与党は国会の会期延長を拒否。立憲民主党など野党4党が提出した内閣不信任決議案を与党などが否決し、国会は閉じられた。

次期衆院選に向けて与野党はどんな戦略を立て、政局の行方をどう展望しているのか。選挙日程はどうなるのか。今回の放送では、自民党下村博文政調会長、立憲民主党辻元清美副代表らを迎え伺った。

「オリンピックから逆算しての”緊急事態”解除では?」

辻元清美 立憲民主党副代表
辻元清美 立憲民主党副代表
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反町理キャスター:
緊急事態宣言に関して、広島・岡山は解除で沖縄だけ延長。7都府県に関してはまん延防止等重点措置に移行して7月11日まで。この政府決定について。

辻元清美 立憲民主党副代表:
16日、東京では新規感染者数が500超え。緊急事態宣言を続けざるを得ないと判断すべきだった。オリンピック・パラリンピックに何とか進んでいきたく、逆算しての解除では

下村博文 自由民主党 政調会長:
国民の皆さんに自粛要請をお願いしており、店舗の方々の見通しを考えても、期限を設けるのは必要。まん延防止等重点措置では、例えばお酒については一定の条件のもと自治体判断での緩和はありうる。ただ、7月23日以降9月5日までのオリンピック・パラリンピック期間中の宣言復活もまた、専門家の判断ではあり得る。

「セレモニーのような不信任案提出は無価値」

新美有加キャスター:
15日、立憲民主党など野党4党が内閣不信任決議案を提出したが否決。提出理由のポイントは、内閣の新型コロナ対応での失策、東京オリンピック・パラリンピックの開催を政権浮揚に利用しようという邪心、野党の会期延長と補正予算編成の主張を黙殺など。会期末に提出した理由・意義は。

辻元清美 立憲民主党副代表:
菅政権のコロナ対策等の総決算をけじめとして示すということでは。枝野代表が演説で、批判と同時に自分の姿勢を示したのはよかった。ただ不信任案は内容とともにタイミングも大事。今回は提出までに与野党とも不信任のことを言い過ぎ。

下村博文 自由民主党 政調会長:
取ってつけたような提出理由。野党の中にも反対があった。定例セレモニーのような形で不信任案を出すことは無価値。辻元さんは半分本音を言われたのでは。

下村博文 自由民主党 政調会長
下村博文 自由民主党 政調会長

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
野党は衆院選を見据え、野党候補の一本化に向けて足並みを揃えておこうという狙いがあったのだろう。提出については否定しない。

松井孝治 慶應義塾大学教授 元官房副長官:
自民党も、総裁・衆議院議員の任期満了を前に菅首相の後を担おうという議論が出ないのは絶対おかしい。だが野党はそれに対し、自分達ならこうするという議論をしなければ。枝野代表自身が言ったボトムアップになっていない。立憲の地方議員も議論が降りてこないと言っている。

下村博文 自由民主党 政調会長:
内閣不信任案について枝野代表が1時間半話していたが、一人で作った政権構想を言っているような印象があった。党内でコンセンサスをとっているのか疑問。

「消費税5%への時限減税」について

反町理キャスター:
不信任案に対する討論の中、枝野代表から5%への時限的な消費税減税を目指すという話。

下村博文 自由民主党 政調会長:
自民党でもその意見はある。ただそれが景気浮揚になるか。十数兆円の税収減をどこでカバーするのか。枝野代表の本にも消費減税がかえって消費者の買い控えを生むとある。私もそう思う。別の形での大胆な景気対策が中長期的に重要で、賛成はしかねる。

辻元清美 立憲民主党副代表:
24カ国で行われている時限減税の効果検証も行った。またコロナ禍で格差がさらに広がった。パッケージの中の一つとしての時限的な減税。取りやめるときには、給付付き税額控除などの低所得者への手当とセットで行うべき。

新美有加キャスター:
枝野代表は必要な補正予算についても述べました。立憲民主党は総額33兆円の補正予算案を掲げています。一方下村さんは会見で、追加経済対策は補正予算として政府に要望し、また公約に盛り込みたいと述べました。

下村博文 自由民主党 政調会長:
令和3年度の予算106兆円は過去最高、コロナ対策として今年70兆円、しかし足りない。貧困家庭や中小企業への協力金や支援金も考え、経済対策は今年中に対応する必要があり、公約の中に入れるべきだと述べた。公約はこれから党内の議論になるが。
解散総選挙のタイミングは総理の判断だが、臨時国会は開かれる。ここである程度補正予算の議論ができる前提で、経済対策の準備をしていきたい。

総選挙の投票日は最速で”仏滅”の10月3日だが

新美有加キャスター:
総選挙はいつ行われるか。7月4日には東京都議選の投開票、オリンピック・パラリンピック後の9月30日には自民党総裁の任期が満了。10月21日には衆議院議員の任期満了。田崎さんは先週この番組で解散は9月、10月に総選挙と。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト:
見立ては変わっていません。最も早いケースで総裁選の告示日が9月8日、投票が9月20日。解散総選挙は、9月5日のパラリンピック終了後6日に菅総理が衆議院解散を表明し、9日木曜日に臨時国会を召集して直ちに解散が最速。公示は9月21日、投票は10月3日。このケースだと、総裁選告示の翌日に解散で、総裁選を凍結することになる。解散すると衆議院議員がいなくなるから。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授
田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授

下村博文 自由民主党 政調会長:
カレンダー通り総裁選の後に総選挙でもおかしくはないが、総理は自分の総裁任期中に解散総選挙をしたいと言っている。解散総選挙のタイミングはまだ流動的。

反町理キャスター:
10月3日は仏滅。自民党は験を担ぐが。

下村博文 自由民主党 政調会長:
仏滅にはやらないと思う。またコロナの状況によっては、10月21日の任期満了後、11月に選挙をやることもあり得る。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト:
菅首相は現実主義で、あまり仏滅などにこだわらないのでは。

下村博文 自由民主党 政調会長:
臨時国会の冒頭で予備費10兆円など当面必要な分の補正予算を組み、解散というシミュレーションも。

今度の選挙で自民が議席を減らす?

新美有加キャスター:
総選挙に向けた与野党の課題。5月の政党支持率では、自民党の41.9%に対して立憲民主党は8.6%。

辻元清美 立憲民主党副代表:
地域ごとに細かく支持率を取っているが、肌感覚では自民党はこんなに高くないと思う。

下村博文 自由民主党 政調会長:
それは事実。都市部では自民党の支持率はこんなに高くない。私の肌感覚で、東京では自民党が30%。立憲が15%ほどで、無党派層が乗れば自民党は厳しい。我々は謙虚に受け止め政策を作る。

反町理キャスター:
勢力図を見ると、過半数が233で自民が277、公明党を足すと300超。今回の総選挙で自民の議席は?

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
減る。50ほど減り、一党での過半数を割る可能性もある。増えるのは立憲と維新。立憲は30ほど増える可能性がある。
例えばある自民党のベテラン議員の選挙区。立憲の候補者は落選中でほとんど運動していないのに、世論調査をすると立憲の候補者が2ポイントリードしている。自民党以外なら誰でもいいという層がある。

反町理キャスター:
野党候補の一本化のメリットが出る。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
そう。だから立憲の伸びは日常的な選挙活動次第。これをきちんとやっていれば効果がある。

都議選で都民ファーストが激減か

新美有加キャスター:
ここからは自民党の課題について伺います。菅内閣の支持率は、5月では支持する方が41.1パーセント、支持しない方が47.3パーセント。不支持が6ポイント以上も上回っています。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト:
有権者の自民党に対する目は厳しい。自民党の作戦としては、前回惨敗した東京都議会議員選挙で復活を遂げ、東京オリンピックを「やってよかった」という大会にしてからの総選挙。

下村博文 自由民主党 政調会長:
田﨑さんの分析は的確。前回の都議選は悪すぎた。今回は倍増したい。しかし都市部、東京の政党支持率はやはり厳しい。政策をどのようにして愚直に誠実に打ち出すか。

反町理キャスター:
都議選で都民ファーストの会は、45議席からどのくらいまで減る? 

下村博文 自由民主党 政調会長:
3分の1の15議席ぐらいには減る可能性がある。

田﨑史郎 政治ジャーナリスト 駿河台大学客員教授:
それ以上減り1桁になるかも。立憲も増え、20議席くらいになる可能性がある。

辻元清美 立憲民主党副代表:
私たち立憲民主党も前回、えらい減らしてます。世論調査を見ると都民ファーストよりも数字が良い。大風呂敷を広げるのではなく堅実にいきたい。

松井孝治 慶應義塾大学教授 元官房副長官
松井孝治 慶應義塾大学教授 元官房副長官

松井孝治 慶應義塾大学教授 元官房副長官:
今回、共産党はすごく勢いがある。だから共産党と調整して候補者を絞っている選挙区では立憲は相当助かります。

辻元清美 立憲民主党副代表:
小選挙区制は支持率じゃなくて投票率。今まで選挙に行かなかった人の10%が全員野党に入れれば政権交代もある。

BSフジLIVE「プライムニュース」6月16日放送