鹿児島の市川修一さんと増元るみ子さんが、鹿児島・日置市の吹上浜で北朝鮮に拉致されてから8月12日で43年。

この日、拉致現場付近では警察の広報活動が行われたが、新型コロナの影響で、拉致被害者家族は参加を見合わせた。コロナ禍で思うように活動ができない中、拉致被害者家族が今、思うこととは…

「悔しい、歯がゆい…」新型コロナ感染拡大で活動できず

市川健一さん:
8月12日、この日が来るのが本当に嫌なんですよ。夏でみなさんは楽しく過ごしていらっしゃるんだけれども、私としては12日という日は、本当に今でも思い出したくないですね

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拉致被害者、市川修一さんの兄、市川健一さん(76)。8月7日、KTSの取材に思いを語った。

1978年8月12日、市川修一さんと増元るみ子さんは、日置市の吹上浜で北朝鮮に拉致された。

1987年8月12日 吹上浜で…
1987年8月12日 吹上浜で…

弟を取り戻す―。そのために市川さんが唯一とれる方法は、「世論を喚起して国を動かすこと」だった。
これまで全国各地に足を運び、積極的に講演会や署名活動を行ってきた市川さん。

講演会や署名活動のため全国へ
講演会や署名活動のため全国へ

しかし、新型コロナの感染拡大でイベントが中止になるなど、市川さんの活動は大きく制限されることに。2020年3月から1年半もの間、思うように活動ができていない。

市川健一さん:
悔しい、歯がゆい、憤怒の思いでいっぱいですよね。(活動を)強行にやったら、反対に(世論が)マイナスになるから、本当に悔しいんだけど、この状況下ではしょうがないですよね。なかなか進展しない、心も折れる時もありますよ

原動力は「頑張って」の声…コロナ禍にできることを

そんな市川さんにとって何よりの支えは、「国民が拉致問題を忘れていない」ということだ。
2021年4月、新型コロナの感染がいったん落ち着いたタイミングで、久しぶりに行った署名活動。市川さんはそのことを実感したという。

久しぶりの署名活動で 2021年4月
久しぶりの署名活動で 2021年4月

市川健一さん:
署名をお願いすれば、「頑張ってください」「応援してます」と、温かい励ましの言葉をかけられる。私たちとしては大きな力になるんですよ

その支えを原動力に、市川さんはコロナ禍でもできることに取り組んでいる。2020年に就任した塩田知事と、鹿児島市の下鶴市長の元を初めて訪れ、拉致問題への協力を要請した。

市川健一さん:
知事に、「右でも左でもいいから、スーツにバッジをつけてください」と言ったら、つけてくださっている。知事が率先して行動するのはありがたい

拉致事件から43年 被害者家族が不参加の中で広報活動

そして、拉致事件から43年後の8月12日。
2人が拉致された日置市の吹上浜付近では、警察官約20人が広報活動を行った。

新型コロナは県内で再び感染が拡大し、市川さんたち拉致被害者家族の参加が見送られる中、警察官は通りかかったドライバーに拉致問題への関心を持ち続けるよう訴えた。

拉致被害者家族の参加は見送られた
拉致被害者家族の参加は見送られた

思うような活動ができない今、市川さんは何を思うのか?

市川健一さん:
(新型コロナの)感染症で活動が大きく制限されて、私たちが県民の皆さまにお願いするのは、拉致問題に関心を持ち続けてほしい。風化するのが1番怖いんですよ。なんとしても、皆様が拉致問題に関心を持ち続けていただけることを望んでいる

拉致から43年。
コロナ禍で身動きが取れない拉致被害者家族にとって、大きな後押しになるのは、私たちが拉致問題に関心を持ち続けること。
拉致被害者全員の帰国が実現するその日まで、私たち1人ひとりが胸に刻み続けなければならない。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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