今は使わない「オールウェーブセッティング」

佐々木恭子アナウンサー:
国家試験には確かに必要なんですが、今どき使わない技術も学ばなくてはいけない。美容師の試験科目を見直す動きが出ています。

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6月29日「国際文化理容美容専門学校 渋谷校」では美容師免許の取得のため、オールウェーブセッティングという戦後から1960年代に人気を集めた難易度の高いパーマの実習が行われていた。

国家試験のために学ぶ 使わない技術

髪全体にローションをつけ指とくしを使って波立たせるものだが、パーマ液を使った方法が主流の今なぜ学んでいるのか…

美容専門学校の学生A:
国家試験もあるので。使うか使わないかっていったらあんまり分からない。

美容師国家試験には筆記試験とカットとパーマの実技試験がある。

パーマの実技には棒を巻きつける今も一般的に行われている「ワインディング」と「オールウエーブ」のいずれかが出題されるため、両方とも習得しておく必要がある。

しかし、一般社団法人 日本美容サロン協議会が現役美容師を対象にしたアンケートでは「学校で習ったが今は使っていない技術」にオールウェーブセッティングを挙げた人は35%に上った。

「国際文化理容美容専門学校 渋谷校」ではオールウェーブセッティングの練習のため60時間近く使っている。

美容専門学校の学生B:
オールウェーブを使うことはない。国家試験のためにやっている。

美容専門学校の学生C:
カットとかカラーとかサロンで使えることをやる時間を増やしたい。

美容専門学校の学生D:
美容師の仕事の中でも使える課題にしたほうがいいのかなと私は個人的に思います。自分の中のモチベーションにもつながる。

美容師国家試験科目の見直しを検討

こうした中、6月4日に自民党の有志によるグループが時代に合っていない試験科目があるとして「即戦力となる実践的教育の必要性などをまとめた提言」を河野規制改革担当相に提出した。
今後は美容師免許を所管する厚生労働省と協議して検討を進めるという。

美容業界も「現在の試験のままでは今必要な技術を卒業後、就職してから学び直さなくてはならず、すぐに稼げず体力的にもきつく辞めてしまう。そのためなかなか次世代の美容師が育たず経営難となる悪循環が生まれている」と試験科目見直しの必要性を訴えている。

佐々木恭子アナウンサー:
やはり外から見ていると不思議だなと思うのは、もうすでに使わなくなった技術は実技試験がある。しかし、いまどき必要な技術は実技試験が行われていないということなんですね。例えば今どきの技術と言いますとカラーリングとかまつげエクステですよね。これは実技試験がないんです。まつげエクステは施術のミスが続いたので、2008年から美容師の資格が必要となっているんですが、このあたりもまだ改善がされていない。ただ厚労省は運用の見直しが必要というふうには検討していますね。

加藤綾子キャスター:
一歩前進ということなんですかね。ただ何のための試験なんだという話になってきますよね。合格するためだけの技術を覚えて、あとは実際に生活し始めたら使わないというのはちょっとよくわからない。

キャノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏:
私にもちょっと分からない。だけどやっぱり新しい技術をどんどん取り入れないと置いていかれますわな業界全体が。

佐々木恭子アナウンサー:
やっぱり仕事を始めた後もう一回学び直さなくてはいけないというのが時間ももったいないですよね。そのあたりがこれからもしかすればどんどんと今の技術に必要になってくるのかもしれません。

(「イット!」6月29日放送分より)