東京・世田谷区の電車内で乗客10人が男に突然刃物で切りつけられるなどして重軽傷を負った事件。

逮捕された男の供述からその素顔が徐々に明らかになっている。

家路を急ぐ人たちを乗せた車内が一変

8月6日の午後8時半過ぎ、世田谷区内を走行していた小田急線快速急行の車内で男が突然、女子大生(20)の胸など7カ所を刃物で刺し、さらに刃物を振り回すなどして男女あわせて10人がけがをした。

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女子大生は重傷のけがをして現在も治療を受けている。

事件発生からまもなく、警視庁は殺人未遂の疑いで神奈川県川崎市に住む職業不詳・対馬悠介(つしまゆうすけ)容疑者(36)を逮捕した。

対馬悠介容疑者(36)
対馬悠介容疑者(36)

5、6年前から大量殺人を計画か

逮捕された対馬容疑者は容疑を認め、取り調べに対し「大量に人を殺したい。誰でも良かった」「犯行は5、6年前から考えていた」と話し、「電車を選んだのは、逃げ場が無く大量に人が殺せるから」などと供述したという。

対馬悠介容疑者(高校の卒業アルバムより)
対馬悠介容疑者(高校の卒業アルバムより)

対馬容疑者は事件当日、自宅近くの最寄り駅である読売ランド前駅から乗車し、登戸で事件が起きた快速急行に乗り換えている。

快速急行に乗り換えた理由については「途中で乗客が降りられないから」と語ったという。

さらに、対馬容疑者は7号車で女子大生を刺した後、8号車に移動して床に家から持ち込んだ家庭用サラダ油をまいて、火をつけようとしていた。これについて対馬容疑者は「大量に殺せるから火を付けようと思った」と話した。

蓄積した女性へのゆがんだ感情

なぜ対馬容疑者はこのような犯行に及んだのか?

対馬悠介容疑者(36)
対馬悠介容疑者(36)

対馬容疑者は動機についてこのように語った「約6年前から、幸せそうな人間、主に女性を殺してやりたいという感情が芽生えた」

「大学のサークル活動の時に女性から見下されたり、出会い系でデートしても断られたり、デート代を多く払わされたりした。幸せそうな勝ち組の女性を見ると殺したくなる。幸せそうなカップルも殺したくなる」

女子大生を狙った理由については「勝ち組っぽい女性に見えた」と話したという。

対馬容疑者は、取り調べに対して、他にも、これまでに接してきた“女性”に対する不満を口にしていると言う。

「女性とデートして途中で帰られた」「クラブに誘って、自分が支払いをしたのに軽くあしらわれた」

事件前の万引き 女性店員に注意され殺意…

対馬容疑者は事件当日、新宿駅近くの食料品店でオリーブとベーコンを万引きしたとして女性店員に注意され、警視庁に事情聴取を受けていた。

「万引きで初めて捕まった。さらに、注意されたのが女性店員だった」「店員が女性で殺してやりたいという気持ちが芽生えた」などと供述した対馬容疑者。

警察官に自宅に送られたのち、女性店員を殺害するため食料品店に戻ろうと考えた対馬容疑者だが、すでに店が閉まっている時間だったため電車での殺害計画に変更したと話している。

「人を殺せなくて悔しい でも逃げ惑う姿を見て満足」

10人が重軽傷を負ったこの事件。

反省や後悔の言葉は疎か、対馬容疑者は「人を殺せなくて悔しい。でも逃げ惑う姿を見て満足している」と供述。さらに、「幸せそうな人間が歩いているからスクランブル交差点を爆破しようと思った」などとも話している。

一体なぜ、“女性”に対する歪んだ感情が殺意に変わり、そして実行に移されたのか?

警視庁は詳しい経緯を調べている。

(フジテレビ社会部 警視庁担当・林英美)

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