水田の泥にさすだけで発電できるという「泥の電池」の実用化を目指し、佐賀大学などが研究を進めている。
スマート農業への応用が期待できるという、その仕組みを取材した。

微生物の働きを利用して発電

この水田にささっているもの、これが泥の電池。この泥の中にいる微生物のはたらきを利用して発電するという。

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佐賀大学理工学部・冨永昌人教授:
5年後ぐらいには、本当にちゃんとみなさんの役に立つものとして提供できたらと

8月5日、稲が青々と茂る吉野ヶ里町の水田で、実証試験が始まった通称「泥の電池」。手掛けているのは佐賀大学理工学部の冨永昌人教授。

佐賀大学理工学部・冨永昌人教授:
こっちの下の方が水田に埋まるところ、そしてこの上の方が空気中に出るところになります。この水田に浸かるところは、ここで微生物がこの電極の上にくっついて繁殖していきます。その微生物が田んぼの中の有機物を分解して、この電極に電気を、電子を流してあげると

泥の中にいる無数の微生物の中には、有機物を分解した際に電子を放出する「発電菌」が存在する。この「発電菌」を電極の上で増殖させ、電子を回路に流してもらって発電するという仕組み。

佐賀大学理工学部・冨永昌人教授:
発電菌はこの畑にもいるし、運動場の泥にもいるし、みなさんのお庭の土にもいるし、海にもいるんですよ、似たようなものが必ずいる

研究は、電気機器の製造や販売などを手掛けるニシム電子工業と共同で行い、試験は2021年で2年目となる。

2020年は最大電圧0.45ボルト、最大電流3.5ミリアンペアの発電に成功。2021年はその倍の発電量、1ボルト、7ミリアンペアを目指している。

佐賀大学理工学部・冨永昌人教授:
あとはもう接続して大体終わりかな

「誰でも簡単に使える」を目指して開発

どこにでもいる微生物を利用するのに、冨永教授はなぜ水田での発電を選んだのか。

佐賀大学理工学部・冨永昌人教授:
“スマート農業”。まわりを見られてわかるように、電気とってくるのは大変ですよね。太陽光も当然設置するんですけど、1年中通して、コンスタントに発電を得られるというところで、泥の中、土の中からの発電を期待しています

ICTなど先端技術を活用するスマート農業。近年注目を集める一方、農地での“電源の確保”が課題だということで、いつでもどこでも発電できる「泥の電池」が実用化できれば、さらに導入が進むかもしれない。

佐賀大学理工学部・冨永昌人教授:
日本ばかりじゃなくて、東南アジアとか、1年中暑くて1年中農業が盛んな、そういうところに使いたいなと。そのためにもコストを抑えて、誰でも簡単に使えるようなそういった本当に使える電池を目指して開発を進めています

(サガテレビ)