FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。
今回取り上げるのは、鈴木款解説委員が伝える「子どもたちをわいせつ教員から守る」。

わいせつ教員の管理徹底する法案

鈴木款解説委員:
学校で子どもへの”わいせつ行為”によって懲戒処分となった教員の数が増え続けており、2019年度は全国で273人に上っています。

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こうした状況を受けて自民党・公明党が、学校の性暴力をなくそうということで提出したのが「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法案」です。
5月25日に衆議院本会議で可決されて、今国会で成立する見通しとなっています。

これまでの法律では、子どもにわいせつ行為を行って懲戒免職になった教員であっても、”職業選択の自由”だとして、3年後には教員免許を再び取ることが可能だったのです。

しかしこの法律案では、免許を授与する都道府県の教育委員会が「この教員に再び免許を与えるのは適当ではない」と考えれば、免許を与えないというルールが設けられています。

また、かつてわいせつ行為などで懲戒免職になった教員のデータですが、懲戒免職になった理由が掲載されていなかったのです。
そのために、わいせつ行為をした教員が自分の処分歴を隠して、再び採用されるというケースが実際にあったのです。
これを受けて、文科省は2021年にその教員の過去の免職理由を確認できるように検索ツールを改善したのです。

今回の法律では、文科省と都道府県の教育委員会に、免職に関する正確なデータの登録をより徹底するように定めています

加藤綾子キャスター:
名前を変えたりということもありましたよね?

鈴木款解説委員:
名前を変えるというケースもあったかもしれません。
実際に法律案について、保護者がどう思っているのか話を伺ってみました

保護者(男性):
一回そういうことをやったことは、必ず3年後、5年後に同じことをやると思うんで、そこは厳格にした方がいいと思う

保護者(女性):
また免許を取得できるっていうのは心配なので、できる限り情報としては残して、データ共有してほしい

鈴木款解説委員:
保護者からはこういう声があったわけですが、法律案ではわいせつ教員を学校から排除するという制度作りは行われています。
それと同時に大切なのは、子どもに対する啓発なんです。
なぜかというと、性被害を受けた子どもというのは、学校の先生を信用するあまりに自分が性暴力を受けているということに気がつかないというケースが実際にあるんです

加藤綾子キャスター:
とくに小さい子どもは気が付かないんですかね

鈴木款解説委員:
そうなんですよね。
やはり学校の先生というと、信用できる大人というのを児童生徒はみんな思っていますからね

加藤綾子キャスター:
「先生の言うことは聞きなさい」って言われたりしますからね

小さい子どもにも教えることが大切

鈴木款解説委員:
では今後、実際にどのような啓発活動が必要になってくるのか。
子どもを性被害から守るために、正しい性教育の導入について取り組みを行っている「パンツの教室」のじまなみさんにお話をお伺いしました。
のじまさんが言うには、「口・胸・お尻などは、人に見せても触れさせてもいけない」「自分だけの大切な場所」であるということを、小さいうちから子どもに教えることが大切ではないかと

加藤綾子キャスター:
子どもに教えるって難しいと思いますけれど、ここまでしっかりと親御さんも一緒に考えていかないといけないということですね

鈴木款解説委員:
性教育というと、学校でも家庭でもタブー視されてしまう場合がどうしてもあるんです

加藤綾子キャスター:
ちょっと触れちゃいけないという感じですよね

鈴木款解説委員:
子どもを守るという意味では、性教育についてちゃんと取り組んでいかなければいけないと思います。
ただ、この法案は成立しますけど、実は非常に懸念される課題があるんです。
それは、この法令案が禁止しているのはあくまで「学校における性暴力」なんです。
2020年に、ベビーシッターによる子どもの性被害というのがかなり問題となりました。
学校以外で子どもと大人が接触する場所、保育所・学童保育・学習塾やスポーツクラブなどで起こる性暴力から子どもたちをどう守っていくかということについては、今後課題として議論されるべきじゃないかなと思っています。

加藤綾子キャスター:
本当にそうですよね。学校の教員だけではなくて、子どもと接する人はすべて対象ということにしないと、子どもを本当に守れないと思うのですけれども、一気に進めるっていうのはやはり難しいことなんですか?

住田裕子弁護士:
やるべきだろうと思いますよね。小児愛性癖というのはなかなか治療が困難ということで、再犯率が非常に高いんです。
そういう意味では、わいせつ教師だけではなく、そういう履歴のある人は子どもの周辺に置かないというような形で、いろんなデータを揃えていくことも必要だろうと思います

それから子どもに対しても、悪い人もいるということを教えなくてはいけない。これがなかなか厳しいんですけど、それはしなくてはいけないこと。
子ども同士でもおかしいと思うことがあったら、そこはちゃんとキャッチして、そういう被害を大人と共有するという、周辺の大人での監視の目って言うのも社会で守っていく必要もあるかと思いますね

加藤綾子キャスター:
本当にその通りですね。形を変えて、違った場所で性暴力をするっていう、逃げ道がないようにしっかりと整えてほしいですね

(「イット!」5月26日放送より)