「S-PARK」の野球解説者たちが、気になった選手やMVPを独断と偏見で選ぶ「MONDAY BASEBALL」。気になる選手の裏話や“スゴい”ポイントも合わせて紹介する。

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今シーズン、セ・リーグ首位を独走する阪神タイガース。
野球解説者・真中満さんがその快進撃とゴールデンルーキー・佐藤輝明のチームへの影響を分析した。

投打が噛み合う阪神

「本当に投打のバランスが良いよね。打線が苦しいときはピッチャーがちゃんと押さえる。ピッチャーが打たれたときは打線がカバーするという形なので、非常に噛み合わせもいいし、特に先発ピッチャーが安定しているかな」

阪神好調の理由をこう分析する真中さん。投打のバランスに加え、先発投手陣の安定がしていることを強調する。

阪神の先発ローテーションは、藤浪晋太郎・青柳晃洋・ガンケル・西勇輝・伊藤将司・秋山拓巳の6人。青柳以外の5人全てが勝ち越している。

「どこのチームも5枚目、6枚目のピッチャーとなると苦しくなってくるんだけど、阪神のローテーションを見ていたら、6枚目が秋山。その辺りを見ていると、先発の力というか充実している感じが伝わるよね」

さらに「打線の繋がりが非常に良いので、得点力があるよね」と打線の絶好調にも注目。

真中さんは、「今回大山悠輔が軽い怪我(背中の張りで登録抹消)をしてしまったけど、そこにルーキーの佐藤がぴったり入って、代わりに出るライトが糸井嘉男。その糸井も活躍するという形なので、バランスもいいし選手層も厚いし、当分安泰かなという感じもしますね」と、阪神の好調は続くと予想している。

ルーキー佐藤がチームへ与える影響

今年の阪神を語る上で外せないのが、ゴールデンルーキーの佐藤だろう。その存在がチームに与える影響について、真中さんは“佐藤効果”という言葉を使いながら次のように語った。

「佐藤一人いることで出られない選手もいるじゃない。陽川尚将なんかも、どちらかと言うと今年はチャンスだったのに、佐藤が来て出られなくなるわけだから。そういうサブに回る選手たちが、出場機会があるときに必死にプレーしてアピールするじゃない。そういうところで“佐藤効果”というか、チームの争いの中で非常に良い環境になっている気はしますね」

そしてその佐藤自身も成長を見せている。

真中さんは「選球眼がまだそこまでじゃないんだよね。低めの落ちる系の変化球と、インコース高めのボールになる球に手を出すので、そこの選球眼が洗練されるとさらにアベレージも上がって行くと思う」としつつも、5月10日に佐藤選手が打った第10号ホームランを取り上げた。

「でもこの間のHRはインコース高めの球を、しっかり手を畳んで打っている。あれは多分佐藤選手自身も気がついていると思うんだけど、インコースをピッチャーがバンバン攻めるじゃない?あれをずっと空振りしていたのに、今克服しだしたよね」

その結果、ピッチャーにもプレッシャーをかけられるようになったと分析する。

「インコースのストレースを打ったことで、佐藤選手からすると自分の好きなコースに球が来る可能性が上がってくるので、もっと打率が上がってくるんじゃないかと思うんだよね」

阪神ファンにとっては「楽しみしか無いんじゃない?」と話した真中さん。

ヤクルトの調子は上向き

一方で真中さんと言えば、1992年に大卒で東京ヤクルトスワローズに入団し、4度の日本シリーズ優勝を経験者。2015年から3年にわたってヤクルトの監督を勤め、1年目では優勝させるなど、ヤクルト一筋の選手・監督生活を送ってきた。

そんな真中さんは、今シーズンのヤクルトの最終順位を3位と予想している。

「解説陣は軒並み5位か6位予想だけど、私は3位予想。先発ピッチャーが苦しいんだけども、現状中継ぎ陣が非常に頑張ってるという印象ですね。
あとは打線かな。シーズン序盤は村上宗隆1人だけが良くて、山田哲人がなかなか乗れなかったんだけど、ここに来て上がってきた。

状態が良い選手が1人だけだとマークがきつく、勝負されなくなるんで、山田の状態が上がってきたことが村上にとっても大きく、相乗効果でマークが散るから村上も打ちやすくなる。
そしてオスナ・サンタナという2人の外国人選手が後ろに入ってきたことで、山田も村上もストレスがなくなってくるので、打線としても良いめぐり合わせになってきたかという印象ですね」

今シーズンはまもなく中盤に差し掛かる。今後も目が離せない展開となりそうだ。

(ディレクター・大山琢也)