2億8000万円の絵画
2018年5月、和歌山県田辺市での自宅で急性覚醒剤中毒により死亡した資産家の野崎幸助さん当時77歳。
かつての取材には高額な絵画などを所有していることを明かしていた。
ーールノアールは本物ですか?
野崎:2億8000万円かな。こういうカフスボタンね、800万くらい。


この取材からおよそ2年後、野崎さんは須藤容疑者と結婚。須藤容疑者は野崎早貴となった。

美術商にかかってきた1本の電話
その「ノザキサキ」を名乗る人物から関西地方に支店のある美術商に1本の電話がかかってきたのは、野崎さんが不審な死を遂げた日から10日後の事だった。
「絵画を5、6点売りたいので査定に来てほしい」
絵画の売却を相談してきたというこの女。美術商の担当者が住所を尋ねると、亡くなった野崎さんの自宅住所を指定したという。
美術商は査定の段取りを決めるため、再びノザキサキを名乗る女に電話。
美術商:野崎様の携帯でよろしいですか?
ノザキサキを名乗る女:はい。
美術商:絵画の件でお問い合わせいただきまして是非拝見させていただきたいと思うのですが、お品ものは今どちらにありますか?
ノザキサキを名乗る女:和歌山にあります。
美術商:ノザキ様は今和歌山にいらっしゃいますか。
ノザキサキを名乗る女:はい。
美術商:そうですか。(査定の)ご都合はいつがよろしいですか?
ノザキサキを名乗る女:じゃあ15日でお願いします。
美術商:何時くらいにお伺いすればよろしいですか?
ノザキサキを名乗る女:えっと…今ちょっと家の方がマスコミが来ていまして・・・。
当時、野崎さんの自宅前には不審死について須藤容疑者の話を聞こうと多くの取材陣が駆けつけていた。
美術商:ああ、大変そうですね。
ノザキサキを名乗る女:そうですね。で…
美術商:時間はもう合わせますよ。事情はお察ししますので。
ノザキサキを名乗る女:夜中とかでも大丈夫ですか?本当に夜中の2時とか3時なら。(取材者が)2、3人しか家の前にいない状況なんで…
女は、取材陣が少なくなる深夜の時間帯を指定。
美術商:でも起きてられますかノザキさん?
ノザキサキを名乗る女:あ、はい 私は全然起きています。
美術商:じゃあ、15日金曜日の夜中2時くらい?
ノザキサキを名乗る女:はい。わかりました。
美術商:では一度お伺いしてまず拝見させてください。
ノザキサキを名乗る女:はい。あっ、あと時計とかそういうものもあるんですけど。
美術商:はい。時計も一緒に拝見してその場でどうのこうのというよりは 後日提案させていただきますので。
ノザキサキを名乗る女:はい。
絵画以外の査定も希望し、終了したこの電話。
実現しなかった査定
ところがその後、この女から査定を断る連絡があり、美術商が野崎さんの自宅に行くことはなかった。
このやりとりからおよそ3年。
何らかの方法で野崎さんの口から覚醒剤を摂取させ殺害したなど疑いで逮捕された須藤容疑者。
捜査関係者によると事件当時、1階にある台所付近の床などから微量の覚醒剤が検出されたという。

徐々に明らかになってきた事件発生前の状況。
野崎さんと須藤容疑者の状況について関係者はこう話す。
関係者:(野崎さんが)離婚するとかとかもいっていましたし、怒っている感じでしたけどね。社長が亡くなる前の前日からずっと前にかけていろんなことがありましたからね「早貴と別れるんや」といったりとか…。
須藤容疑者が和歌山の自宅に来ないなど、約束を守らないことに腹を立てた野崎さんが口にしていたという離婚話。
須藤容疑者は逮捕前に行われた調べに対し、「身に覚えがない」などと関与を否定していたことが分かった。
(「イット!」4月29日放送より)