「死んでも発注しない」「脅しておいた方がいい」

国内外で賛否の声が挙がる東京オリンピック。

出場する外国人選手や大会関係者向けに政府が開発中の“五輪アプリ”の事業費をめぐり、平井デジタル相が職員に出した指示が波紋を呼んでいる。

平井卓也デジタル相(朝日新聞音声):
デジタル庁はNECには死んでも発注しないんで。脅しておいた方がいいよ

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そもそも五輪アプリとは、海外からの観客や外国人選手らを対象として…

・入国審査などの手続き
・入国後の健康状態の報告
・五輪会場での顔認証
・帰国後の陰性証明書の取得支援

などを想定しているもの。

しかし、海外からの観客を断念したため、入場時の顔認証機能を削除するなど、機能を縮小。

それに伴い、平井デジタル相は4月のオンライン会議で、開発を請け負ったNECとの減額交渉について協議しており、その中で内閣官房の幹部職員に指示を出したという。

平井卓也デジタル相(朝日新聞音声):
このオリンピックであまりぐちぐち言ったら完全に干すから、あれね。どこかさ、象徴的に干すところを作らないとなめられちゃうからね。やるよ本気で。

交渉の結果、当初は約73億円だった契約は約38億円に減額。

平井デジタル相は「強い気持ちがないとコスト削減できない」として、自身の指示を次のように釈明した。

平井卓也デジタル相:
10年来、私が一緒に仕事をしてきた仲間でございますので、非常にラフな表現になったなとは思う。表現はやっぱり不適当だなと思いますが、今後気をつけていきたい。

国民負担を減らすための交渉だったとしても、大臣としての態度とその表現には問題があると言わざるを得ない今回の指示。

街からはこんな声が挙がっている。

20代男性:
上司にいたら一緒に働きたくないかなと思います

50代女性:
そういうことが言える環境も良くないと思います

NECは「政府の方針を踏まえて当社を含む共同事業体として協議し、契約変更に応じた。詳細については個別の顧客との話のため、回答は控えたい」とコメントしている。

加藤綾子キャスター:
「10年来の仲間だからラフになった」という釈明をしていましたけれども、そもそもこの表現が適切ではないのかなと感じますし、受け取る側がどう感じるかが大切だと思うんですよね。一方的に信頼関係ができていると思い込んで、分かってくれているだろうというのはなかなか通用しないのかなという気もしますね?

明治大学・齋藤孝教授:
干す」とか「脅す」というのは権力的な発言なので、NGワードですよね。乱暴ですし、それを聞かされた部下の方もどうすればいいんだということになります。コスト削減自体は大事なことですので、言葉遣いは気をつけたほうがいいなと…

加藤綾子キャスター:
オンライン会議だと、真意がなかなか伝わりづらいというところも、気をつけないといけないかもしれないですね?

明治大学・齋藤孝教授:
オンラインの場合、発言はある程度録音されているということも分かっていたほうがいいんです。軽い気持ちで冗談のつもりで言ったといっても、言葉がNGワードの場合はそこだけ取り上げられることもありますので、オンラインの場合、発言はより慎重にということですね

(「イット!」6月11日放送分より)