この春、東京から北海道へ移住した女子プロレスラーがいる。理由は、コロナ禍による環境の変化だった。
先が見通せないことから、一時は引退も考えた彼女の移住後最初の大会に密着した。

女子プロレスラーになるため上京も…

2021年3月、東京から北海道・札幌市に移住した女子プロレスラー・神田愛実選手(26)。

札幌市に移住した女子プロレスラー・神田愛実選手
札幌市に移住した女子プロレスラー・神田愛実選手
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神田愛実選手:
雪すごいですね。めっちゃ写真撮りました

神田選手は、ミニオンをこよなく愛する26歳。身長152cm、体重54kgだ。

ミニオンが好きだという神田愛実選手
ミニオンが好きだという神田愛実選手

神田愛実選手:
18歳までずっと大分県で育って、プロレスラーになるために上京したんです。

神田愛実選手:
東京に出てきてしばらくは、新人だったのもあって何もできなかった。すごく強いレスラーばかりとシングルマッチをしていて、試合終わって泣いていたイメージしかない

神田選手は、東京でフリーのプロレスラーとして活動してきた。
しかし、コロナ禍で試合数が激減した。

神田愛実選手:
今までノンストップで、ずっと毎週試合をやっていた期間が急にゼロになって、3~4カ月間も試合をしなくなったら、今後をちゃんと考えるようになったんです

神田愛実選手:
それで、自分がどこの(団体に)出たいか考えたら、北都プロレスだったんですよ。でも、そんな中で北都プロレスに呼ばれるようになって

北海道の団体からオファー…移住を決意

一時は引退を考えていた神田選手に声をかけたのが、北海道を中心に活動する「北都プロレス」だった。

神田選手は、移住を決意した。
札幌市で清掃業のアルバイトをしながら、大会に向け、チケット売りやなじみ客へのあいさつ回り、そして練習に励む。

あいさつ回りを行う神田愛実選手
あいさつ回りを行う神田愛実選手

「北都プロレス」のクレイン中條代表は、彼女に期待する。

北都プロレス クレイン中條代表:
北都プロレス女子レスラー1号です。目配りや気配りを、気づいてやってくれていますよ。本当に北都プロレスの太陽です。それだけに“ありがとうSUN”という感じですね

北都プロレス クレイン中條代表
北都プロレス クレイン中條代表

移住後初の試合はチャンピオンと対戦

北都プロレスの2021年開幕戦が、北海道・釧路町で行われた。神田選手の北海道移住後、最初の試合でもある。

北都プロレス 2021年の開幕戦
北都プロレス 2021年の開幕戦

会場は通常、観客定員250人のところを、感染防止のため100人にまで減らしての開催となった。

神田愛実選手:
直前ですよ。こんなのんきにしゃべっているけど、ドキドキしてますよ

神田選手の対戦相手は、何とチャンピオン。アクトレスガールズ所属のSAKI選手だ。

SAKI選手とは、今まで何度も対戦したことはあるが、一度も勝ったことがない。

アクトレスガールズ・SAKI選手:
アクトレスガールズという団体を背負って、今チャンピオンになっているので、お互いに団体を背負う者同士、プライドをかけて戦いたいと思います

アクトレスガールズ・SAKI選手
アクトレスガールズ・SAKI選手

神田選手は序盤、ペースをつかむが、流れは百戦錬磨のチャンピオンへ。
しかし、移住後初試合。負けるわけにはいかない。

神田愛実選手:
行くぞー!

得意技の「フライングボディアタック」で、流れを有利に引き戻した。

神田愛実選手の得意技「フライングボディアタック」
神田愛実選手の得意技「フライングボディアタック」

北都プロレス クレイン中條代表:
最近、特に動きの良い試合をしていますので、ひるまずに頑張ってほしい

しかし、さすがチャンピオン。一瞬のスキをついて、神田選手をマットに沈めた。

神田愛実選手:
高い壁でした。自分に自信がなくて、コンプレックスの塊だったんですけど、北海道に来てから「愛実ちゃん」と言われるようになって…自分はこういう感じに見られているんだ、「元気になる」「明るい」などと言ってもらえて、その魅力に気づけた。北海道に来て大正解です。幸せですね

コロナ禍に端を発した神田選手の挑戦は、まだまだ続く。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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