フジテレビ夏のイベントTHE ODAIBA 2021「バーチャル冒険アイランド」は、テーマとしてSDGsを掲げている。

中でも「未来を変えるFUTURE TALK」は、SDGsの達成期限まであと9年となる中、より具体的な行動へつなげていくためのものだ。

「e-wasteに見る資本主義の真実と責任ある消費」と題したトークセッションでは、自分が決めたゴールにむかって突き進む二人の変革者のエネルギーがステージ上にみなぎった。

売れない画家が見たスラム街の衝撃

美術家の長坂真護(MAGO)さんと20歳の環境活動家の露木志奈さん。

美術家の長坂真護さん(左)と環境活動家の露木志奈さん
この記事の画像(11枚)

世界を舞台に活躍する二人だが、初めてお会いした時の率直な印象は「自然体」そして「ナチュラル」だった。二人とも、シンプルな服装で全く着飾っていない。なのにどこかキラキラとしていて明るい。惹きつけられる魅力を感じた。

もともとは売れない画家だったというMAGOさんは、2017年にアフリカ・ガーナのアグボグブロシーというスラム街を訪れ、そこで先進国が送った東京ドーム32個分の電子機器のごみを見た。

火が上がり悪臭が漂うその場所には、自分たちがよく使っていたパソコン、ゲームなどの電子機器が年間60万トンも投機されていて、まさに資本主義の闇ともいえる光景・・・これを何とかしようと、電子ごみを持ちかえりアートにして付加価値をつけたところそれが1点1,500万円で売れるほどに。その収益で現地にガスマスクを送ったり、学校を作ったり、さらにはリサイクル工場を建設する計画だ。

「スラムで力強く生きるお母さんをイメージした」アート作品と共に

このイベントにあたり、MAGOさんが自身の作品をスタジオから持ってきてくれたのだが、絵具で描かれた女性にごみで装飾を施してある。MAGOさんによると、スラムでも力強く生きるお母さんをイメージした作品だそう。 言葉ではなかなかイメージしづらいかもしれないが、温度感があり、立体的で、そして可愛いのだ。

「ゴミはジュエリーに変化した」

MAGOさんは「キャンバスから剥がして地面に置いたらただのごみだけれど、愛情を注ぐことによって、それはジュエリーになるんだ」と話していた。MAGOさんの、ガーナに対する、そして人々に対する愛情が、ごみという名のジュエリーを使った作品に大きな価値をもたらしているのだ、と納得した。

「環境破壊は待ってくれない」

露木さんは、インドネシアのバリ島にある世界のグリーンリーダーを育てる学校グリーンスクールで高校時代を過ごした。今は日本の現役大学生だが、「環境破壊はまってくれないから」と、大学を休学して全国の学校で温暖化の現状について講演している。

小柄な見た目からは想像できないほどパワフルで行動力の塊のような露木さん。講演を行う彼女の話に学生たちは皆熱心に耳を傾けている。

環境活動家の露木志奈さん

実は、今回二人は初対面なのだが、お互い多くの共通点があることがトークの中でわかった。

「最初はひとりだった」

今や100人近いチームメンバーがいるMAGOさんだが、「最初はひとりで世界中をまわっていた」という。

アフリカのスラムを変える!と決めてからは、まっしぐら。

彼曰く、「バカを貫くとまわりに秀才があつまるの、桃太郎みたいにさ。きび団子もってないけどね」。

露木さんは今もたったひとりで講演活動や、100%天然由来の口紅を作るキットの開発を行っている。「今は全て一人行動なんだけど、仲間がいなくて大丈夫なのだろうか…」と口にした露木さん。

そんな彼女にMAGOさんは、「自分がまっすぐで美しいエネルギーをもっていれば、自然とサポーターが集まってくるよ」とエールを送った。

スクリーンに映し出されたのは、露木さんが作った100%天然由来の口紅

「勉強ができなかった」

そして2つ目の共通点は、「勉強ができなかった」こと。

今や英語を使いこなし世界で活躍する二人だが、露木さんの中学の英語の成績は「1」。

「私、超勉強できなかったんです。それで、日本を離れグリーンスクールに行ったら、教科書がない。どうやったら学生の立場で、今ある問題を解決していけるのかを考えるような授業でした」

そして、MAGOさんも英語のテストは5点とか10点だったとか。

「え、僕も超バカだった。でもさ、教科書の内容、今覚えている人いないでしょ?教科書なんて意味ない、エクスペリエンス(経験)がどんだけ大事か」

二人とも「経験」が今の自分を作っているという。

バリ島のグリーンスクールで学んでいたころの露木さん(『フューチャーランナーズ』より)

きっかけは「ごみの山」

3つ目の共通点は、きっかけが「ごみの山」だったこと。

バリ島の海沿いで巨大なごみの山を見て、自分の日々の行動が環境に負荷をかけていたんだと知り、衝撃をうけたという露木さん。

「何が自分の意識を変えたのか、と考えると“体験”だった。ごみの山を見なければ今の自分はないかもしれない。だから一人ひとりにアクションを起こして欲しい」と語る。

露木さんが見て衝撃を受けたバリ島の海沿いの巨大なごみの山

MAGOさんも、電子ごみの墓場に行ったときのことをこう振り返る。

「これまで何万人もの人がガーナを訪れこの現状を見ているのに、みんな見てみぬフリをした。自分はその時人生をかけてスラムを変えるって言ったのね」

何より“体験”して得られる学びこそが未来につながる、そのために大事なのはまず行動すること、という点も二人は重なる。

ガーナのごみの山(ハリウッド制作ドキュメンタリー映画『still A BLACK STAR』より)

「これからは、エシカルでサステナブルな時代がくる」

そして最後に意見が一致したのは、「これからはエシカルでサステナブルな時代がくる」ということ。

いままでは人間の経済活動が最優先だったが、これからは優先順位が地球、人権、平等、平和になる。

しかも、これでお金をかせげる時代が来つつあるというのだ。

MAGOさんは自分の活動を例にあげ、「地球のためにやっていてもマネタイズできる」仕組みが存在することを説いた。

「芸術を通して地球をきれいにし、社会のあるべき姿を体現したい」

「ごみを使ったアートって、かつてはジャンクアートと呼ばれていたけど、今はサステナブルアートと言われているように、ものの価値って変わる」 とMAGOさんは言う。

アート作品そのものもそうだが、今新たにごみから作ったアート作品「ミリーちゃん」というキャラクターを、アニメ化し、ヒットさせ、グッズ化する。そしてそこで得た利益でゴミを減らす工場を作る。このような循環型社会におけるビジネスを、MAGOさんは実現しようとしている。

ごみから作ったアート作品「ミリーちゃん」

露木さんも「今の若い人は何かカッコいいかの概念が昔と変わってきている。私も基本的にものをあまり買わない。今日の服もアクセサリーもおさがり」 、社会をより循環型にしていくことが大事と。

それと同時に「怒りの先には分断しかない」過去の人間の経済活動を批判するのではなく、むしろ豊かな生活を与えてくれた大人たちに感謝(露木さん)しつつ、”地球上の人全員がこの社会を作る乗組員”(MAGOさん)という考え方になっていけばいい。

約1時間二人の話を聞いて、最初に感じた二人のキラキラとした魅力は、「これだ!と思ったものに対して信念を持ち、自分を信じ、まっすぐ突き進むその行動力」からくるものだと感じた。二人の行動に強い覚悟を感じるからこそ、周りは引き込まれ行動を共にしたいと思うのだろう。二人が起こす大きな時代の波に、私も乗り遅れたくない、そう思わせられる時間だった。

共通点が多かった初対面の二人、一歩を踏み出す「魔法の言葉」は・・・?

最後に、これから何か行動を起こしたいという人たちにむけて、一歩を踏み出す「魔法の言葉」を書いてもらった。

どんな言葉だったかはぜひ動画でご覧いただきたい。

【動画:THE ODAIBA 2021:未来を変えるFUTURE TALK-フジテレビ】

【関連記事:インドネシアの「グリーンスクール」卒業した20歳の日本人環境活動家が同世代に伝えたいメッセージ

【執筆:フジテレビ アナウンサー 宮澤智】