10年以上放置された巨大な観音像を解体する工事が始まった。地元では様々な声が広がっている。

自由の女神像よりも高い巨大観音像

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大阪湾を見下ろすようにそびえ立つ、兵庫県淡路島にある「世界平和大観音像」。

建てられてから約40年。6月14日から解体工事が始まった。

周辺の人:
だいぶ崩れかかってるみたいだから、危ないから

観音像は1982年、今から約40年前に、地元・淡路島出身の男性が35億円をかけて建てたもの。

高さは約100メートル。米ニューヨークの「自由の女神」(高さ93メートル)よりも高い。

オープン当初は台座となっている建物の内部にピカソやシャガールなどの絵画が展示される美術館があり、多いときには1日に4000人もの観光客が訪れていたという。

しかし、建築した男性や相続した家族が亡くなり、2006年から放置されていた。

老朽化が進み解体することに

2011年に淡路市が内部を調査したときの映像では…

淡路市職員(2011年の調査):
台座のてっぺんにきています。今から本体に登りたいと思います。
延々と非常階段が続いております。
建物内部ですけれども、一部錆びていたり、腐食が進んでいる箇所が見受けられます

観音像上部にある大きな展望デッキには、根元から折れた望遠鏡が倒れていた。

10年以上放置されていた観音像は老朽化が激しく、台風で外壁がはがれるなど周辺に危険が及ぶ状態になっていた。

2020年から国が所有していたが、6月14日にようやく解体作業が始まった。

自治会長:
地震になったら怖いな、いうふうな感じでしたね。
ほったらしみたいなことで終わるのかなと、ようやく解体が始まるようで安心しております

解体費用は8億8000万円、国の税金で賄われる。

解体方法について様々な声

解体は頭部から順に下へ向かって進め、すべての撤去が終了するのは2023年を予定している。

周辺からは惜しむ声が。

近くのレストラン店主:
こんなに人の通らない田舎で、どっちかというと淡路を代表してもいいぐらい賑わいがあるような建物で人気がありましたからね

また、観音像の解体工事にネットでは惜しむ声も上がる一方、解体方法にも疑問の声があった。

「やっと解体になるのか。寂しいようなありがたいような」

「こういうのこそ爆破解体ではあかんのかな」

爆破解体の可能性は?

加藤綾子キャスター:
周囲からは「老朽化してきて不安」という声もありましたが、やっぱり手間も時間もかかりますよね。VTRにあるように、海外のように爆破解体というのはどうなんですかね。

パトリック・ハーラン氏:
そうですね。爆破する技術ももちろんありますし、周りに被害がないように丁寧に柵など作って対策を取ったとしても解体工事より安く早く済むはず。ただ、100パーセント成功する保証はない。

例えばアメリカテキサス州である建物が爆破解体で結局中心部だけが斜めに残って、インスタ映えするスポットとして有名なりました。「ダラスの斜塔」と呼ばれて。

こういう失敗を恐れなくても、観音像はビルとか煙突と違って、観音様が爆発する映像がやっぱり一人歩きしそうで、まじめに解体するのは正解じゃないかと思います。

加藤綾子キャスター:
とにかく大きな事故なく無事に再来年の1月、解体作業が終わることを祈っています。

(「イット!」6月14日放送)