有名ホテルを渡り歩きパン一筋50年以上…70歳の大ベテランが作るパン

愛知・尾張旭市に、一流ホテルで50年以上パンを焼き続けてきた職人が営む人気のベーカリーがある。店に並ぶのは、パンに情熱を傾ける店主が日々研究し生み出した、40種類のパンだ。

ホテルのパン作りで最も大切という「生地の美味しさ」にこだわったクロワッサンやバゲットなど、ホテル仕込みの様々な手作りパンがあった。

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尾張旭駅から歩いて10分、県道61号線沿いの市役所南交差点すぐのところに「ぱんやさん キキ」はある。

もっちり生地に練りこまれたクルミの食感と、レーズンの酸味や甘みが楽しい「クルミカレンズ」(194円)や…

卵と牛乳のかわりに、豆乳を使った生地で作る「豆乳パンさつまいも」(194円)など。店内には、約40種類のパンが並ぶ。

この店の店主は、パン一筋50年以上の大ベテランの佐々木香さん(70)。パン職人に憧れ、17歳で東京の一流ホテルへ。その後も、数々の有名ホテルを渡り歩いた。そして9年前、定年を機にこの店をオープン。

佐々木さん:
2日以上休むと「パン作りたい」ってなります

佐々木さんは、何よりもパン作りが大好きだ。

ホテルのパンで大事なのは「生地の美味しさ」…熟練の勘が本来のおいしさを引き出す

長くホテルでパン作りをしてきた佐々木さんが原点と話すのは、「フレンチ クロワッサン」(172円)。食べてみると、一口目にサクッとしたあとに、しっとり感も。甘みもバターの風味も口の中に残る。

佐々木さん:
クロワッサンは飲み物を飲んだ時に、溶けていくようじゃないと。「あなたのパンは生地が美味しい」と言われるのが僕の誇りです

ホテルのパンで最も大事なのは「生地の美味しさ」。一般的にホテルでは、バゲットやバターロールなど、生地の味がダイレクトに伝わるシンプルなパンが主流。そのため佐々木さんは、生地のおいしさをとことん追求してきた。

「パン作りで最も難しいのはタイミング。それを逃すと美味しいパンができない」と話す佐々木さん。ミキサーで生地をこねる時にタイマーは使用せず、常に自らの目で生地の状態を確認する。

その日の気温や湿度などによって微妙に変わる生地を、自分の目と手の感覚で見極めていく。そして長年の経験から、バターを入れるタイミングや生地の練りあがりのタイミングを見極め、生地本来のおいしさを引き出す。

「60歳のパンより70歳の今のパンの方がいい。おいしく作る技術は、まだまだ進歩するので、80歳になった自分のパンに期待している」と佐々木さんは話す。

原点であるホテルのパン作りを更に進化…連日完売の人気商品「明太子フランス」

ホテル時代と変わらぬ作り方で、外はパリッと、中はふんわりと仕上げた自慢のフランスパンも人気。明太子クリームをタップリと塗った「明太子フランス」(302円)は、連日完売する人気の商品だ。

フランスパンのパリパリの中に、明太子の塩っ気があるが、クリームもあり絶品。

原点であるホテルでのパン作りを更に進化させた佐々木さんは「外もおいしい、中もおいしい」を目標に、毎日パンを作っている。

柔らかいパンにクリームの甘味が優しく広がる…水を使わないパン「ブリオッシュド・クレーム」

店内に並ぶ約40種類のパンの中で、佐々木さんが最も自信をもっているのが、「ブリオッシュド・クレーム」(248円)。ふわふわのブリオッシュと自家製クリームが自慢のパンだ。

最大の特徴は作る時に水を使わないこと。普通のパンは、1日経つと水気が抜け、固くなるが、このパンは卵、牛乳、バターだけで作るので、翌日でもとろけるような食感のまま。ただし、バターの分量が難しいブリオッシュ生地は、ベテランの職人でも美味しく作るのが難しいパンだという。

絶妙なタイミングでバターを入れる、佐々木さんの職人の技だ。

佐々木さん:
ブリオッシュは、パン好きな人じゃないと「何このパン?」という人が多かったので、考えてクリームを入れた

佐々木さんはブリオッシュ生地を、より身近に感じてもらうため、試行錯誤の末、甘さ控えめの自家製カスタードクリームを入れた。

口に入れた瞬間、ふわっとクリームの甘味が優しく広がる。

佐々木さん:
パンを作るのが好きでたまらんのですよ。朝起きた時、店に来る前はワクワクした気持ち。毎日そんな気持ちです

「ぱんやさん キキ」は、名鉄尾張旭駅から南へ、瀬戸街道沿いにある。

(東海テレビ)