夜の繁華街で繰り返される路上飲み対策としてフェンスが設置された広場で、新たに路上喫煙やポイ捨てといった想定外の事態が起きた。一体なぜだろうか。

フェンスで囲まれた髙田馬場駅前広場

東京・新宿区の高田馬場駅前。ここで見られたのはフェンスの陰に隠れるようにたばこを吸う人の姿。条例で禁止されている路上喫煙が後を絶たない。

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その背景には路上飲みの問題が関係していた。
多い時に100人もの人が集まり、酒を飲みながら大騒ぎをしていた高田馬場駅前の広場。区は新型コロナの感染防止対策としてパトロールや声掛けを実施し、路上飲みをやめるように呼びかけたが、まったく改善が見られなかった。

そのため5月19日にフェンスで広場とともに喫煙所を閉鎖した。
すると路上飲みが減った一方で、新たに路上喫煙が問題となっている。

フェンスの周りで取材をすると、車道にはみ出してタバコを吸う男性やフェンス横にあるスペースでタバコを吸う人の姿が。
なぜこの場所でタバコを吸っているのだろうか。

路上喫煙をしていた男性:
高田馬場は別にいいかなという認識なんですけど。多少は喫煙所をなくさない方がマナーを守って吸う人が増えるのかな。

さらに路上でタバコを吸っていた人を直撃すると…。

ーーー路上喫煙禁止と書いてありますが?
路上喫煙をしていた男性:
すみません

持っていたタバコをポイ捨て。
男性がタバコを捨てた排水口の中を見てみると、排水口には数え切れないほどの吸い殻が捨ててあった。

広場の前を通る人からは迷惑との声が上がる。

19歳女性:
たばこを吸ったりする人がいるとちょっとその前を通った時に嫌だなと思います

新宿区はしばらくの間は閉鎖を続ける方針で、パトロールを強化し注意を呼びかけていくことにしている。

池袋駅前でも喫煙所閉鎖

閉鎖された喫煙所周りでのポイ捨てや路上喫煙は池袋駅の東口でも問題となっていた。
豊島区は感染リスクがあることや人の流れを抑制するために4月25日に喫煙所を閉鎖した。
しかし、閉鎖によって喫煙所の周りでの喫煙が後を絶たない。

ーーー路上喫煙の意識はありますか?
路上喫煙をしていた男性:
みんな吸っているのでここで吸ってもOKなのかなという認識しかなかったですね。

足元を見てみると吸いがらがあちらこちらに散乱。吸いがらを踏み消し、そのまま立ち去っていく人が相次ぐ。

職員が注意もいたちごっこ

豊島区でも路上喫煙は条例で禁止されていて、区の職員がパトロールを強化している。

豊島区の職員:
すいません喫煙禁止なのでご協力お願いします!

職員が呼びかけると、たばこを吸っていた人たちは蜘蛛の子を散らすように去っていった。
残された吸い殻を区の職員が清掃するが、わずか10分後には喫煙者が戻り始め、15分後には元のように大勢の人がタバコを吸い始めてしまった。
こうしたいたちごっこが連日続いているという。

豊島区の職員:
やってもやっても追いつかない。また戻って来てしまう。繰り返すしかない。

豊島区では1日4回の清掃に加え、パトロールの時間を増やしている。

喫煙者の本音「封鎖しない方が」

喫煙者の一人はこんな本音を口にする。

路上喫煙をしていた女性:
封鎖しない方がみんな普通に中で吸うと思う。路上喫煙を意識はしますけど。結局私一人がやって変わるものがあるんだったらいいけど、そこまで変わらない

喫煙所の閉鎖をやめる時期について豊島区は「緊急事態宣言が解除された後に状況を見て判断していく」としている。

(イット!5月25日放送分より)