貢献できることが何かあるだろうと模索してきたことが、我々のこだわり

この取り組みは、9月にも宮崎・羽田間で始まる予定で、髙橋社長は「小さなニーズかもしれないが、ソラシドエアだけでなく地元にとってもメリットは大きい」と話す。

ソラシドエア・髙橋宏輔社長:
目先は、コロナからの生き残りと復活。しかもそれは、地元とともに復活しなければならない。もっと長い目で見ると、「九州・沖縄の翼」でありながら「北海道の翼」と手を組んで経営基盤を強化した暁に、新しくどのような価値が生み出せるか。
両社相談すれば、違う路線形態もあるかもしれません。そのあたりは将来の話だと思います。まずは復活しないと。黒字にならないとどうしようもありません

ソラシドエア・髙橋宏輔社長
ソラシドエア・髙橋宏輔社長

北海道の翼との「協業」と地元との「共創」。“地方の翼”の生き残りをかけ、ソラシドエアは大きな転機を迎えている。

苦境が続く航空業界にあって、ソラシドエアは宮崎の人とモノを運ぶ、新たな航空会社に生まれ変わろうとしている。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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