虐待を受け保護された一匹の猫と女性の物語。

セラピーキャットとして人の心を癒やすその名も「るー」。一緒に活動する女性にはある夢があった。

虐待で3本の脚を失い…

鹿児島県内で約18年、犬と猫の保護活動や譲渡を行っている団体「まうるーる」の溝口和代さん。動物たちとのふれあいを通して、病気の治療や心身の回復をサポートする「アニマルセラピー」を続けている。

この記事の画像(13枚)

きっかけは、看護師をしていたときに出会った猫好きの患者だった。

まうるーる代表・溝口和代さん:
「えっ、猫好きなの?」って。その方と猫の話をするようになって、その時間は「痛い」「苦しい」が出ないんですね。目の前にいなくても楽になるんだなと体験して、アニマルセラピーが重要だなと気づいた

溝口さんは、3年前にある猫と出会った。おなかを見せて甘える一匹の猫「るー」。体を支える脚は1本だ。

3年前、手足をひもで結ばれて岩場に置かれ、けがをしていた「るー」を沖縄の保護団体が発見。るーは手術の結果、3本の脚を失った。

まうるーる代表・溝口和代さん:
同じ人間がやったと思えなかった。本当に腹立たしいのと悔しいのと、この子がどんなにつらかったかなって考えるたびに涙が出てくる

看護師としての経験を生かしてサポートしたいと、保護することにした溝口さん。人間を怖がるのではと心配していたが、るーはなでられるのが大好きな甘えん坊だった。

まうるーる代表・溝口和代さん:
こんなに人が好きなんだったら、家の中でずっと生活をさせているよりも、人に触れてなでてもらうほうがこの子のためかなと

こうして溝口さんは、るーをセラピーキャットとして育てることを決めた。

コロナ禍に支えてくれた「るー」の支援者たち

この日、るーと仲間たちがやってきたのは障害のある人たちの就労支援などを行う施設。

実は今ここで、保護猫と支援者をつなぐおやつが生まれている。るーにそっくりのクッキーだ。

ふるさとのWA 介護福祉士 製菓衛生師・前野宏明さん:
焼きあがりました

まうるーる代表・溝口和代さん:
いつものおいしい味。うれしい

溝口さんが施設に依頼して作っているクッキー。きっかけは新型コロナウイルスだった。

病院や老人ホームで行っていたアニマルセラピーが3分の1に激減。収入が減る中でも、動物たちの医療費が必要という厳しい状況だった。

まうるーる代表・溝口和代さん:
作って頂くことで施設の利用者さんの給料の一部になりますし、収益の一部が保護猫たちの医療費に

るーを知る人や溝口さんの思いに共感した人たちの輪が広がり、多いときには1カ月で約600個が売れるようになった。

溝口さんには夢がある。

まうるーる代表・溝口和代さん:
ふれあいカフェという名称で、保護猫たちとお客さまがゆっくり集える場所を作ろうと計画しています

支援者の応援が形となった「るーのクッキー」は、溝口さんの背中を優しく押してくれる。

アニマルセラピーは、精神的・身体的機能を向上させるものとして行われているが、医療としては認められておらず、保険適用はなく費用は自己負担となっている。

溝口さんは、アニマルセラピーが治療法として認められ、多くの人が気軽に利用できるようになってほしいと話していた。

【るーのクッキー 問い合わせ】
インスタグラム:mauruuru2003
フェイスブック:まうるーる

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。