保護猫団体「常に“居場所”は必要」

2019年度、動物愛護センターなどに引き取られた保護犬・保護猫の数は全国で約8万6千匹。
その背景には、野良犬や野良猫が過剰に繁殖してしまい引き取り先がないということに加え、「仕事が忙しくなってしまった」「飼うのにコストが必要だった」「イメージと違った」というケースの他、自身が入院したり施設に入ることになってしまった結果ペットを飼えなくなってしまうなど、様々な理由がある。

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そんな中「足りないのは愛情ではなくシステム」と話すのが、日本初の保護猫カフェを作った、NPO法人 東京キャットガーディアンの山本葉子代表だ。

山本葉子代表:
保護されたばっかり。

松丸亮吾スペシャルキャスター:
段ボールで捨てられちゃってたのかな。

山本葉子代表:
あまりいい状態じゃないですね。痩せてるし、ちょっと体温低いし。

すぐさまカイロを入れて子猫の体を温め、ミルクを飲ませる山本さん。
東京キャットガーディアンでは年間約700匹の保護猫を譲渡先へとつなぎ、こうした子猫の保護をほぼ断ることなく続けているという。


松丸亮吾スペシャルキャスター:
保護活動に足りていないものは?

山本葉子代表:
常に“居場所”は必要という感じですよね。保護団体としてはセーフティーネットになりたいと思っています。

「飼う」から「預かる」へ

山本さんが新たな居場所づくりとして取り組むのが、猫付き賃貸併用住宅「ねこネクト」だ。

賃貸併用住宅とは、戸建ての一部を賃貸用住宅にした建物で、オーナーは家賃収入を得ることができる。「ねこネクト」は、入居者が保護猫を“預かりボランティア”として迎え入れられるのだという。

この「ねこネクト」を企画したのは、フロンティアハウスの飯塚謙太さん。
入社当時、猫と住める部屋が見つからず残念な思いをした経験が開発のきっかけになったという。

松丸亮吾スペシャルキャスター:
預かりボランティアシステムというのはどういったシステムなんですか?

飯塚謙太さん:
猫ちゃんを譲渡ではなく一時保護で預かることができるシステムになるんですね。
(“預かりボランティア”に向いているのは)転勤族の方、初めて飼うのに不安な方、ご高齢の方で正直自分がこの先どのくらい生きられるのかわからないけど、猫は大好きで飼いたいんだよという方。

“預かりボランティア”が保護猫を1匹迎え入れることで、シェルターに1匹分の空きができ、また新たに猫を保護することができるというシステムの「預かり入居」。

建築中の「ねこネクト」の部屋には、猫が部屋とトイレを行き来できるよう、人用のドアの下につけられた「猫ドア」や、猫が遊べる家具が備え付けられているなど、猫が住みやすい工夫も。

さらに、玄関は猫の逃走防止のため二重扉となっており、床は猫が足を傷めないように、滑りにくく傷つきにくい素材を使用したフローリングとなっている。

松丸亮吾スペシャルキャスター:
逆転の発想ですよね。猫を飼うこと自体をOKした物件が少ない中で、猫にフォーカスした物件というのは今の時代にあったニーズだなって思います。


猫を飼うというハードルを下げ、“預かり”暮らす「ねこネクト」。
この新たなシステムで不安のない共生社会を目指すという。


松丸亮吾スペシャルキャスター:
猫を飼ってほしい人と飼いたい人をつなげるための装置がまだ不足していて、その橋渡しを保護団体ができるんじゃないかってことですね。

山本葉子代表:
いろんなところを“八方OK”にしようという。どこにも無理がないことは続くという話なので「ねこネクト」も続くでしょうし、あとに続く方も出てくるでしょうし、と思いますね。(預かりボランティアの)件数が増えてきたらいいなって思います。

(「イット!」5月28日放送分より)