日本全国から厳選したチーズを販売

5月、高知・須崎市の商店街に国産チーズの専門店がオープンした。
国際結婚で結ばれた夫婦が、コロナの不安を乗り越えてお店を開くまでの思いを取材した。

思わず食欲がそそられる、とろとろのチーズ。

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高知・須崎市の交流施設「すさきまちなか学舎」の1階に、5月にオープンしたばかりの国産チーズ専門店「フロマジュリーヤマサキ」。

国産チーズ専門店「フロマジュリーヤマサキ」(高知・須崎市)

店内では、日本全国から厳選して取り寄せたチーズが販売されている。
店を営むのは、須崎市出身の山﨑文加さん(39)とスイス人の夫、ロリス・トリンベールさん(31)だ。

2人は2012年、大阪で衝撃的な出会いをした。
日本の武道が好きで、元々スイスで合気道を学んでいたロリスさん。2012年に大阪の道場を短期留学で訪れた際、師範をしていたのが文加さんだった。

大阪の道場で出会ったロリスさんと文加さん

ロリスさん:
強い、はじめましてで負けてしまった

組み手の練習で圧倒されたロリスさんが、文加さんの強さとキュートな性格に一目ぼれ。交際を始めた2人は、ロリスさんの故郷・スイスで結婚し、5年半を過ごした。

長男のアレックス君に続いて、長女のレナちゃんが生まれたころ、文加さんにある思いが芽生えてきた。

文加さん:
子どもはスイスに住みながら、一時帰国で日本で生活する機会はあったが、もっとバックグラウンドを作るためには、フランス語と日本語がしっかりしゃべれるようになって、自分で将来のことを選択できる人になれるといいなと思って

移住先を文加さんの生まれ故郷・須崎市に選んだのは、特にロリスさんの思いが強かったという。

(Q.須崎の魅力は?)
ロリスさん:
まず人が親切。海の眺め、きれいな滝や山はもちろん、食べ物もおいしい

夫の一言に背中を押され…開店を決意

ロリスさんは、それまでインクメーカーの技術者として働いていたが、日本ではスイスの魅力を伝えられるような仕事をしようと、チーズ専門店の開業を計画した。

2019年の年末、一家は須崎市へ。さっそく日本のチーズを学ぶため、酪農が盛んな北海道を訪れた夫妻は、日本のチーズのレベルの高さに驚いたという。

文加さん:
最初は日本のチーズなんて、たっすい(食べ応えがない)じゃないけど、そんなに味がしっかりあるイメージではなかったが、実際に現地で食べたり、取り寄せて食べたチーズが、すごくおいしかった

まろやかな味わいやコク深さなど、本場のチーズにも引けを取らない完成度に感動したロリスさんは、国産チーズの魅力をスイス流の食べ方で伝えていくことを思いついた。

日本各地のチーズ生産者と関係を作り、知人の紹介でシェアキッチンを格安で借りるめどもつき、開店の準備は整った。

しかし、一向にコロナの収束が見えない不安から、文加さんは最後の一歩を踏み出せずにいた。
そんな中、彼女の背中を押したのは夫の意外な一言だった。

文加さん:
「全部信号が青なのに、行かない理由はないんじゃないの?」という

開店を決意した言葉について語る文加さん

文加さん:
もしスタートして、これがコロナでもコロナじゃなくても、うまくいかない時はうまくいかないから、コロナのせいじゃないかもしれない。今やるべきじゃないという声もあったりしたけど、「信号が青だから」

大胆で前向きな夫の発想に、文加さんは開店を決意した。

目標は「生活に密着したチーズ屋さん」

こうして5月、無事オープンを迎えた店は、平日でも満席の人気ぶり。

ランチは全部で3種類。
チーズフォンデュとクロックムッシュのセット。
中でも看板料理は、夫妻がスイスで食べていたものとそっくりという、北海道産のラクレットチーズ。濃厚な味わいながら、香りは控え目で、日本人向きになっている。

チーズの表面をあぶり、ウインナーをのせたパンにかけて食べる、スイスでおなじみのラクレットチーズだ。

客:
おいしかったです、すごく。日本製(のチーズ)って聞いて、ちょっと前までは外国製に押されてた気がするけど、全然遜色なくておいしかったです

客:
チーズがすごく濃厚で、おいしいです

店はオープンして間もないが、2人はこんな思いを持っている。

文加さん:
目指すところは、フロマジュリーヤマサキで買ったチーズが冷蔵庫に1つみたいな…魚屋さんに刺し身を買いに行くみたいな感じに、地域に根ざした生活に密着したチーズ屋さんになれればいいな

今後の目標について語る文加さん

お店の営業時間は、午前10時から午後5時30分までとなっている。
また、お店では、カツオなど高知の食材に合うチーズ料理も紹介している。

(高知さんさんテレビ)