各国選手団が福岡入りも…
福岡県内でも東京オリンピックの事前キャンプの受け入れが本格化している。
7月5日、コロンビアのテコンドーチームが北九州市入りし、また翌6日には、アフガニスタンの陸上選手らが大牟田市に到着した。

感染対策が最も重要とされる今回の事前キャンプでは、選手と市民を完全に隔離する「バブル方式」が取られている。
選手の外出はホテルと練習会場の往復のみ。移動は専用バスを利用し、市民と接することはない。

みやま市では8日、グアムとミクロネシアの競泳選手の練習を地元の中学生が距離を取って見学。これが期間中、唯一の交流になるという。

練習を見学した生徒:
みやま市で事前キャンプをしたので、優勝してほしい
練習を見学した生徒:
一生の思い出です
そして、県内最多の3カ国 310人が訪れる福岡市でも、9日から受け入れがスタート。スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの選手団が市内の2つのホテルに滞在し、4つの施設で練習を行うことになっている。

選手らの健康管理について、市の担当者は…
福岡市スポーツ推進課 平山誠課長:
選手団の皆さんは、毎日PCR検査を行っていただきまして、万が一、陽性ということになれば保健所や県など、さまざまな関係機関と連携した上で、症状があれば入院、軽症や症状がない場合は、療養施設で隔離するなどの対応をします

また本来、事前キャンプの醍醐味である“触れ合い”ができないことについては…
福岡市スポーツ推進課 平山誠課長:
例えば、オンラインを活用した交流会ができないかとか、感染対策を徹底した上でできることを相手国と相談していきたい
ホテルでは“特設通路”を設置 一般客と選手団が接触しない工夫
一方、ケニア選手団の約80人が滞在する久留米市のホテルでは、受け入れ3日前、大量のパーテーションが運び込まれていた。

このホテルでは一般の利用客は本館に、ケニア選手は東館に宿泊するが、食事会場は本館にあるため、接触しないよう工夫するという。
ホテルニュープラザ久留米 松竹寿支配人:
ここからあそこまで全部壁を作ります
約30分後、選手専用のエレベーターと食事会場をつなぐ特設通路が完成した。
TNC報道部 濱田洋平記者:
ケニア選手団はこの先で食事をとることになっていますが、パーテーションが張られていて、全く見ることはできません

さらに食事会場の中も…
ホテルニュープラザ久留米 松竹寿支配人:
(収容人数は)130人までなのですが、ここで食事できるのは40人までです。学校形式でアクリル板を全部立てる。前を見て食事するという感じになる
ちなみにメニューは?
ホテルニュープラザ久留米 林英寿料理長:
こちらが「ウガリ」という主食になる食べ物です

料理長が、東京のケニア大使館で学んできたという郷土料理。
ホテルニュープラザ久留米 林英寿料理長:
トマトとタマネギをよく使う。良い成績をとれるように私たちも最善を尽くして、料理の提供もそうですが、サービスもしっかりやっていきたい

全従業員にワクチン接種 受け入れ体制整う
今回の事前キャンプ受け入れが正式に決まったのは約1カ月前。
少ない準備期間で、いかにして安心安全の施設をつくりあげるか。ホテル側が重要視したのは従業員のワクチン接種だった。

ホテルニュープラザ久留米 松竹寿支配人:
ぜひ受けさせてほしいと。何かあったときには、お互い困ることだし。120~130人の社員が全員(2回)接種を終えているので、受け入れ体制は十分に整った
さらに支配人の頭を悩ませていたのは、先週、予約がスタートした福岡県独自の観光キャンペーンだ。

ホテルニュープラザ久留米 松竹寿支配人:
避密の旅キャンペーンも徐々に増えてきていますので、その分はその分でちゃんとやりながら、ケニアの方はケニアの方で、それぞれでスタッフは分けていますので、絶対にご迷惑をかけないようにやっていきたい
陸上やラグビー競技などでメダルの期待がかかる強豪、ケニアチーム。受け入れ体制はできたものの思い描いていたサービスができず、複雑な思いもあるようだ。
ホテルニュープラザ久留米 松竹寿支配人:
待ち遠しいという気持ちはあるが、当然不安もあるので、感染対策をしっかりして喜ばれるおもてなしをしたい

限られたかたちでの懸命なおもてなし。受け入れ地では、試行錯誤が今も続いている。
(テレビ西日本)