外出自粛によって人通りが減ったことで増えた落書きを「徹底的に消す」。
東京・渋谷区が本気で”脱落書き”に乗り出した。

コロナ禍で街の雰囲気を崩す落書き

5月12日朝の原宿竹下通り商店会。
まだ多くの店が開店前だが、ほぼ全てのシャッターに落書きがされているのが目立つ。

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さらに、お店のイラストの上にも落書きがある。

原宿竹下通り商店会・土田康博さん:
連休の時には書かれてなかった。連休明けてすぐ書かれてた。街の雰囲気を崩す、やめていただきたい!

警視庁では、2020年1年間の落書きなどの被害件数は639件で、うち64件で摘発。
渋谷区では、毎年120件ほどの落書きによる被害届が警察に出されるが、コロナ禍で夜間の人通りが少なくなったことで変化が起きたという。

原宿竹下通り商店会・土田康博さん:
シャッターが降りている時間が長くなると落書きが目立つようになった。また書きに来る人がいる

書かれたらすぐに消す!費用は区が負担

そこで始めたのが…。

渋谷区環境整備課・森田一央課長:
書かれてすぐ消す!気持ちとしては全部消していきたい!

渋谷区では、住民からの依頼を受け付ける専用の窓口を設置。
区が費用負担をして、専門業者が落書きを消去するプロジェクトを立ち上げた。
その予算は、年間1億1000万円3年計画だ。

5月10日に行われた作業の様子。
竹下通り近くの幼稚園の壁に描かれた落書きを、約10人がかりで消していく。

そもそも、落書きは景観を損ねるだけでなく、放置することでその地域の治安が悪化し、他の犯罪を誘発する恐れがある。
なぜ渋谷区は、今落書き消去に本格的に取り組んでいるのだろうか。

渋谷区環境整備課・森田一央課長:
渋谷という街柄”落書きを書いてもいいんじゃないか”という人がいるようで、最近も増えているように感じます。落書きを消すことによって、街を安心・安全な渋谷とアピールする

一般的に、シャッター1枚分の作業費用は約5万円。窓口の設置初日となった5月10日は、区民から16件の相談が寄せられた。

小さな犯罪でもどんどん広がる

イットのスタジオでは…。

佐々木恭子アナウンサー:
この落書きの問題、大変深刻なことになっており、横浜市など全国を見ると自治体13か所でこの落書きを禁止することに特化した条例を作っているのです。

2020年、東京23区の中では初めて豊島区がこの条例を作り、罰金10万円を課すことにしたらどうだったのか豊島区に話を聞くと、やはり「大々的な落書きは減る傾向はある」ということなんです。

住田さん、このようにやはり取り締まって罰を与えていくのがいいのか。渋谷区のようにも徹底して書かれたら消すということを繰り返していくのがいいのか。どちらの方が大事なのでしょうか

住田裕子弁護士:
どちらも大事です。条例だけではなく、これは犯罪ですし違法行為です。割れ窓理論というのがあって、1つの犯罪・小さな犯罪でもどんどん広がっていくという傾向があるので、消していくということは大賛成ですし、それから防犯カメラで見つかったら検挙し、その費用を請求してほしいなと思います

加藤綾子キャスター:
そこまで厳しくということですよね。
やはり、落書きがあると治安が悪いイメージに繋がってしまいますよね

佐々木恭子アナウンサー:
人もお金も割いて徹底的に対策を取っていくということです


(「イット!」5月12日放送より)