現在も全国の広い範囲で降り続いている大雨。なぜこんなにも長く雨が降り続くのでしょうか。
筑波大学生命環境系の釜江陽一助教の解析をもとに解説します。

「雨の素」が列島に流れ込み…約2000㎞の“大気の川”を形成

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天達気象予報士:
実は今、一言で言うと真夏に梅雨前線が停滞してしまっている状況なんです。通常、夏は南側の太平洋高気圧が前線を押し上げ、真夏の暑い空気に覆われるのですが、今は北側のオホーツク海高気圧の勢力が強く、前線が挟まれ身動きがとれなくなってしまっています。両方の高気圧が同じくらいの強さで押し合っているんですね。
しかも、湿った空気が前線に向かってどんどん流れ込んで来てしまっている影響で、各地で豪雨になっているということです。

提供:筑波大学生命環境系 釜江陽一助教
提供:筑波大学生命環境系 釜江陽一助教

さらに今回の1番の特徴がこちらです。

「水蒸気の流れ」と書いてあるのですが、この赤いところが大量の雨雲のもとになる水蒸気です。日本列島がこの辺りにあるのですが、真っ赤になっているのがわかります。

――ものすごい量ということですよね。

天達気象予報士:
そうなんです。3年前の西日本豪雨に匹敵するくらいの雨雲の「素(もと)」が入っているということで、「大気の川」と言われています。これが狭い範囲に流れ込んで来ている状態です。
どういうことかというと、ゴムホースの水が流れるのを抑えると、狭くなった出口からピューっと強く流れ込みますよね。今はそういう状態で、狭いところに日本列島が来ていて、大量の雨雲の「素(もと)」が、次々と流れ込んできています。これがなんと2000㎞にも及んでいて、「大気の川」が形成されているということです。

天達気象予報士:
実際に雲の様子で見てみますと、実は遠くインドまで繋がっています。ベンガル湾を通って、中国大陸から日本までやってきているということになります。
モンスーンの非常に湿った空気が入っているので、その玄関口にあたる九州は大雨になっているというわけです。

日本列島の上空を覆っている「大気の川」。2000㎞というのは「かなり長い」と天達気象予報士は指摘します。
引き続き8月19日ごろまでは大雨に警戒し、記録的な雨量になった地域は雨が弱まっても油断せずに安全確保や早めの避難をしましょう。

(「めざまし8」8月16日放送より)