自治体へ供給するワクチン量を1割削減

新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、自治体への供給不足が指摘される中、「ワクチンが余っている」と主張する政府。「在庫がある」とみなされた自治体は、供給するワクチンの量が1割削減されるという。削減対象となった北九州市の北橋市長は「率直に言って残念」と悔しさをにじませている。

菅義偉首相(7月8日会見):
全国の自治体には、先月までに9000万回のファイザー社のワクチンが人口に応じて配分されています。そのうち4000万回分が使用されずに在庫となっていると見込まれます。

菅首相の会見
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新型コロナウイルスのファイザー製ワクチンについて、自治体への供給不足が指摘される中、「4000万回分の在庫が自治体にある」と述べた菅首相。

さらに、自民党の下村政調会長もワクチンの在庫について言及した。

下村博文・自民党政調会長(7月13日):
(現在)1日120万回という、まさに驚異的なスピードで接種が進行中。逆に、このことによって、ワクチンが足らないという風評が広がっていることも事実。

下村政調会長も「驚異的なスピードで進行中」

「ワクチンが余っている」と政府などが主張する中、厚生労働省は「在庫がある」とみなした自治体に対して、8月前半に供給するワクチンの量を1割削減すると通知。削減されたワクチンは、調整枠として、各都道府県から自治体に配分することにした。

“削減対象”の北九州市「余っているわけではない」

削減対象となった北九州市の北橋市長は…。

北橋健治・北九州市市長:
率直に言って残念。ワクチン接種について、脂汗を流して頑張ってきた人たちの気持ちを忘れないでほしい。
 

7月14日の臨時会見で、8月以降、新型コロナワクチンの予約枠を6割に減らす方針を明らかにした北九州市の北橋市長。北九州市は国から人口に応じてワクチンが配分される「基本計画枠」について、8月前半は県内の自治体で唯一1割削減されることになったのだ。

ワクチンの供給量を削減される原因となったのが、VRSと言われるワクチン接種記録システム。

VRSは国が接種記録を管理するために作ったもので、自治体や医療機関などが接種した人の情報を登録する。国はこの情報をもとに北九州市に使われていないワクチン、つまり余剰な在庫があると判断した。

しかし、市は「個別接種など4万回分の接種記録が入力されておらず、実際にワクチンが余っているわけではない」と訴えている。

国は「削減」市は「拡大」 接種方針にギャップ

実際に個別接種を行うクリニックを訪ねると―。

こうゆうファミリークリニック・看護師:
これです。これが一部になるんですけど、今まで当院で接種いただいた方の名簿になります。
 

北九州市ではクリニックの負担を減らすため、接種後に市が予診票を回収しVRSへの入力を行っているが、こちらのクリニックでは接種を受けた約2000人分がまだ回収されないままとなっている。

未回収の約2000人分

現在北九州市では64歳以下の接種について60歳から64歳までに制限しているが、対象年齢が広がる8月以降に2回分のワクチンがきちんと確保できるのか院長は不安を感じている。

こうゆうファミリークリニック・酒井孝裕院長:
(国が)接種状況によってワクチンを分配するということになって、北九州市は削減のほうに向かっています。一方、北九州市は年齢層を下げて接種を広げようとしている。そのギャップが2回目の接種をより難しくしているのではないかという懸念がかなりあります。

ワクチン確保のため「VRS入力」を最優先に 

一方、「接種率日本一」を目標に掲げる久留米市では―。

濱田洋平記者:
久留米市役所です。ワクチンの供給量に係わる重要な作業がここで行われています。
 

市役所内の一室でタブレットに向かい、黙々と作業を続けるワクチン担当者たち。久留米市では、朝一番に前日分の接種記録を全てVRSに入力しているという。

久留米市ワクチン担当・高松英生主査:
正直VRSの読み取りというのは後回しにしていたが、国からVRSの読み取りの数がワクチンの供給に影響すると言われたので、それからは最優先でVRSの読み取りを行ってきました。

今やVRSの速やかな入力は、ワクチンを確保するための重要な作業となっている。

VRSの入力が最優先事項に

さらに、VRSへの入力作業は、個別接種を行うクリニックでも進められている。

天神田中内科医院・看護師:
接種が大体5時くらいに終わるので、それから読み込みまして…。

こちらでは、接種記録を毎日その日のうちに入力している。

天神田中内科医院・田中二三郎院長:
VRSの入力は看護師が責任を持ってやっています。少し煩雑だという声も聞かれましたが、その後の状況を見ると順調に行っているのではないでしょうか。

市と医療機関が連携して、いち早くVRSへの対応を行う久留米市。

7月12日から16歳以上への接種も、10日ほど前倒して開始している。

接種した人(20代):
いま感染者が増えてきているので、できるだけ少しでも安心したいというのがありました。

接種した人(30代):
育休中だったのですぐ受け付けもできた。早く受けたいなと思っていました。
 

久留米市では、幸い8月前半のワクチンの供給量が北九州市のように削減されることはなかったが、すでに接種をペースダウンせざるを得ない状況になっている。

久留米市・ワクチン担当 倉富美和主幹:
公共施設の接種会場は4割くらいに予約を抑えて運営している。2週間で17箱配られるが、40箱くらいは欲しい。ワクチンは全く持って足りないです。

ワクチン供給をめぐり広がる混乱。
自治体の苦悩は続く。

(テレビ西日本)