8月8日に東京オリンピックが閉幕。各社の世論調査でも、オリンピックの開催について肯定的な意見が半数を超えている。しかし、菅内閣の支持率は、調査によっては最低を更新するなど低迷が続く。

なぜオリンピックが支持率に結びつかないのか。今後の政治日程、政局はどうなるのか。BSフジLIVE「プライムニュース」では永田町を熟知する3人を招き、菅首相の総選挙に向けた次の一手を読み解いた。

新型コロナ感染拡大の中、内閣支持率は低下。下げ止まるかの分岐点に

この記事の画像(11枚)

新美有加キャスター:
菅政権の支持率低下が続く要因と政権浮揚策について。新型コロナの感染拡大が大きく影響しているのか、先週末から各社が調査した内閣支持率は28〜35%の間で、いずれも菅内閣発足後最低。秋の政局を前に、政権への意味は。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
官邸はそれほどショックを受けていない。低い支持率に慣れてしまっている。下がる要因としては内閣の失態もあるが、感染者数がこれだけ増えていればなかなか支持は増えない。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
首相を支持する無派閥の議員の中には「まだ30%ありますから」と言った人もいる。なんとか持ちこたえている感じ。ただ、世論の目はさらに厳しくなる。下げ止まるかどうかの分岐点にある。

飯島勲 内閣官房参与

飯島勲 内閣官房参与:
私は内閣官房参与だが、今日はあくまで個人の発言とご理解いただきたい。そこで冷静に見ると、政策調整から何から全部菅さんが一人でやっているように見える。問題は内閣官房。優秀なキャリア官僚を全省庁から集めて1000名を超えているはずだが、自覚を持ってちゃんと総理を支えろと言いたい。また閣僚も船頭が多すぎる状態。コロナ対応だけで3人。実務型の総理には忍耐強く頑張ってほしい。

世論はオリンピック評価も支持率上がらず。パラリンピック後は…

反町理キャスター:
各社の世論調査では、オリンピックを開催して良かったという人が約6割。それにもかかわらず支持率は減り続けているが、これはどう見ればよいか。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
感染者数の影響だと思う。それに内閣の失態も重なり、本来上がっていいはずの支持率がちょっと下がってしまったということだと思います。

反町理キャスター:
オリンピックを開催したから、その程度の下がり方で済んでいるという意見も。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
そういう見方もある。正しいかどうかの判断は難しいが。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
今回は最初から世論の中に「オリンピックはオリンピック、政治は政治」という意識がかなりあったと思います。さらに、オリンピックの意義についてなどのメッセージの不足がそこに差をつけた。

飯島勲 内閣官房参与:
政治への反映についての判定はまだ早すぎる。8月24日から9月5日までパラリンピックが開催される。関係者や政治家も含め、どれほど熱意ある支援をして有終の美を飾るか、厳しく見てもらいたい。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
私もよりレガシーとなるのはパラリンピックだと思う。日本の高齢化社会の中でも役立ってくる。観客についても、パラリンピックの有観客は意味が違う。障害がある人たちのスポーツを見て、障害者との共存や障害者スポーツを理解するといったことのために子供たちが観戦する。

横浜市長選は対立軸が明確ではない混戦に。結果の影響は多大か限定的か

新美有加キャスター:
総選挙に向けた秋の政局について。8月22日、菅首相のお膝元でもある横浜市で、総選挙の前哨戦ともいわれる市長選挙の投開票が行われます。立候補者は8人と激戦。菅首相は小此木八郎氏の全面支持を表明していますが、政権の今後への影響は。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
小此木さんが手を挙げた頃から力学が変わっている。対立軸があって一騎打ちの選挙ならば、勝敗が菅さんの求心力に影響するが。

反町理キャスター:
小此木さんが負ければ、「菅政権に対して横浜市民がNO」などとどこかの新聞が書きそうだが。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
誰に負けるかによる。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
僕は政局に与える影響は大きいと思う。与野党ともに分裂状況。小此木さんがもし負けたら、やはり菅さんの下で選挙を戦えないのではという声が自然と出てくると思う。

総裁選は岸田氏出馬で一騎打ちの可能性。河野氏出馬には麻生氏の判断が影響

新美有加キャスター:
二階幹事長は無投票による菅首相再選の可能性に言及。最大派閥である細田派の会長、細田元幹事長も菅首相の再選を支持する意向です。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
出馬が取りざたされる議員のうち、高市早苗さんは安倍さんが実権を握る細田派。安倍さんに推薦人集めでの協力を2度頼んだが、自らは菅さんを支えなければいけないと断られた。野田聖子さんの出馬は、協力を受ける必要がある古賀誠さんが熱烈な菅さん支持。石破茂さんは今のところ慎重な姿勢。河野太郎さんは現職閣僚、下村博文さんは現政調会長。岸田文雄さんはまだ悩んでいるところだと思うが、出れば一騎打ちになる可能性がある。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
岸田さんが決めきれないのは、岸田派だけでは勝てず、安倍さんや麻生さんが推してくれるかどうかがまだ見えないためと思う。

反町理キャスター:
下村さんは細田派。細田会長や前首相の安倍さんが、菅さんは再選するべきだと言っている。それでも出るなら袂を分かつことになるか。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
下村さんが試される。ただ今のところ意欲はあり、推薦人にもメド。これからどんな駆け引きになるか。河野さんは菅さんがいない総裁選ならば出る可能性がある。ただ所属派閥の領袖である麻生さんは、恐らくまだ早いとストップをかける。それを振り切ってでも出るのかどうか。

反町理キャスター:
河野さんは確かに世論調査では人気があるが、麻生派に支持されるのは難しく、派閥横断的に若手の議員が20人が集まるような形ですよね。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
そう。いろんな若手の発言を聞いていても布石はある。河野さんにも勝負の時が来ていると見ていいのでは。

ワクチンの効果待ちと補正予算の観点から、総選挙はできる限り先送りに?

新美有加キャスター:
自民党総裁選で菅首相が再選されても他の人が新総裁になったとしても、10月21日には衆議院議員の任期満了。焦点は衆議院の解散と総選挙のタイミングです。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
衆議院の任期までに選挙を終えるのが基本。今のところ総裁選挙は17日告示、投票日が29日。この告示前、13日の週かその前に衆議院を解散するというのがひとつのプラン。総選挙の投開票日は10月10日か17日。選挙・総裁選を考えられる範囲内で最も遅いところへして来ている。
または、コロナの感染者数が9月上旬段階でもっと増えているような場合、解散しないで任期満了にするという考え方。公職選挙法の規定に従って9月26日、10月3日、10日、17日に投票日を設定した選挙となる。

反町理キャスター:
すると、どちらのプランでも総選挙の投開票日は10月10日か17日になると。先送りにした方がワクチンの効果も出てくるから、政権・自民党にとって有利ではないかという計算がある?

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
はい、遅いほうがいいだろうと。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授

飯島勲 内閣官房参与:
田﨑さんの読みは永田町の常識。だが私は違う意見。総裁選と、2021年度の第1次補正予算という課題がある。総裁選は9月末までに速やかにやり、10月の15~16日に国会召集。補正予算は衆参合わせ3日ぐらいで成立するから、その後10月20日に解散で、11月28日に総選挙の投開票。

反町理キャスター:
総選挙の投開票日を、田崎さんのプランよりもさらに約1カ月先送りすると。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
私はパラリンピック後、すぐに解散するのではと思う。総裁選より前に解散しなければ、総裁選での「菅おろし」のリスクもある。

反町理キャスター:
その場合、田﨑さんの考えと同じく、大きく負けたら自分の政権が終わりという勝負をかけた総選挙になると。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
負けたら引くと思います。

小池知事が国政で動く可能性は低い。二階幹事長「歓迎」発言、本音は「お世辞」

新美有加キャスター:
総選挙の話となると、都議選で勢いを感じた小池都知事の動きが気になります。

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
国政で動く可能性は薄い。小池さんは確かに天才的に風を読みチャンスをつかむが、今は何も吹いていない。それにコロナ禍で都知事を投げ出すのは絶対ダメ。

反町理キャスター:
東京9区は議員辞職した菅原一秀さんの選挙区。後継は?

ジャーナリスト 鈴木哲夫氏:
名前は出ている。ちょっとドロドロしているが、小池さんは絡んでいない。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
同じく可能性は低いという見方。小池都知事について二階幹事長が「自民党に戻ったら歓迎する」みたいな話をされていたが、二階さんに直接、本当ですかと聞いたら返ってきた言葉は「お世辞」。

飯島勲 内閣官房参与:
小池さん自身は国政に出てくる立場でもないし、恥をかくだけ。国政に出るということは間違ってもあり得ないと私は判断しています。

BSフジLIVE「プライムニュース」8月11日放送